月刊警察 2018年 7月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

マイクロプラスチック

直径数ミリメートル以下の大きさに砕片化された微小なプラスチック類の総称。小さくとも分解されず,現状の技術では取り除くことが困難なため,生態系に甚大な影響を及ぼすとして近年研究調査が始まっている。

マイクロプラスチックの発生要因は,海上を浮遊する難分解性プラスチックごみが経年劣化により破片となったり,化粧品や研磨剤として使用されているマイクロビーズ,衣料品に使用された合成繊維などが都市排水や工場廃水を介して流出したりしたものといわれる。

海洋を漂うマイクロプラスチックを生物が誤食することで,生物の発育不足や有害物質の生体濃縮が生じる可能性がある。また,比較的大きなプラスチックごみは近海に留まることが多いが,マイクロプラスチックは外洋に散開しやすく,既に全世界の海洋に拡大しているとも。

これらの問題は2014年に国連環境計画が発表した『世界で新たに生じている環境問題』という報告書にも取り上げられ,「便利さだけを追求して,安易にプラスチック容器や包装を使う生活を改めるべき」と述べられている。現状では規制がないため,世界規模での実態の把握と早急な取組が求められている。

世界の記憶

ユネスコが進める,世界的に貴重な記録物を登録し保全する事業の名称及び同事業に登録された記録物。日本においては,ユネスコ世界遺産と呼称をそろえ,「記憶遺産」と呼ばれることもある。

世界の歴史を伝えるに十分な価値のある記録記憶物を保全し,政治的な意図から抹消される危険性をなくして,多くの人が容易にアクセスできるよう公開環境の整備を奨励する。登録された記録物は,デジタルデータとしてユネスコ公式ウェブサイトで閲覧できる。

具体的には,書物,手紙,地図,文字,写真,日記などの文書が挙げられ,国際登録件数は昨年10月現在427件。

日本に関連するものでは,平安時代の貴族であり摂政太政大臣・藤原道長が著した日記「御堂関白記」,江戸時代初期の「慶長遣欧使節関係資料」,シベリア抑留から引き揚げてきた日本人の手記「舞鶴への生還」などがある。

2015年には,中国が申請した,いわゆる「南京大虐殺」に関連する文書の登録が決定したが,これに日本側が抗議。審査の在り方そのものが見直されるという経緯もあった。