月刊警察 2019年 1月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

WTOパネル

国家間の貿易に関する揉め事を解決するための機関として,WTO紛争解決機関の下に設置される審議会。3〜5人の委員によって構成され,単に「パネル」と呼ばれることも多い。

2国間の貿易・輸出入に関して問題が生じた場合,まず当事国間の協議による解決が模索される。しかし一定期間内(通常60日以内)に解決が見られなかった場合,当事国はWTO紛争解決機関にパネル設置を申し立て,紛争処理を付託することができる。

WTOパネルは公正中立を旨として判断を下すが,当時国がパネルの判断に不服であれば,上位機関である上級委員会へ,控訴のような形で申し立てることも可能だ。

2010年から2011年にかけ,中国がレアアースを含む鉱物資源の輸出規制を行った際に,WTOパネルは,中国の輸出規制がWTOルールに反する不当なものであるとの結論を出している。

外国人団体客お断り

アジアからの訪日外国人客の増加に伴い,ここ数年で日本に寄港するクルーズ船が急増。日本経済新聞社の集計によると,2018年のクルーズ船寄港数は3年前の2倍近い約3,000回という。

中でもアジアに近い西日本への寄港が8割近く,九州・沖縄の自治体では受入れ体制の強化が図られてきた。一方で,クルーズ船の団体客による騒音やゴミ問題などトラブルも後を絶たず,特に観光名所となっている宗教施設では,マナー違反をめぐる対処に頭を悩ませている。

福岡県篠栗町の南蔵院には,巨大なブロンズの釈迦涅槃像を目当てに多くの外国人客が訪れるが,「大音量で音楽を流し踊ったり,寺の屋根に上って記念撮影したりと,祈りの場にそぐわない行動が目立つようになった。特に団体客のマナーが悪い」と住職は話す。

このため,同院ではツアーの主催会社に外国人団体客の受け入れ停止を通知し,自治体の観光サイトからも同院の情報を削除するよう要請。また熊本県八代市の八代宮でも,ゴミなどのトラブルから,クルーズ船が寄港する日に合わせて施設を閉鎖する措置を取ったという。

観光庁は,「こうしたケースが増えるようなら持続可能な観光推進はできない」として実態調査に乗り出した。九州大学大学院比較社会文化研究員の松永典子教授は,「文化や慣習の違いは,あって当然。日本で求められるマナーについて根気強く説明し,理解を促すことが必要では」と話している。