月刊警察 2019年 3月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

国際ロマンス詐欺

インターネット上の出会い系サイトやSNSを通じて知り合った海外在住の異性と懇意になり,恋愛感情を利用して金銭をだまし取った後,音信不通となる詐欺の手口。

犯人は,ターゲットの相手としばらく交流を続け,相手が気を許した頃に,病気や怪我の治療費,あるいは会いに行くための費用といった,もっともらしい理由をつけ,送金を懇願する。犯人のプロフィールに用いられている写真や肩書きの大半は,相手をだますための虚偽の設定であることが多い。外見の良い欧米人を装い,実際にはアジアやアフリカ系の人間が詐欺を働いているともいわれる。

日本貿易振興機構(JETRO)によると,こうした詐欺行為が組織的に行われ,「結婚資金として送った現金(あるいはや高価な贈物など)が積み替え港のマレーシア税関で差し押さえられたため,その関税や解除金を送金してほしい」などと要求。現地の通関業者を装った虚偽のウェブサイトとやり取りさせる,手の込んだケースもあったという。

信用を得るため約1年にわたり連絡を取り合っていた事例や,最初は少額の要求でも,一度支払いに応じると次第に高額になるパターンもあり,送金した場合,被害額を取り返すことはほぼ不可能。JETROでは,こうした要求には応じないよう呼び掛けている。

カーボンプライシング

二酸化炭素の排出削減を促すため,二酸化炭素に価格を付け,生産活動に伴うその排出に対し課金する取組。主な政策に,化石燃料の使用により生じる二酸化炭素排出量に応じて,国が企業や個人に課税する「炭素税」と,あらかじめ割り当てられた排出量の超過分や不足分を,国同士や企業間で売買し取引する「排出量取引制度」がある。

炭素税は,1990年代から欧米を中心に導入が進み,排出量取引制度は2005年に欧州連合(EU)が導入して以来,北米やアジア諸国でも導入が進んでいる。

日本では,炭素税に当たる「地球温暖化対策税」が2012年から導入されているが,諸外国に比べ税率は極めて低い。また,排出量取引制度については,東京都など一部の自治体での導入にとどまっている。

2016年に発効した地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に基づき,日本では温室効果ガスの排出量を,2050年までに80%削減する目標を掲げているが,現状のままでは達成が困難といわれている。そのため環境省は昨年,カーボンプライシング制度の本格的な導入を促す報告書を作成し,今年前半までに提言をまとめるとしている。