月刊警察 2019年 4月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

スーパーホエール

クジラやイルカ全般の好ましい特徴や印象だけを統合した,理念的な“クジラ”像。捕鯨反対の立場を取る欧米諸国などで思い描かれている,現実と乖離したクジラのイメージを指す。捕鯨国でもあるノルウェーの文化人類学者アルネ・カランが提唱し,こうした架空のイメージが環境保護活動のシンボルになっていると指摘した。

スーパーホエールは一般的に,「高い知能を持ち,人間に対して友好的な絶滅危惧種の生物」として抽象的,神話的に描かれる。世界の海洋には約80種の鯨類が生息しており,全ての種が絶滅の危機にあるわけではないため,これが現存する特定種を指すとは言い難い。

2018年末,日本政府は,クジラの資源管理を行う国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を発表,商業捕鯨再開を決定した。以降,反捕鯨国の欧米やオセアニア諸国の主要メディアから「野蛮で愚かな行為」との強い非難が相次いだ。

米紙ニューヨーク・タイムズは「雄大な生き物を殺す正当性は商業的,文化的,あるいは科学的にも一切ない」と社説で批判。英紙オブザーバーも「食料のために地球上で最も知的な生き物を虐殺する準備計画は一貫性に欠ける」という記事を掲載している。こうした考え方の根底には,“スーパーホエール”の影響があるとみられる。

非認知能力

個人の能力のうち,学力・知能テストなどによる指標化が難しい,性格や気質に属する能力のこと。社会情緒的能力,ソフトスキルともいい,協調性,計画性,粘り強さ,意欲の高さ,リーダーシップなどが挙げられる。

国立教育政策研究所が2017年にまとめた「非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」によると,非認知能力の区分は,「認知的スキル」と「非認知的スキル」に分けられるという。

前者は知識,思考,経験を獲得する能力であり,獲得された知識に基づく解釈や推論などが含まれる。一方,後者は「長期的目標の達成」「他者との協働」「感情を管理する能力」という三つの側面に関わる思考,感情,行動のパターンで,学習を通して発達し,個人の人生ひいては社会経済にも影響を与えるものと想定されている。

非認知能力が必ずしも学業成績や学歴に結びつくわけではないが,社会生活を円満に送るには不可欠なため,こうした能力を伸ばす子育ての在り方が注目されている。