月刊警察 2019年 6月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

ヒューマニウム

回収された違法銃器をリサイクルして作った金属。武器による暴力行為の撲滅を推進してきたスウェーデンのNPO団体IM Swedish Development Partner(以下IM)が立ち上げた活動で,2016年にエルサルバドルで約1トンのヒューマニウムを生産して以来,翌年には1825丁の違法銃器を溶かして精製。スウェーデン政府からの支援を受け,グアテマラでの生産も予定されている。

2017年には世界の広告やPR活動から優れたものを表彰するカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにおいて,ヒューマニウムが入賞。金属として市販はされていないが,メーカーやデザイナーとの共同企画で様々な商品化が進んでいる。

スウェーデンの音響メーカーYEVOからは,ヒューマニウムを利用した最先端のワイヤレスイヤホン,また,時計メーカーTRIWAのヒューマニウム腕時計は日本でも発売された。収益は銃の犠牲者らのために使われるという。

IMによると,世界の違法銃器の数は数百万丁,毎分1人が銃によって死亡しているといわれる。福祉国家のイメージが強いスウェーデンでも銃犯罪が社会問題化しており,隣国フィンランドでは,相次ぐ乱射事件を受けて,銃規制議論が加熱している。

SOGI(ソジ)

男性と女性のどちらを性愛の対象として捉えているかを示す性的指向(Sexual Orientation)と,自分自身を男女どちらの性別と認識しているかという性自認(Gender Identity)を包括する概念。

これまでは性的少数者を表す言葉として,レズビアン(女性同性愛者),ゲイ(男性同性愛者),バイセクシャル(両性愛者),トランスジェンダー(自認する性別と出生時の性別が一致していない者)の頭文字をとったLGBTという頭字語が多用されてきた。しかし,マイノリティーとして限定的,差別的に捉えられる傾向が否めないことから,より普遍的で多様性を表現できるSOGIという言葉が提唱されるようになった。

2011年頃から国際社会で使われはじめ,日本では衆議院第一議員会館で,SOGIに関する公正と平等を求める院内集会「レインボー国会」が開催され,関連する差別やいじめ,嫌がらせなどを「SOGIハラ」として言及した。

日本には,先進7か国で唯一同性婚やそれに準じた制度がないため,国に先立ち,自治体や企業で性的少数者のカップルを公認する「パートナーシップ宣誓制度」が広がりつつある。また,豊島区,熊本市など9自治体も導入を始め,2019年度中には全国で30以上に増える見込みだ。