月刊警察 2019年 8月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

VR利活用

Virtual Reality(VR)とは,テクノロジーで創造された仮想現実を指す。全方向の視野や音響,触感などを体感できる特殊な装置やゴーグルなどを着用し,自身がその空間に入り込んだような感覚を得ることができる。これまではゲームやアトラクションに多用されてきたが,近年は他分野での利活用が進んでいる。

CGやVR映像を手掛ける東京都墨田区の積木製作は4年前から,建設業者やメーカー向けに,VRによる安全研修コンテンツを開発。転落ややけどなどを疑似体験することで危険意識を高め,事故防止につなげている。一方,2019年7月には米・ロサンゼルスにVRマッサージ施設「Esqapes Immersive Relaxation Center」がオープン。

ほかにも,現場に行かず物件の内覧やリフォーム例のチェックができる不動産分野での活用や,インターネットで衣料品を購入する際のVR試着システムなども登場している。

イギリスの新進VR制作会社ItIsTheEndでは,VRによって闘病患者のストレスを軽減する瞑想システムや,実生活で女性をエスコートする方法などを学ぶゲーム「VR-SENPAI」をリリース予定。同社のステファノ・ビアンキ代表取締役はVRの可能性を,「現実世界から孤立していく方向でなく,実生活を生き生きと向上させるツールとして開発を進めたい」と話している。

ドリーマー

幼少期に親に連れられて米国に不法入国し,そのまま不法移民として暮らす若者を,アメリカン・ドリームになぞらえて「ドリーマー」と呼び,その数は現在,80万人以上といわれている。

2012年にバラク・オバマ前大統領が導入した,強制退去処分を猶予する移民政策DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)により,16歳未満で入国し,規定資格を満たすドリーマーには,就労資格が与えられているが,2017年にトランプ大統領がDACA廃止を宣言して以来,不安定な立場に置かれている。

中南米移民が過半数以上住むカリフォルニア州などの反対から,当面のDACA打ち切りは免れたものの,ドリーマーが正式に米国永住権(グリーンカード)又は市民権を取得できる正式な法の制定は,いまだなされていない。 

2020年の大統領選挙で民主党候補の指名争いに名のりを上げた,ジョー・バイデン前副大統領は,ドリーマーに市民権を与えるべきだと表明し,メキシコ国境の壁建設を進めたいトランプ政権との相違をアピール。ドリーマーの現状は,政治的思惑の波に翻弄されている格好だ。