月刊警察 2019年 10月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

8050問題

ひきこもりの長期化,高齢化により50代のひきこもりの子供を80代の親が養っている状態,また,そうした世帯の困窮,孤立などの問題を指す。

内閣府は2018年,中高年(40〜64歳)を対象とした初のひきこもり実態調査を実施。「自室あるいは自宅からほとんど出ない」,「近所のコンビニなどには出かける」といった状態が半年以上続く場合を「ひきこもり」と定義している。

調査の結果,推計は若年層(15〜39歳)の54万1千人を上回る61万3千人で,うち7割が男性。期間は5年以上が過半数を占め,30年以上も6%いたという。

「80代の親が病気あるいは要介護となり,50代の子供を経済的に支えられなくなってきた。介護ヘルパーや支援団体の訪問者などが気付き,ひきこもりの高齢化が社会に知られるようになった」(ノンフィクションライター:黒川祥子さん)

動機としては,就職の失敗や辞職,人間関係,親子での価値観の相違などが多く,ひきこもりの現状を「誰にも相談しない」と答えた人は44.7%にのぼった。

現状を放置すれば,2020年代には更に深刻化した9060問題が本格化し,孤立死,親の死体遺棄,年金不正受給,生活保護受給などの問題が増加すると見られている。迅速な対応が求められるものの,社会との繋がりを頑なに拒否する当事者も多く,効果的な解決策が見いだせないのが現状だ。

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)

アフリカ連合(AU)に加盟する55か国・地域による自由貿易圏構想。アフリカ大陸全域での単一市場創設,資本と人の移動の自由確立を目指す。2019年5月に同貿易圏設立協定が発効し,7月のAU臨時首脳会議で運用段階に入ったことが宣言された。計画どおり2020年7月に運用開始となった場合,人口12億人以上を抱え,アフリカ大陸全域を覆う巨大市場が出現する可能性がある。

AfCFTAでは,今後5年以内に,参加国の大多数が関税を90%カットすることになっている。マラウイのチャティマ貿易局長によると,国連の後発開発途上国(LDC)リストに入っている国には10年,ニジェールやマラウなど6か国には少なくとも15年の関税引下げ猶予期間を設けるとしている。

一方,自由貿易圏の運用においては,鍵となる関税撤廃品目や原産地規則などの詳細は固まっておらず,国境をまたぐインフラの未整備,通関の困難など非関税障壁も多い。アフリカ各国政府が運用に向けた課題を洗い出す必要があると説く声も聞かれる。