月刊警察 2020年 1月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

ゲーム障害

世界保健機関(WHO)は2019年5月,オンラインゲームなどに過度に没頭することで日常生活に支障を来す状態を「ゲーム障害(Gaming disorder)」として認定し,国際疾病分類に加えた。2022年1月から適用される。

(1)時間や頻度を自らコントロールできない(2)日常生活の中でゲームを最優先する(3)職場や学校,家庭に悪影響が生じていても続けてしまう−などの状況が1年程度続いている場合,ゲーム障害が疑われるとされる。

過去1年間にゲームを行った10〜29歳の無作為4,400人を対象とした全国調査では,1日当たりのゲームプレイ時間として,順に「1時間未満」40.1%,「1時間以上2時間未満」27.1%,「2時間以上3時間未満」14.6%,「6時間以上」2.8%という結果が出た。

1日当たりのゲームプレイ時間が長いほど,「ゲームをやめなければならない時に,やめられなかった」「学業に悪影響が出たり,仕事を失ったりしてもゲームを続行した」「睡眠障害や憂鬱など心の問題が起きてもゲームを続けた」などと答える割合が多かったという。

調査を実施した国立病院機構久里浜医療センター樋口進院長は,「現状ではゲーム障害や依存症を治療するガイドラインは,ほぼない。調査結果を今後の治療に生かしていきたい」と話している。

所有者不明土地

相続登記が行われないことなどにより発生する,所有者が分からない土地のこと。所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也東大公共政策大学院客員教授)によると,2016年時点で九州より広い約410万ヘクタールに達したと推計されている。対策がない場合,2040年までに合計720万ヘクタールに膨らむ見通しも。

公共事業や災害復興,土地取引の妨げになっており,土地が利用できないことによる機会損失や所有者探しのコスト,税の滞納などによる経済的損失は2017〜40年の累計で約6兆円にのぼるともいわれている。

2018年に成立した特別措置法では最長10年間の公共目的での利用が可能となり,2019年5月には所有者不明土地を一定の条件で売却できるようにする法律が参院本会議で成立。活用の可能性が広がりつつあるが,今後は大量の土地相続も見込まれるため,解消への一歩を踏み出したばかりだ。

空き家対策で先行する英国には,一定の手続を経て自治体が利用権を収用できる権限の強い制度が存在する。空き家を放置する所有者への抑止力にもなっており,日本での対策にも応用できるとの指摘もある。