月刊警察 2020年 2月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

統合型リゾート(IR)

Integrated Resortの略で,カジノを中核にホテルや劇場,ショッピングモールなどを一体運営する複合型観光施設。

ラスベガスやマカオ,モナコが有名だが,2010年にIRを導入したシンガポールでは,それまで1,000万人前後で推移していた観光客数が導入以降急増し,2018年には1,851万人にまで拡大。こうした成功を受け,新しい都市型観光として脚光を浴びている。

日本では,2016年12月に特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(通称「カジノ法案」)が成立。国際会議場や日本の伝統・文化を発信する公演施設などの設置が義務付けられ,政府は最大3か所で2020年代半ば以降の開業を目指している。

2019年9月の観光庁による意向調査では,北海道や東京都,大阪府・市,和歌山県,長崎県など8地域が誘致に意欲を示した。北海道は苫小牧市を優先候補としたが,施設整備に伴う自然環境への影響などを理由に,誘致見送りを表明している。

しかし12月には,IRを巡り事業参入を狙う中国企業から賄賂を受け取った疑いで衆院議員が逮捕される事件が発生し,早々にIRのデメリットを象徴する形となった。

国際学習到達度調査(PISA)

経済協力開発機構(OECD)が行っている国際学力テスト。義務教育修了段階の15歳を対象に読解力,数学的応用力,科学的応用力の3分野で,2000年以降3年ごとに実施され,実生活で直面する課題に知識や技能をどの程度活用できるかを評価する。

2018年よりコンピューター解答形式となり,同年は79カ国・地域の男女約60万人,日本からは約6,100人が参加した。

2018年調査の結果によると,日本の読解力の平均点は504点で,OECD加盟国平均の487点は上回ったが,前回の15年調査より12点,前々回の12年調査より34点低下。特に自由記述式の問題で得点が伸びず,文部科学省では「自分の考えを他者に伝わるよう,根拠を示して説明することに課題がある」として学力向上策などを検討する考えだ。

一方で,数学的応用力は527点(OECD平均489点),科学的応用力は529点(同489点)。前回に比べ5〜9点低いが,文部科学省では「引き続きトップレベルを維持」としている。

国・地域別の順位は,3分野とも中国の「北京・上海・江蘇・浙江」が1位,シンガポール2位,マカオ3位で東アジア勢が上位を占めた。OECD加盟国の中では,読解力と科学的応用力はエストニア,数学的応用力は日本がトップだった。