月刊警察 2020年 3月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

指定感染症

日本政府は2020年1月末,中国湖北省武漢市で発生し感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎を,感染症法上の「指定感染症」に指定する政令を決定した。指定感染症は2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS),2014年の中東呼吸器症候群(MERS)などに続き5例目。

感染症法ではエボラ出血熱,結核,コレラ,E型肝炎など様々な感染症を危険性に応じて1〜5類に分類している。新型コロナウイルスによる肺炎は未分類だが,政令で暫定的に「指定感染症」にすることで法律に基づく強制的な措置が可能となり,迅速な対応が見込める。

具体的には,都道府県知事が患者に対し感染症の対策が整った医療機関への入院を勧告,従わない場合は強制入院の対象となるほか,患者の就業制限も指示できる。ただし,こうした措置は患者の人権を制限するおそれがあるため,慎重な運用が求められる。政令による指定の期間は原則1年で,必要に応じて1年間の延長が可能。

医療費は公費で負担され,指定感染症を診察した医療機関には届出が義務付けられる。また空港や港湾などの検疫所における診察や検査も可能となり,虚偽の申告には罰則も発生する。

eスポーツ

エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略で,格闘技やサッカーといった対戦型コンピューターゲーム,ビデオゲームをスポーツ競技として捉える。

アメリカ,韓国,中国を筆頭にプロリーグの対戦がテレビ中継されたり,巨額の賞金が出る大会が開催されたりと爆発的人気を得ており,世界の競技人口は約1億人以上,観戦・視聴者は3億8,000万人以上ともいわれる。

市場規模も急拡大しており,2018年には世界で約1,000億円,アメリカの証券会社ゴールドマン・サックスによる報告書では,2022年に3,000億円を超えると予想されている。

人気に伴い2018年にインドネシアの首都ジャカルタで開催されたアジア競技大会では公開競技としてデモンストレーションされ,中国・杭州での2022年大会では正式なメダル種目への採用が決定した。2024年開催のパリオリンピック・パラリンピックの新種目採用に期待する声も高まっている。

国内では,2019年の国民体育大会(茨城県)の文化プログラムとして都道府県対抗のeスポーツ選手権が行われた。しかし高額賞金の提供を巡り,刑法の観点から問題が指摘されていることもあり,正式競技としての認定には,まだ時間がかかりそうだ。