月刊警察 2020年 4月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

サブスクリプション

英語subscriptionは,定期購読,インターネット上のサービス加入・配信料などの意。製品やサービスを定額で一定期間提供する商業形態を指す。消費者に製品やサービスを販売するのではなく,ある期間に限り自由に使える利用権を販売する。

インターネット通販大手Amazonの「Amazonプライム」のように,デジタルメディアを介した音楽,映画,電子書籍,ソフトウェア,ゲームなどの提供方法では,既にサブスクリプションが一般化。動画配信サービス大手「YouTube」などでは,広告を挿入することで制限付き無料視聴を可能にした形態と,有償で広告などの制限を外すサブスクリプション型とが併存している。

近年は,デジタルコンテンツに限らず,「定額で利用し放題」のワークスペースや美容院,また契約期間終了後の返却を前提とした衣料品,ブランドバッグ,家電製品,家具など,スペースや物品のサブスクリプションも人気となっている。2019年にはトヨタ自動車が,車を同方式で提供するサービスを開始した。

利点としては,常に最新の商品を最良の状態で利用できることや,購入や処分に付随する手間が大幅に省ける点などが挙げられる。しかし,商品そのものを所有できないため,サービス終了後は手元に何も残らず,利用頻度が減っても契約を解除しない限り,一定額を支払い続けることになる。「無料の試用期間」終了直後に高額な課金がされる悪質なアプリなども報告されており,利用に当たっては注意が必要だ。

緊急停止命令

公正取引委員会の申立てを受け,裁判所が緊急の必要があると認めた場合,独占禁止法違反の疑いがある行為を一時停止させる命令。直ちに効力が生じるが,不服があれば即時抗告できる。

2020年2月末,インターネット通販サイト楽天市場を運営する楽天が,「一部商品を除き税込み3,980円(沖縄・離島は9,800円)以上の注文で送料を全店一律無料」とする方針を決めたことをめぐり,公正取引委員会は,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令が出るまで実施させないよう,東京地方裁判所に緊急停止命令を申し立てた。

楽天市場では,これまで出店者が送料を設定できたが,楽天が,利用者の利便性を図るとして上記の方針を表明し,送料負担を強いられる出店者の反発が拡大。公正取引委員会が「優越的地位の濫用」の疑いで楽天を立入検査した際,楽天が予定通りの導入を明言したため,公正な競争が侵害されるとして申立てに踏み切った。同命令の申立ては16年ぶり。