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証拠は語る
−光る真実・消える虚構−

編著/監修
土本武司
体裁
四六判  296ページ
定価
1,980 円(消費税込み)
本体価格+税
1,800 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1154-2
C \1800E
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この本を推せんします

白鴎大学学長・元法務大臣 森山眞弓

この本はとても面白く読みごたえのある本です。

法律の本というと、難しそうでとっつきにくいと思いがちですが、何よりも著者の多彩な人生経験とゆたかな学識教養に裏打ちされて、法律の問題を素人にもわかり易く説明し、今後のあるべき方向をさし示しております。月刊「捜査研究」に毎月書かれた随筆をまとめられたものだからでしょうか、著者も肩の力がぬけているようで、一つ一つの文章の長さもころあいで、文体も読み易く、すんなり読み進めます。

この数年世間の耳目を集めた、誰でも覚えている幾つかの重大事件を材料にして、新聞記事だけを読んだ一般市民が「何故なのかな?」と、ちょっと疑問に思った点を法律面から平易に説きあかし、「あっ、そうか」と納得させます。そして法律に興味をもたせ、若い人々に自分も勉強してみようかなと思わせる不思議な魅力をもった本です。末尾の青少年犯罪や安楽死の問題などは、今日の社会にとって大変示唆にとんでいますし、オリンピック審判のミスジャッジに触れた「あとがき」に至るまで、考えさせられる内容です。

現実の事件と向き合う検事として30年、同時に刑事法の学者としても特筆すべき実績をあげられ、近年はあちこちの大学で若い人々に接し、教育指導に当たっておられる著者であればこそとうなずけます。

専門家として勉強しようという方はもちろん、少しでも興味のある方は、男女を問わず、職業や年代にも関係なく、近代社会の市民の教養として、ぜひ本書をひもどいてみられることをおすすめします。間違いなく満足されることでしょう。


はしがき

「混沌とした時代に明確なメスを。――豊かな実務経験と精緻な理論構成に裏打ちされた問題意識により、実務の指針に寄与されている土本教授による時事評論の始まりです。」

1999年4月、月刊誌『捜査研究』の新連載として書き起こした「インクのしずく」の第1号の、これは編集部員による前文である。以来、毎月書き続けて8年余、1回につき複数のテーマを取り扱ったこともあるので、テーマ数としては100を超えることになった。そのうちの35のテーマを選んで1冊に編んだのが本書である。

他の世界を知らないまま、30年近くを検事生活一筋に生きてきたわたしは、骨の髄まで検事になってしまっており、学者に転じてすでに20年に及ぶのに、わたしの内奥で脈打っているのはなお、検事魂である。〔中略〕

ただ、検事在官中は、学者が得意とする論理の一貫性・精緻性よりも法律実務に役立つ具体的妥当性を重視することに力点をおいたものの、研究の対象は刑事に関する法律問題に限られていたし、執筆の手法は学問的なそれによっていた。

しかし、「インクのしずく」を書き始めたときは、すでに最高検検事を退官し、学界に転身していたこともあったので、執筆の対象範囲は、刑事司法を中心におくことは変わらないにしても、それに限らず、社会現象全般を視野に入れたし、執筆のタッチは随筆風の軽快なものにした。その結果、本書は広く社会現象を対象にした。“時事評論”の実質をもつものとなった。

2007年7月

土本武司


目次

  • 1 宗教テロ ―オウム真理教事件―
    •  
      • 1 オウムの虚構 ―宗教テロへの法的対抗措置― (1999年9月)
      • 2 死刑と無期刑の分水嶺 ―地下鉄サリン事件横山判決と林判決を比べて― (1999年11月)
      • 3 実のある撤退 ―公訴の取消、訴因の撤回― (2000年11月)
      • 4 松本教祖の真意奈辺に ―弁護側、反証に入る― (2002年7月)
      • 5 松本教祖に死刑判決 ―オウム事件、1審判決までの総括― (2004年4月)
      • 6 控訴棄却か公判停止か ―被告人の訴訟能力― (2006年4月)
  • 2 黙秘 ―和歌山カレー事件―
    •  
      • 1 情況証拠による事実認定 ―犯人性立証のための情況証拠とは― (1999年7月)
      • 2 死刑を求刑 ―無罪か、然らずんば極刑― (2002年7月)
      • 3 1審判決下さる。死刑 ―動機立証の意義と方法― (2003年1月)
      • 4 控訴審判決下さる。控訴棄却 ―情況証拠によって真実を見極める洞察力― (2005年8月)
  • 3 量刑 ―新潟少女監禁事件―
    •  
      • 1 事件発覚 ―刑法上の問題点― (2000年5月)
      • 2 1審判決下さる ―量刑上の問題点― (2002年3月)
      • 3 控訴審判決下さる ―併合罪加重の意義― (2003年2月)
  • 4 異常性 ―池田小事件―
    •  
      • 1 事件発生 ―触法精神障害者への対応― (2001年9月)
      • 2 第1回公判開かる ―心神喪失・心神耗弱・完全責任能力― (2002年2月)
      • 3 1審判決(死刑)下さる ―精神状態の判断方法― (2003年10月)
      • 4 死刑の執行時期 ―早過ぎることはない― (2004年10月)
  • 5 証拠 ―死体なき殺人事件―
    •  
      • 1 死体なき大量殺人事件発覚 ―皆殺し、死体解体、海中投棄― (2003年6月)
      • 2 恐るべき全貌 ―自白・否認― (2005年5月)
      • 3 1審判決(死刑)下さる ―自白者・否認者ともに死刑― (2005年11月)
  • 6 テロ ―世界各国における“戦い”―
    •  
      • 1 米の同時多発テロ ―史上最大・最悪の悲劇― (2001年10月)
      • 2 テロとの戦い ―英同時テロ― (2005年8月)
      • 3 ダッカ・ハイジャック事件 ―超法規論― (2004年2月)
  • 7 責任 ―航空機事故―
    •  
      • 1 航空事故 ―再発防止か、責任追及か― (2002年1月)
      • 2 航空事故調査報告書の証拠能力 ―世界の潮流とわが国の方向性― (2004年9月)
  • 8 少年 ―少年の真の健全育成を図るには―
    •  
      • 1 少年審判のあるべき姿 ―否認事件の増加に対応して― (1999年4月)
      • 2 慈母と厳父 ―少年法改正の方向性― (2000年6月)
      • 3 触法少年 ―12歳の暴走― (2003年8月)
      • 4 犯行時1五歳少年への実刑判決 ―少年犯罪の悪質化― (2004年1月)
      • 5 混迷・少年審判 ―マット死事件損害賠償訴訟控訴審判決― (2004年7月)
      • 6 少年法の基本理念 ―光高・爆発物事件家裁決定― (2005年9月)
  • 9 生命と法 ―安楽死―
    •  
      • 1 安楽死についての新動向 ―オランダから― (1999年10月)
      • 2 安楽死再論 ―その背景の日蘭比較― (2001年1月)
      • 3 川崎安楽死事件 ―積極的安楽死の合法要件とは― (2002年6月)
      • 4 安楽死合法化論 ―安楽死の今日的意義― (2006年5月)

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