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気管挿管ハンドブック

編著/監修
編著:田中 秀治(国士舘大学大学院救急救命システムコース主任教授)
体裁
B5判  320ページ
定価
5,170 円(消費税込み)
本体価格+税
4,700 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-2285-2
C3047 \4700E
発行日
平成21年10月1日
内容現在
平成21年9月10日
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執筆陣詳解

執筆陣の情報は発行日現在の内容です。
川岸久太郎
信州大学医学部人体構造学講座助教
田中 秀治
国士舘大学大学院救急救命システムコース主任教授
島崎 栄二
杏林大学保健学部救急救命学科教授
櫻井  勝
国士舘大学体育学部スポーツ医科学科教授
楠  真二
広島大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔蘇生学
谷川 攻一
広島大学大学院医歯薬学総合研究科救急医学教授
徳永 尊彦
救急救命東京研修所教授
中側  隆
愛知医科大学病院高度救命救急センター教授
森野 一真
山形県立救命救急センター診療部部長
奥寺  敬
富山大学医学部救急・災害医学講座教授
若杉 雅浩
富山大学医学部救急・災害医学講座講師
松田  潔
山梨県立中央行員救命救急センターセンター長
松本  尚
日本医科大学千葉北総病院救命救急センター准教授
仲村 将高
千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学助教
野口  宏
愛知医科大学名誉教授
櫻井  淳
日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野助教
勝又 純俊
日本大学医学部社会医学系法医学分野助手
橋本雄太郎
杏林大学総合政策学部教授
須田 志優
岩手県立磐井病院麻酔科長兼中央手術科長
徳田 秀光
順天堂大学医学部麻酔科ペインクリニック講座講師

はじめに

我が国において、救急救命士が気管挿管を特定行為の一環として実施できるようになり、5年が経過しようとしております。既に6,000名以上の救急救命士が、気管挿管の実習を終了し、年間3,000件近い気管挿管が実施されるようになりました。この間、薬剤(アドレナリン)投与が行われるようになり、救急救命士の処置によって心肺停止傷病者の一か月後の生存率が8.8%にまで改善してきました。またガイドライン2005の変更により、循環の再開が蘇生に必須の要件となり、確かに気管挿管を含めた人工呼吸の重要性は、以前と比べて確実に下がってきています。

我が国のウツタインデータは心原性心停止を中心として分析されていますが、非心原性心停止において気管挿管は、心拍再開に重要な役割をなしていることが明らかです。この点については、今後一般人によるバイスタンダーCPRが充足してくるとよりその重要性が認識されるでしょう。今後のさらなる分析が必要となりますが、いずれにしても救急救命士の行う気管挿管の位置付けは、本書が発刊された5年前とは大きく変化してきています。本来、気管挿管は呼吸困難を呈する傷病者に行われるべきでしょうし、今後生体への処置拡大が望まれるところです。

一方、気管挿管実施数が増えれば増えるほど、気管挿管に関連する事故のリスクは高くなります。2003年の愛知県での誤挿管事故とその後の対応は、全国のMC協議会に衝撃を与えました。既に消防組織の中にもリスクマネージメントの概念の導入が必要になってきました。

そこで本書は発刊から5年を経過し、内容を一刷し、新たな時代に対応すべくリニューアルしました。これらMC上の問題やリスクマネージメントを含め、現在の救急救命士による気管挿管の問題点を網羅したつもりです。

本書がこれから気管挿管のトレーニングを行う人、指導される皆さまにとって一助となれば幸いです。

平成21年8月吉日

国士舘大学大学院
救急救命システムコース 主任教授
田中 秀治


目次

  • 1 気管挿管に必要な解剖の知識
    •  
      • 1 解剖学を学習する目的
      • 2 気道の解剖学
      • 3 小児と成人の解剖学的相違
      • 4 気道の体表解剖と立体的構造(周囲の構造との関係)
      • 5 膝下運動
      • 6 気管挿管の実際と解剖学的知識の関連づけ
      • 7 様々な気道確保器具と解剖生理
      • 8 おわりに
  • 2 気管挿管に必要な生理の知識
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 気道の生理と役割
      • 3 呼吸の生理
  • 3 気管挿管・人工呼吸が及ぼす生体への影響
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 気管挿管が及ぼす生体への影響
      • 3 人工呼吸が及ぼす生体への影響
  • 4 心肺停止に至る原因と病態
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 「心肺停止」と「心肺機能停止」
      • 3 組織代謝と細胞死
      • 4 低酸素症
      • 5 循環器障害による心肺停止
      • 6 呼吸器障害による心肺停止
      • 7 その他の原因による心肺停止
  • 5 気管挿管の適応と禁忌、合併症、気管挿管困難症
    •  
      • 1 気管挿管の適応
      • 2 気管挿管の禁忌
      • 3 気管チューブの抜去(抜管)
      • 4 気管挿管の合併症
      • 5 気管挿管困難症
  • 6 気管挿管プロトコールと気管挿管法
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 気管挿管プロトコールの実施内容
      • 3 気管挿管の合併症
      • 4 気管挿管後のチューブ固定の意義と実際
      • 5 患者の搬送と人工呼吸時の問題点
      • 6 自己心拍再開時の対処(気管挿管による人工呼吸の中止基準)
      • 7 人工呼吸開始後の合併症と対策
      • 8 おわりに
  • 7 種々の気管挿管法
    •  
      • 1 種々の気管挿管法とは
      • 2 種々の気管挿管法の適応と学習意義
      • 3 気管挿管法における実施者と傷病者の位置関係
      • 4 種々の気管挿管法の実際とトレーニング方法
  • 8 気管挿管以外の種々の気道確保法
    •  
      • 1 気道確保の重要性
      • 2 気道確保法の種類
      • 3 用手気道確保法
      • 4 器具を用いた気道確保法
      • 5 おわりに
  • 9 シミュレーターを用いた気管挿管トレーニング法
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 シミュレーターの特性
      • 3 高度シミュレーターの限界
      • 4 シミュレーター使用上の注意
      • 5 シミュレーター実習の実際
      • 6 気管挿管手技のより深い理解のために
  • 10 気管挿管法実技試験の実施とシミュレータ-の想定
    •  
      • 1 事例提示による実技試験の意義
      • 2 事例提示による実技試験の方法
      • 3 実技試験の準備
      • 4 実技試験採点表
      • 5 想定事例
  • 11 シミュレーター以外の気管挿管トレーニング法
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 シミュレーターの問題点
      • 3 シミュレーター以外のトレーニング法
      • 4 献体を用いた挿管トレーニング
      • 5 おわりに
  • 12 気管挿管とメディカルコントロール体制―オンラインMC―
    •  
      • 1 オンラインメディカルコントロールとは
      • 2 指示と指導・助言
      • 3 オンラインメディカルコントロールに必要なもの
      • 4 気管挿管における具体的なオンラインメディカルコントロール
      • 5 オンラインメディカルコントロールの記録
      • 6 オンラインメディカルコントロールの今後の展望
  • 13 気管挿管とメディカルコントロール体制―事後検証―
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 メディカルコントロールとは?
      • 3 気管挿管における事後検証の実際
  • 14 気管挿管の事故対策
    •  
      • 1 気管挿管に伴う危険因子
      • 2 誤挿管時の対応
      • 3 気管挿管合併症発生時の対応
      • 4 病院前救護処置に関する法医学と法的知識、気管挿管に関する医療訴訟
  • 15 気道確保の事故対策―MC協議会における事故症例での具体的対応―
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 シナリオ概要
      • 2 本症例から抽出できる主な問題点
      • 4 事後に行うべき対応
      • 5 リスクマネージメントの重要性
  • 16 気管挿管時の説明と医の倫理
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 救急救命士の気管挿管に伴う倫理的な問題
      • 3 救急救命士の気管挿管における説明
      • 4 おわりに
  • 17 救急救命士が行う気管挿管の法的な問題点
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 救急救命士の気管挿管病院実習をめぐる法律問題
      • 3 救急活動中の救急救命士による搬送傷病者に対する気管挿管にかかる事故をめぐる法律問題
      • 4 むすぴにかえて
  • 18 病院実習における指導の要点
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 病院(手術室)実習に関する基準
      • 3 病院(手術室)実習の全般的注意点
      • 4 実習に際してのポイント
      • 5 インフォームド・コンセント
      • 6 実習の記録等について
  • 19 手術室内での実習の注意点
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 気管挿管実習での基本的な姿勢
      • 3 受講生に必要な手術室での常識
      • 4 手術野の清潔と手術室実習
      • 5 安全な脱衣
      • 6 麻酔の実際
  • 20 ポイントチェックテスト
    •  
      • 1 解剖・生理学
      • 2 気管挿管に必要な医学的知識
      • 3 気管挿管法
      • 4 メディカルコントロール体制
      • 5 医療事故
      • 6 全身麻酔実習
  • 21 気管挿管に使用する各種資器材の保守・管理
    •  
      • 1 はじめに
      • 2 資器材の購入
      • 3 資器材の保管
      • 4 点検整備
      • 5 消防署所での保守・管理
  • 22 気管挿管のための講習会開催のプログラム(例)
    •  
      • 1 事前学習
      • 2 カリキュラムと人員の組立て
      • 3 実技実習の組立て
      • 4 自主訓練のすすめ
      • 5 プレテスト
      • 6 実技実習
      • 7 実技試験
      • 8 プロトコールのすり合わせ
      • 9 認定証
      • 10 おわりに

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