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カネよりもチエとセンスで人を呼び込め!
〜地域発 観光まちづくり最前線〜

編著/監修
嶋津隆文・鷲尾裕子
体裁
A5判  296ページ
定価
2,860 円(消費税込み)
本体価格+税
2,600 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-3159-5
C3060 \2600E
発行日
平成23年6月30日
初版発行
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本書の特長

  • 観光まちづくりを進めるために
    全国各地域の観光まちづくりへの取組み事例を、首長、自治体、商工会議所、観光団体や企業の担当者など多彩な執筆陣による、生の情報を紹介しました。
  • 観光プラン(観光振興計画)をつくるために
    都道府県から市町村まで、全国各地の豊富な策定事例を紹介。観光プラン策定の意義や課題、留意点まで解説しました。
  • 地域をより深く知るために
    附録の「わがまち診断票」で、観光まちづくりの進行状況や可能性の自己診断ができます。

はじめに(抜粋)

全国各地を歩いていると、地域の人々の力というのは、何としたたかなんだろうと思い知らされる。

たしかに、地方が全て元気かと言われればそうではない。田んぼには草が生え、商店街ではシャッターが下ろされ、高齢化の進行は地方にとりわけ早いと喧伝(けんでん)されている。しかし昨今、各地域ではこんな逆境を逆手に取り、あるいは地(ぢ)の素材を再発見することで、地域の活性化に挑んでいる人たちは多いのである。苦労しながらも結構楽しんでいる風情さえ見受けられるのだ。新しい挑戦をする。まちと人々が元気になる。外から人も来るし、自分たちの暮らしも面白くなってくる。その充足感によるものだろう。このしたたかさが素晴らしい。

こうした地域の観光まちづくりの動きを知らない手はない。こうした地域の挑戦を全国の人に知ってもらわない手はない。そう考えて、着手したのが本書である。名付けて「カネよりもチエとセンスで人を呼び込め!」である。


本書は第I部で、各地の観光まちづくりの個性的な取組み例の最新情報を載せた。第II部では、全国の自治体の観光プランの挑戦的な策定例を紹介し、併せて観光プランの策定のノウハウを提示してみた。その際、特に3つの視点に留意した。この本のセールスポイントである。

1つは、全国の情報をできるだけ多く採録しようとしたことである。いささかでも学び得る知恵のある先例であるならば、それを漏らすまいと心した。とりわけ市町村の、小粒ながらもでっかい挑戦例を取り上げることに腐心したつもりである。

2つは、できるだけ最新の情報を採録しようとしたことである。観光は時間との戦いである。人々の観光ニーズは思いの外わがままであり、常に移り変わっていく。昨日求められていたエリアが、今日は人々の足が遠ざかる例も少なくない。それだけに「旬」である事例を取り上げてみた。

3つは、その取組みの情報を、できるだけ生なまの形、すなわち生の人間の、生の言葉で語ることでリアリティを伝えたいとしたことである。観光まちづくりを担う人々の体温を感じることで、直接その人々と地域に触れるチャンスをもってもらえばありがたい。そう念じたからでもある。

全国各地で今、地域活性化のための新しい風が吹いている。観光という視座に立っての、様々な挑戦が行われている。その風を集めて強い力に変えていけたら、これは一つの素晴らしい社会革命になるのではないか。そう念じつつ筆を進めたものである。

平成23年4月

嶋津 隆文


目次

  • 第I部 観光まちづくりの今を知る!
    • 第1章 観光まちづくりの風を感じる
      • 1―1 観光まちづくりに関わる多様な主体
        • 事例1 加賀市(石川県)地域観光・人流政策の現場
        • 事例2 三島市(静岡県)市民主体の観光まちづくりの推進で通過地から目的地へ
        • 事例3 絵金蔵(高知県香南市)住民で作って、住民で運営
        • 事例4 ハウステンボス(長崎県佐世保市)地域との協働をより前面に
        • まとめ
      • 1―2 温泉ブーム以前から続く観光まちづくり
        • 事例5 由布院温泉(大分県由布市)世代を超えてつながる観光まちづくり
        • 事例6 黒川温泉(熊本県南小国町)入湯手形から25年。楽しみながらの観光地づくり
        • まとめ
      • 1―3 ニューツーリズムの今・昔
        • 事例7 安心院町グリーンツーリズム(大分県宇佐市)風土・食、さらには人を大事に
        • 事例8 工場景観の活用(横浜市・川崎市・岡山県倉敷市)サブカルチャー的視点からの地域の魅力の掘り起こし
        • 事例9 京都フラワーツーリズム(京都府ほか)旬の情報提供、感動サービスICT「花なび」
        • まとめ
      • 1―4 訪れる人も受け入れる人にも浸透するアートの観光まちづくり
        • 事例10 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレと小さなイベント(新潟県十日町市・津南町ほか)アートで観光まちづくり
        • 事例11 瀬戸内国際芸術祭に参加して(高松市ほか)アートの力、人間らしく生きるために
        • まとめ
      • 1―5 時を越えて常に新鮮―歴史は観光まちづくりの原点―
        • 事例12 福島商工会議所青年部(福島市)勇猛果敢に他県、大企業とタイアップにつなげた心意気
        • まとめ
      • 1―6 活動の場を広げる観光ボランティア活動
        • 事例13 山形の達人(山形県)観光ボランティアガイドで着地型旅行の商品化
        • まとめ
      • 1―7 「ビジット・ジャパン」情報発信に力を入れて―インバウンド誘致―
        • 事例14 横浜観光コンベンション・ビューロー(横浜市)中国人観光客の受入れについて“攻めと守り”
        • 事例15 野沢温泉(長野県野沢温泉村)民間の力でインバウンド誘客
        • 事例16 中国人観光客の消費志向割引クーポンで中国人観光客を囲い込み
        • まとめ
    • 第2章 観光まちづくりの風を検証する
      • 2―1 柔軟な組織運営―縦(世代)にも横(業種や分野)にも幅広く―
      • 2―2 戦略と参加―目標は高く、敷居(きっかけ)は低く―
      • 2―3 観光魅力の掘り起こし―普段の暮らしから特別の趣味まで―
  • 第II部 わがまちの観光プランをつくろう!
    • 第3章 全国各地の観光プランを知る
      • 3―1 ブランドで勝負!
        • 事例1 宇都宮市 「餃子」からさらなる飛翔を目指す
        • 事例2 富良野市(北海道)「環境・感動・癒しの大地ふらの」を標榜
        • 事例3 今治市(愛媛県)「海響都市のブランドを創る」が目標
        • 事例4 熊本市・浜松市・柳川市(福岡県)
      • 3―2 イベントを軸に!
        • 事例5 伊勢市(三重県)「日本人の心のふるさと伊勢」を基本理念に
        • 事例6 墨田区(東京都)スカイツリーを生かした国際観光都市づくり
        • 事例7 奈良県 遷都1300年の歴史文化をまるごとに
        • 事例8 出雲市(島根県)・横浜市・東京都
      • 3―3 地域ぐるみがミソ!
        • 事例9 岐阜県 飛騨・美濃じまん運動を展開する
        • 事例10 田原市(愛知県)菜の花も丼どんぶりも海浜も“まるごと”に
        • 事例11 今帰仁村(沖縄県)日本一早い桜まつりと世界遺産グスク
        • 事例12 阿賀野市(新潟県)・酒田市(山形県)・大田区(東京都)・徳島県
      • 3―4 シティセールスで売り込め!
        • 事例13 仙台市シティセールス戦略プランを軸とした観光振興
        • 事例14 盛岡市 ふるさとの山に向ひて言うことなし
        • 事例15 厚木市(神奈川県)「味よし」「眺めよし」「気持ちよし」のまち
        • 事例16 甲府市・山口市・甲賀市(滋賀県)
    • 第4章 観光プラン作成のフォーマット
      • 4―1 市の観光プランの一例―高崎市観光振興計画
      • 4―2 観光プランの一般的な構成
      • 4―3 市町村の観光プランの策定状況
      • 4―4 県の観光プランの一例―しまね観光アクションプラン
      • 4―5 都道府県の観光プランの策定状況
    • 第5章 観光プランの意義と今後の課題
      • 5―1 観光プランを作る意義
        • その1 観光立国という国の方針
        • その2 自治体にとっての計画のメリット
      • 5―2 観光プランを策定する上での留意点
        • その1 政策的な面からの留意点
        • その2 技術的な面からの留意点
        • その3 主体と協働という面からの留意点
      • 5―3 観光プランをさらに磨き上げよう
  • 附録 わがまちの風を探そう「わがまち診断票」

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