私が警察大学校交通教養部長だった当時、『交通安全講話事例集』の続編『交通安全講話事例集 PARTⅡ』を発刊してから、早5年が過ぎました。
その後、私自身が異動したこと等もあって、PARTⅢ発刊には至りませんでした。
しかし、その間も、日々移りゆく交通情勢の中、PARTⅢを望む声も耳に入りつつありました。
そうした中、昨年9月、私が学校長として着任した関東管区警察学校においては、元々、警部補任用科の交通課程の学生に対し、課題論文として、交通安全講話の原稿の提出が求められていました。
そこで、当校警部補任用科第147期及び第148期の交通課程の学生諸君の作品の中から紹介するに価する作品を選んでPARTⅢを発刊することとした、というのが本書作成の経緯です。
しかしながら、PARTⅡまでについては、講話案を作成したのが警部(作成時点では昇任予定である者を含む。)であるのに対し、本書における講話案を作成したのは警部補(同)です。そのため、そのレベル差を埋めるため、私自身が各講話案に解説を加えることとしました。
もちろん、管区警察学校入校生が作成した講話案ですので、どうしても至らない部分は多々あると思います。また、コロナ禍のため、警部補任用科の日程にも大幅な狂いが生じ、その結果、本書に掲載する作品の選考対象となる期が、上記第147期及び第148期の2期にとどまるという、思わぬ誤算もありました。
しかしながら、その一方で、今回選ばれた学生諸君は、警察における現場の実働部隊の中核とも言える立場にあるところ、彼らが作成した講話案の中には、読者に訴える“現場の熱”のようなものがあるのではないかとも考えるところであります。
本書が、PARTⅡまでの『交通安全講話事例集』と同様、多くの方々に愛読されることによって我が国における交通安全教育の発展に貢献し、そのことが悲惨な交通事故を1件でも減少させることにつながることを期待してやみません。
令和4年3月
編著者 関東管区警察学校長
那須 修