『先訓に学び之に従わず』これは私の敬愛する元県警捜査幹部の著書の題名であり、捜査官の間で語り継がれてきた「教え」である。
捜査官が直面する現場の様相は様々であり、その場面に応じた適切な判断と法執行を瞬時に決断しなければならないことも多い。このため、法執行に当たる捜査官や警察官は、常日頃から先例となる事例を数多く学び、その応用範囲を検討しておく必要がある。
本書は、昭和50年以降における捜査手続に関する主要判例77件(刑訴法に限らず警職法等の関連判例を含む。)を取り上げ、現場における法執行に当たる実務家の参考となるようまとめたものである。
本書では、各判例について、それぞれ見出しを付けた上、判例理解のためのポイント、事案概要、判決(決定)要旨、解説を見開き2頁にコンパクトにまとめている。また、判例内容を精査して、捜査手続の流れに沿って区分けし判例の理解に資するようしている。さらに、捜査手続に参考となる用語解説を「豆知識」として加えている。
本書が、捜査手続を担当する実務家の参考となるとともに、勉学の参考となれば幸いである。また、刑法判例等については、姉妹書である『実務に役立つ最新判例77選―生活安全警察―』や『実務に役立つ最新判例77選―刑法・特別刑法―』に掲載している。関心のある方は参考にしていただきたい。
本書の出版に当たり、東京法令出版の野上小夜子氏にお世話になった。厚くお礼申し上げたい。
平成23年8月
江原 伸一