関連分野   警察・司法/法務・矯正  

三訂版
矯正職員のための法律講座

編著/監修
西田 博, 大橋 哲 編著
内藤 晋太郎, 林谷 浩二, 中田 昌伸, 小玉 大輔, 森田 裕一郎 著
体裁
A5  416ページ
定価
3,080 円(消費税込み)
本体価格+税
2,800 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-5130-2
C3032 \2800E
発行日
令和4年5月15日
三訂版発行
内容現在
令和4年4月1日
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本書の特長

矯正に特化した刑事法の基本書!

時代の変化に伴う刑事司法分野の変動に対応した、待望の改訂版、ついに発刊!



  • 刑法、刑訴法、その他矯正職員の業務に関連する法律に的を絞り、刑事収容施設法との関連をふまえて簡潔に解説。
  • 適正な業務執行のためのポイントや重要判例を随所に織り交ぜ、実務に即して解説。
  • 図表・チャート等を用い、初学者にも分かりやすく解説。
  • 参考となる判例を適宜掲載。内容の詳細な理解が可能。

三訂版 はしがき

最近の社会情勢の変化に応じて,刑事司法関係法令の動きはめまぐるしく,大きな改正が繰り返されている。今回の三訂版も少年法の改正に伴うものが主となっている。

公職選挙法の選挙権を有する年齢が18歳以上となり,民法の成年年齢も18歳に改正することとされたことなどから少年法の取扱いをどうするか議論されてきた。法務大臣の諮問機関である法制審議会の答申を踏まえて,少年法等の一部を改正する法律案が国会に上程された。同改正案は令和3年5月に可決され,令和4年4月1日から施行されることとなった。この改正では,少年法の「少年」は20歳未満の者であることを維持しつつも,18歳以上の少年を「特定少年」とし,特例を定めている。これに伴い,特定少年については,ぐ犯を保護処分の対象とせず,家庭裁判所の審判において保護観察に付された特定少年が遵守事項に違反した場合の少年院収容が規定され,第五種の少年院が設定されるなど,少年矯正の今後の運営に大きな影響を与えるものとなっている。

この法制審議会の答申には,少年法の改正とともに自由刑の一本化などの刑法や刑事収容施設法の改正につながる事項,矯正施設の運営の改善等の事項も含まれており,関係法令の改正案の国会上程が予定されている。今後,改正案の国会審議や矯正施設の運営の改善の動向に注意していく必要がある。

再犯防止等の推進に関する法律に基づき策定された再犯防止推進計画により矯正施設における矯正処遇,矯正教育や社会復帰支援に関する再犯防止施策が積極的に実施されてきているが,施策の充実のためには,福祉,医療,地方行政などの幅広い分野との連携が不可欠となっている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,感染防止のための措置をとるなど矯正施設の運営は非常に困難な状況となっているが,適正に収容を確保しつつ,再犯防止に向けた被収容者の矯正処遇や矯正教育の実施,社会復帰に向けた関係機関等との連携が矯正職員の不断の努力により進められている。

本書は,矯正研修所及びその支所における研修教材や自学のための参考書として多くの矯正職員に活用されており,新型コロナウイルス感染症感染拡大下においても日々努力を重ねている矯正職員が業務を遂行するに当たり,関係法令を理解するための一助となっていることを大変嬉しく思うとともに,今後も関係法令の改正部分の改訂のみならず,関係法令の内容の理解がより進むよう本書の内容の検討を重ねていきたい。

令和4年4月

前法務省矯正局長 大橋 哲


目次

  • 第1章 刑法総論
    • 第1 罪刑法定主義
      • 1 罪刑法定主義の意義
      • 2 法律主義
      • 3 遡及処罰の禁止
      • 4 絶対的不確定刑の禁止
      • 5 類推解釈の禁止
      • 6 刑罰法規の明確性
    • 第2 犯罪の成立要件
      • 1 犯罪の法律的意義
      • 2 犯罪の成立要件
      • 3 構成要件該当性
      • 4 違法性
      • 5 責任(有責性)
      • 6 処罰条件と処罰阻却事由
    • 第3 不作為犯
      • 1 不作為の意義
      • 2 真正不作為犯と不真正不作為犯
      • 3 不作為犯の作為義務
      • 4 不作為犯の実行行為
      • 5 不作為犯と因果関係
    • 第4 違法性阻却事由
      • 1 違法性阻却事由の意義
      • 2 違法性の本質
      • 3 正当行為
      • 4 正当防衛
      • 5 緊急避難
      • 6 被害者の承諾
    • 第5 責任能力
      • 1 責任能力の意義
      • 2 心神喪失・心神耗弱について
      • 3 原因において自由な行為
      • 4 責任年齢
    • 第6 故意・過失
      • 1 故意・過失の趣旨
      • 2 故 意
      • 3 過 失
      • 4 業務主処罰規定(両罰規定)と責任主義
    • 第7 未遂犯
      • 1 未遂の意義
      • 2 実行の着手
      • 3 着手未遂と実行未遂
      • 4 未遂による刑の減軽
      • 5 中止犯
    • 第8 共同正犯
      • 1 共犯の概念
      • 2 共同正犯
      • 3 共謀共同正犯
      • 4 承継的共同正犯
      • 5 過失の共同正犯
      • 6 間接正犯
    • 第9 教唆犯と幇助犯
      • 1 教唆犯と幇助犯の意義
      • 2 共犯の従属性
      • 3 教唆犯
      • 4 幇助犯
    • 第10 身分犯
      • 1 身分犯の意義
      • 2 共犯と身分
    • 第11 刑罰の本質
      • 1 刑罰の意義
      • 2 刑法理論と刑罰
      • 3 応報刑論と目的刑論
      • 4 刑罰と保安処分等
    • 第12 刑の種類
      • 1 刑の種類
      • 2 受刑者の権利又は資格の制限等
      • 3 刑罰と他の行政上の罰等との関係
      • 4 主刑と付加刑
      • 5 刑の軽重
    • 第13 死 刑
      • 1 死刑制度の概要
      • 2 死刑に関する憲法判断
      • 3 死刑の判断基準
      • 4 死刑の存廃について
    • 第14 自由刑
      • 1 自由刑の概要
      • 2 自由刑における拘置の場所
      • 3 自由刑の刑期の計算
      • 4 自由刑の執行及び停止
      • 5 自由刑に関する問題
    • 第15 不定期刑
      • 1 不定期刑の意義
      • 2 少年法における不定期刑
    • 第16 罰金と科料
      • 1 罰金及び科料
      • 2 労役場留置
    • 第17 刑の執行猶予
      • 1 刑の執行猶予の意義
      • 2 刑法25条1項の刑の全部の執行猶予
      • 3 刑法25条2項の刑の全部の執行猶予(再度の執行猶予)
      • 4 保護観察
      • 5 刑の全部の執行猶予の取消し
      • 6 猶予期間経過の効果
      • 7 刑法上の刑の一部執行猶予制度について
8 薬物法上の刑の一部執行猶予制度について
  •  
    • 第18 仮釈放
      • 1 仮釈放の意義
      • 2 仮釈放の要件
      • 3 仮釈放の手続及び取消し等
      • 4 仮出場
      • 5 矯正・更生保護の取組
    • 第19 刑罰の適用
      • 1 刑罰の適用
      • 2 法定刑・処断刑・宣告刑
      • 3 処断刑の決定
      • 4 宣告刑の決定
    • 第20 科刑上の一罪と併合罪
      • 1 問題の所在
      • 2 科刑上一罪
      • 3 併合罪
    • 第21 累 犯
      • 1 累犯の意義
      • 2 再犯の要件
      • 3 再犯加重
      • 4 三犯以上の累犯
    • 第22 監 置
      • 1 監置の意義
      • 2 監置の法的性質等
      • 3 制裁の対象
      • 4 監置の手続
      • 5 監置の裁判の執行
      • 6 執行の場所
  • 第2章 刑法各論
    • 第1 公務の執行を妨害する罪〜公務執行妨害等
      • 1 総 説
      • 2 公務執行妨害
      • 3 職務強要
    • 第2 逃走の罪
      • 1 総 説
      • 2 単純逃走
      • 3 加重逃走
      • 4 被拘禁者奪取
      • 5 逃走援助
      • 6 看守者逃走援助
    • 第3 職権濫用等の罪
      • 1 総 説
      • 2 公務員職権濫用
      • 3 特別公務員職権濫用
      • 4 特別公務員暴行陵虐
      • 5 特別公務員職権濫用致死傷等
    • 第4 賄賂の罪
      • 1 総 説
      • 2 単純収賄
      • 3 受託収賄
      • 4 事前収賄
      • 5 第三者供賄
      • 6 加重収賄
      • 7 事後収賄
      • 8 あっせん収賄
      • 9 贈賄等(刑198)
      • 10 没収及び追徴
    • 第5 文書偽造の罪
      • 1 総 説
      • 2 文書偽造の罪の一般的要件1 客体
      • 3 文書偽造の罪の一般的要件2 実行行為等
      • 4 詔書偽造
      • 5 有印公文書偽造等
      • 6 虚偽有印公文書作成等
      • 7 公正証書原本不実記載等
      • 8 偽造詔書行使等
      • 9 有印私文書偽造等
      • 10 虚偽診断書作成
      • 11 偽造有印私文書行使等
      • 12 私電磁的記録不正作出等(刑161の2)
    • 第6 傷害の罪
      • 1 総 説
      • 2 傷 害
      • 3 傷害致死
      • 4 現場助勢
      • 5 同時傷害の特例
      • 6 暴 行
      • 7 凶器準備集合等
    • 第7 毀棄及び隠匿の罪
      • 1 総 説
      • 2 公用文書等毀棄等
      • 3 私用文書等毀棄等
      • 4 器物損壊
      • 5 自己の物の損壊等
      • 6 信書隠匿
    • 第8 薬物犯罪
      • 1 総 説
      • 2 薬物犯罪を規制する特別法の概要
      • 3 覚醒剤取締法違反の罰則
  • 第3章 刑事訴訟法
    • 第1 刑訴法の目的
      • 1 刑事手続における刑事施設の役割
      • 2 刑訴法の目的
    • 第2 刑事手続の流れ
      • 1 成人の刑事手続の流れ
      • 2 捜査段階
      • 3 公訴の提起
      • 4 公判段階
      • 5 上 訴
      • 6 再審・非常上告
      • 7 少年の場合
    • 第3 捜査機関としての矯正職員
      • 1 捜査機関の種類
      • 2 司法警察職員
      • 3 検察官及び検察事務官
    • 第4 被疑者及び被告人の法的地位
      • 1 刑事施設における被疑者及び被告人の処遇
      • 2 黙秘権
      • 3 弁護人依頼権
      • 4 接見交通権
      • 5 第1回公判期日前の証拠保全の請求
    • 第5 捜査の端緒
      • 1 概 説
      • 2 職務質問,所持品検査
      • 3 告訴,告発
    • 第6 任意捜査と強制捜査
      • 1 概 説
      • 2 強制処分法定主義と令状主義
      • 3 任意処分と強制処分の区別
      • 4 任意同行,取調室への滞留と任意捜査の限界
      • 5 取調べと任意捜査の限界
      • 6 写真撮影等と任意捜査の限界
    • 第7 逮 捕
      • 1 概 説
      • 2 通常逮捕
      • 3 現行犯逮捕
      • 4 緊急逮捕
      • 5 逮捕後の手続
    • 第8 勾 留
      • 1 概 説
      • 2 勾留の手続
      • 3 逮捕前置主義
      • 4 勾留に対する不服申立て等
    • 第9 逮捕・勾留の諸問題
      • 1 事件単位の原則
      • 2 再逮捕・再勾留
      • 3 別件逮捕・別件勾留
      • 4 逮捕・勾留中における余罪取調べの限界
      • 5 公訴の提起後における被告人の取調べの可否
      • 6 弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見交通
    • 第10 捜索・差押え等
      • 1 概 説
      • 2 捜索・差押え等の手続
      • 3 令状による捜索・差押え等
      • 4 令状によらない捜索・差押え等
    • 第11 鑑 定
      • 1 鑑定留置状と鑑定処分許可状
      • 2 令状の請求と発付
    • 第12 公訴の提起
      • 1 概 説
      • 2 捜査の終結
      • 3 公訴の提起
      • 4 訴訟条件
      • 5 即決裁判手続の申立て
      • 6 略式命令請求
    • 第13 公訴権の行使の適正を担保するための方策
      • 1 概 説
      • 2 公訴の取消し等
      • 3 不当に公訴を提起しない処分を抑制するための方策
    • 第14 公判手続
      • 1 概 説
      • 2 公判手続における諸原則
      • 3 第1回公判期日まで
      • 4 公判前整理手続
      • 5 第1回公判期日
      • 6 証拠調べ
      • 7 被害者等の意見陳述
      • 8 結 審
      • 9 被害者参加
      • 10 判決の宣告
    • 第15 裁判員裁判
      • 1 意 義
      • 2 合議体の構成
      • 3 対象事件
      • 4 裁判員の選任手続
      • 5 裁判員裁判の審理
      • 6 その他
    • 第16 上 訴
      • 1 概 説
      • 2 判決に対する上訴
      • 3 上訴に共通する事項
      • 4 控訴審
      • 5 上告審
    • 第17 判決の確定
      • 1 意 義
      • 2 判決の確定時期
    • 第18 刑の執行
      • 1 意 義
      • 2 刑の執行の指揮
      • 3 刑の執行及びその停止
      • 4 自由刑の刑期の計算
    • 第19 再審・非常上告
      • 1 概 説
      • 2 再 審
      • 3 非常上告
  • 第4章 その他関係法令
    • 第1 少年法
      • 1 少年法の目的と全件送致主義
      • 2 非行のある少年の家庭裁判所への送致までの流れ
      • 3 家庭裁判所における手続の流れ
      • 4 保護処分
      • 5 少年の刑事事件
      • 6 特定少年の特例310
    • 第2 更生保護法
      • 1 更生保護法の目的
      • 2 仮釈放
      • 3 少年院からの仮退院及び退院
      • 4 生活環境の調整
      • 5 更生緊急保護
    • 第3 恩赦法
      • 1 恩赦の概要
      • 2 大 赦
      • 3 特 赦
      • 4 減 刑
      • 5 刑の執行の免除
      • 6 復 権
      • 7 刑事施設に収容されている者の個別恩赦の手続
    • 第4 国際受刑者移送法
      • 1 制定の背景と目的
      • 2 受入移送と送出移送
      • 3 受刑者移送の要件
      • 4 受刑者移送の手続の流れ
      • 5 受刑者移送後の処遇
    • 第5 犯罪被害者等の刑事手続等への関与
      • 1 犯罪被害者等基本法における規定
      • 2 刑事手続における犯罪被害者等の権利利益の保護
      • 3 少年審判手続における犯罪被害者等への配慮
      • 4 被害者等への加害者の処遇状況等の通知及び刑事施設からの
釈放等の通知
  •  
    •  
      • 5 刑事施設における被害者等に関する施策
      • 6 更生保護における被害者等に関する施策
    • 第6 行政作用に対する救済制度
      • 1 「行政救済」の意義
      • 2 行政上の不服申立て
      • 3 行政不服審査法
      • 4 行政事件訴訟
      • 5 国家賠償
    • 第7 PFI法,公共サービス改革法ほか
      • 1 刑事施設における民間委託の概要
      • 2 刑事施設における民間委託の変遷
      • 3 刑務所PFI事業
      • 4 PFI法
      • 5 構造改革特別区域法
      • 6 公共サービス改革法
    • 第8 情報公開法
      • 1 「情報公開」とは
      • 2 「情報公開」の分類
      • 3 「情報公開法」の位置付け
      • 4 情報公開法の基本的な考え方
      • 5 情報公開の対象等
      • 6 情報の開示
      • 7 開示の実施
      • 8 権限又は事務の委任
      • 9 不服申立手続

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