地方議会のホントとホンネ
- 上島 義盛
牧瀬 稔
- Ｂ５判 152ページ
- 2,420 円（消費税込み）
- 2,200 円+税
- ISBN978-4-8090-4081-8
C3031 \2200E 
- 令和7年3月31日
本書の特長
保守系元議員が伝える地方議会の実情と
政策アドバイザーが伝える議会改革の論点がわかる！
- 議会の外側からは見えづらい議員を取り巻く仕組みや実態を、議員経験者ならではの視点（ホンネ）からＱ＆Ａ形式で解説。
- 多くの地方自治体・地方議会の政策アドバイザーを務めてきた有識者による、ホントの議会改革実現に向けたエール。
- 現役の地方議員はもとより、議員を目指す人、自治体職員等地方議会に携わる関係者、市民にも、地方議会がより身近に感じられる内容。
このページのトップにもどるはしがき
マックス・ウェーバーの『職業としての政治』の中に「政治とは、硬い板に力強くゆっくりと穴をあけていく作業です。情熱と目測能力を同時に持ちながら掘るのです。」という有名なくだりがあります。現職から離れて地方政治を振り返ると、この言葉は言い得て妙であるとあらためて思います。
自身の議員生活24年間においても、議会のあり方は変化してきました。その小さな変化の連続は、時代の流れによるものだけでなく、無名の偉大な地方議員たち（私の所属した議会にもそういう議員がいました）が地道に穴を掘り続けた結果でもあります。
最初は誰にも注目されなかった小さな穴でも、着実に広げていくことで、やがて大きなダムを崩壊させるほどの力を持つようになります。このような作用は民主主義の醍醐味でもあります。
地方議会の変化は、社会に大きなインパクトを与えないように思われがちですが、実は地域コミュニケーションにじわじわと影響し、やがて社会や文化に変化をもたらすものであり、政治の視点としてもっと重要視されるべきだと強く思います。
地方議会の持つ無限の力を感じる立場から、本書は、地方議会と地方議員について理解を深めることを目的としており、第1部では自身の経験から、議会の外側からは見えづらい議員を取り巻く仕組みや実態を60の質問に答える形で記しました。より本音として伝わるよう、時には情緒的に、また場合によっては理想とはかけ離れた現実をあえて肯定的に表現し、読者の皆様に考えていただくよう工夫しました。第2部は、牧瀬稔先生が、これまで多くの地方自治体や地方議会を研究してこられた専門家として、未来の政治に向けて情熱を持って掘り続けるために必要な論点を11項用意しています。
将来、よりよい社会を作るために、名もなき偉大な地方議員によって、各議会で穴が掘られ地方政治が大きく花開くこと、そして本書の内容がかつての地方議会の肖像として記憶されることを期待しています。
2025年3月
上島 義盛
目次
- 第１部 地方議会の実情
〜保守系元議員がホンネで伝えるＱ＆ A 〜- Ⅰ 地方議会のあらまし
- １ 議会の流れ 〜定例議会と臨時議会／通年議会〜
- Ｑ１ 議会はどのように始まるのですか？
- Ｑ２ ４年間の議会はどのように進められますか？
- Ｑ３ 議長はどのように選ばれますか？
- Ｑ４ 通年議会とは何ですか？
- Ｑ５ 予算が通らなかったらどうなりますか？
- ２ 議員の役割 〜議員の存在価値と権限〜
- Ｑ６ 地方議員は必要ですか？
- Ｑ７ 議員に頼むとすぐに実現しますか？
- Ｑ８ 地方議会にも与党と野党は存在しますか？
- Ｑ９ いずれＡＩが議会にとって代わるのですか？
- ３ 議会内会派 〜会派の位置づけ、代表者会／幹事長会、議員協議会〜
- Ｑ10 会派は必要ですか？
- Ｑ11 会派＝党派でないのですか？
- Ｑ12 会派内は仲が良いのですか？
- Ｑ13 会派間の調整は代表（幹事長）が行うのですか？
- ４ 議員の実態 〜待遇、族議員、質の変化〜
- Ｑ14 地方議員はどれくらい収入があるのですか？
- Ｑ15 報酬とは何ですか？
- Ｑ16 兼職や兼業は可能ですか？
- Ｑ17 常に公務最優先ですか？
- Ｑ18 いわゆる族議員は地方議会にもいますか？
- １ 議会の流れ 〜定例議会と臨時議会／通年議会〜
- Ⅱ 議員の日常
- １ 議員の日常（本会議）〜本会議と議会運営委員会〜
- Ｑ19 質問順序や質問時間はどう決めるのですか？
- Ｑ20 議員の賛否は事前に決まっているのですか？
- Ｑ21 ヤジは禁止できないのですか？
- Ｑ22 議会中の居眠りはやめさせられないのですか？
- Ｑ23 とんでもない議員をクビにすることはできますか？
- Ｑ24 懲罰はどのように行われますか？
- Ｑ25 懲罰に対抗はできますか？
- ２ 議員の日常（審議と委員会）〜常任委員会と特別委員会〜
- Ｑ26 委員長はどのように決まるのですか？
- Ｑ27 1分で終わる委員会があるって本当ですか？
- Ｑ28 なぜ、議員同士で議論しないのですか？
- Ｑ29 請願・陳情のより良い提出方法はありますか？
- ３ 議員の日常（調査活動）〜調査活動（議会内、議会外）〜
- Ｑ30 地方議員の調査活動はどのようなものがありますか？
- Ｑ31 調査活動にはどれくらいコストがかかりますか？
- Ｑ32 政務活動費はありがたいですか？
- Ｑ33 視察は必要ですか？
- ４ 議員の日常（広報活動）〜目的と使用規定〜
- Ｑ34 議員の広報活動にはどのようなものがありますか？
- Ｑ35 議会広報があるのに議員広報も必要ですか？
- Ｑ36 ホームページすら持っていない議員がなぜ当選できるのですか？
- Ｑ37 広報活動と称して選挙活動をしているのではないですか？
- ５ 議員の日常（政党活動、地域活動）〜政党所属、無所属、地域活動〜
- Ｑ38 地方議員は国会議員の部下ではないのですか？
- Ｑ39 政党所属の議員は無所属議員より楽ですか？
- Ｑ40 政党によって活動の違いはありますか？
- Ｑ41 地域活動は選挙目的ですか？
- １ 議員の日常（本会議）〜本会議と議会運営委員会〜
- Ⅲ 議員と取り巻く人間関係
- １ 役所との関係
- Ｑ42 自治体職員は議員の言いなりですか？
- Ｑ43 議員が自治体職員に育てられるという面はありますか？
- Ｑ44 議会事務局は議員の味方ですか？
- Ｑ45 行政にとって良い議員、議員にとって良い自治体職員とは？
- Ｑ46 議員によるパワハラはありますか？
- ２ 議員間の関係
- Ｑ47 議長は議会の最高権力者ですか？
- Ｑ48 違う政党の議員とは仲が悪いですか？
- Ｑ49 議員の中に序列はありますか？
- Ｑ50 議員連盟とはどのような組織ですか？
- ３ 議員と有権者との関係
- Ｑ51 支持者との連携はどうなっていますか？
- Ｑ52 地域行事や冠婚葬祭の対応は大変ですか？
- Ｑ53 「票ハラ」とは何ですか？
- １ 役所との関係
- Ⅳ 地方議会選挙
- １ 議会と選挙
- Ｑ54 議員には誰でも立候補できますか？
- Ｑ55 当選しても無効になる人や辞職となる人は？
- Ｑ56 地方議員の選挙で有利なのは政党所属ですか？ 無所属ですか？
- Ｑ57 地方議員の選挙で有利なのはベテランですか？ 新人ですか？
- Ｑ58 選挙はマーケティング活動ですか？
- １ 議会と選挙
- 番外編 地方議会に関する都市伝説
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- Ｑ59 23区の区議会議員のバッヂはなぜ立派なのですか？
- Ｑ60 議員はなぜ先生と呼ばれるのですか？
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- Ⅰ 地方議会のあらまし
- 第2部 地方議会のミライ
〜政策アドバイザーが伝えるホントの議会改革〜-
- Ⅰ 改めて地方議員の存在意義を問う
- Ⅱ 明確な定義が見当たらない「議会改革」
- Ⅲ 議会報告会の目的を問い直す
- Ⅳ 議員定数の削減の前にすること
- Ⅴ 政務活動費における不祥事をどうするか？
- Ⅵ 議会の行政監視機能をどうするか？
- Ⅶ 議会の評価は誰がするのか①
- Ⅷ 議会の評価は誰がするのか②
- Ⅸ 議会視察の法的根拠とその効用
- Ⅹ 議員のなり手不足をどうするか？
- Ⅺ 地方議会への女性参加を考える
-
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