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捜査研究臨時増刊号
サイバー防犯教育 実践の教科書

編著/監修
石川光泰 編著
慶應義塾大学サイバー教育等研究会 著
体裁
A5判 2色刷  232ページ
定価
2,860 円(消費税込み)
本体価格+税
2,600 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1512-0
C3037 ¥2600E
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本書の特色

年間約50回、約7,000名への指導実績に基づくノウハウを凝縮!


  • 「何を教えるか」「どう教えるか」の両方をこの一冊で学べる! 対象者の年齢や講義形態(講堂、教室、オンライン)に合わせて指導するためのポイントも解説。
  • SNSトラブル、個人情報と発信のリスク、スマホ依存、グルーミング、闇バイト、フィッシング詐欺、偽・誤情報、生成AIとの付き合い方、著作権など、スマホ防犯に必須のテーマを網羅。
  • 授業スライドや進行台本、関係者との打合せに使えるフォーマットなど、すぐ使える資料を多数登載!

はしがき

「依頼先が分からなくて…」

ある中学校の教員が、ぽつりと漏らした一言です。サイバー防犯教育の必要性は痛感している。けれども、どこに、どのように依頼すればよいのか分からない。

「教材を作る時間がないんです」

別の小学校の教員は、書類に目を落としたまま漏らしました。インターネットの危険性を子どもたちに教えたい。けれども、日々の業務に追われ、一から教材を作る余裕がない。

「ノウハウが足りません」

サイバー防犯ボランティア団体の大学生は、苦笑いを浮かべて打ち明けてくれました。子どもたちを守りたいという思いはある。けれども、授業をどう進めればよいのか、先輩が卒業してしまって分からない。

これらはいずれも、筆者が各地の教育現場やボランティア活動の場で繰り返し耳にしてきた声です。

 

子どもたちは日常的にインターネットに接続し、SNSを通じて多くの人とつながっています。GIGAスクール構想による一人一台端末の整備も相まって、デジタル空間は今や生活基盤の一部となりました。

その利便性の裏で、子どもたちが直面するリスクは拡大し続けています。

 

警察庁の統計によれば、令和7年にSNSに起因する事犯の被害に遭った児童は1,566人にのぼり、5年連続で減少を続けていた傾向が反転して増加に転じました。とりわけ小学生の被害は167人と、過去10年で最多を記録しています。さらに、不同意性交や略取誘拐等の重要犯罪の被害児童は598人に達し、前年から約3割増加しています。被害は量・質の両面で深刻化が加速しているのです。

 

一方で、サイバー防犯教育の現場には、この状況を変えたいという思いが確かにあります。筆者が大学生を対象に実施した調査では、約7割がサイバー防犯ボランティアへの参加に前向きな姿勢を示しました。学校教育においてもサイバー防犯教育への関心は高く、警察側からも、ボランティアと連携した教育活動を広げていきたいという声が聞かれます。

意欲はある。関心もある。それでも、現場はなかなか動き出せずにいます。その一歩を踏み出す壁となっているのは、「やる気」の不足ではなく、「やり方」が分からないことなのです。

 

本書は、その「やり方」を具体的な形にまとめた一冊です。サイバー防犯教育の現場の今を知るところから始め、準備、授業、教材制作へと順を追って示すことを目指しました。「やりたい」を「できる」に変える道筋を、初めて教壇に立つ大学生ボランティアにも、外部講師との連携を考える教員にも、サイバー防犯教室を担当する警察官や教育行政の担当者にも届けたい。その思いから本書を執筆しました。

 

同時に、こうした「やり方」を示すだけでなく、ネットリテラシーを体系的に学ぶための教材としても活用できる構成にしました。後半の教材編では、長時間利用とスマホ依存、グルーミング、個人情報と発信のリスク、SNSトラブル(いじめや誹謗中傷)、フィッシング詐欺、偽・誤情報、闇バイト対策、生成AIの仕組みと付き合い方、著作権と作品への向き合い方という、インターネットを使う以上は誰もが向き合うことになる主要なテーマを、一つひとつ取り上げて解説しています。サイバー空間における犯罪やトラブルから自身や家族を守るための知識を、まとまった形で身に付けることのできる構成です。

 

サイバー防犯について教える立場の方はもちろん、サイバー空間で身を守る術を体系的に学びたい全ての方にとっても、本書がその一助となれば幸いです。

2026年6月

石川 光泰


目次

  • 第1章 サイバー防犯教育の現在地
    • 1.1 子どもたちが直面するサイバー空間の脅威
      • 1.1.1 SNSは「生活基盤」になった
      • 1.1.2 被害児童数1,566人:減少傾向の「反転」が意味すること
      • 1.1.3 「見えない被害」:55.7%が誰にも相談していない
      • 1.1.4 低年齢化する被害:小学生が狙われている
      • 1.1.5 日々巧妙化する脅威:その具体的な手口
      • 1.1.6 サイバー防犯教育の必然性と現場のジレンマ
    • 1.2 サイバー防犯ボランティアの現状:担い手不足の構造
      • 1.2.1 サイバー防犯ボランティアとは何か
      • 1.2.2 構成員数の減少と「教育活動」の担い手不足
      • 1.2.3 サイバー防犯ボランティアが教える必要性:「斜めの関係」が持つ教育力
      • 1.2.4 7割が「参加したい」:届いていない「入口」
      • 1.2.5 ボランティアが直面する三つの壁
    • 1.3 学校現場を取り巻く四つの障壁
      • 1.3.1 「情報モラル教育」と「サイバー防犯教育」:それぞれの役割
      • 1.3.2 7都府県調査が明らかにした「四つの障壁」
      • 1.3.3 好事例に学ぶ:壁は乗り越えられる
    • 1.4 「知っている」のに「行動が変わらない」:知識と行動のギャップ
      • 1.4.1 4割が「行動は変わらなかった」と振り返る
      • 1.4.2 「禁止」から「判断力」へ:子どもたちに育てたい三つの力
    • 1.5 本書の役割
      • 1.5.1 教育という層は、何を担うのか
      • 1.5.2 本書が現場に届けるもの
  • 第2章 準備編:授業実施までの完全マニュアル
    • 2.1 準備の全体像を把握する
      • 2.1.1 準備の「型」が全てを変える
      • 2.1.2 授業実施決定までの流れ
      • 2.1.3 授業実施までの四つのステップ
    • 2.2 ステップ①:役割分担:責任の所在を明確にする
      • 2.2.1 三つの役割でチームは動き出す
      • 2.2.2 役割が決まったらすぐにやること
    • 2.3 ステップ②:事前打合せ:学校のニーズをつかむ
      • 2.3.1 なぜ事前打合せが必要なのか
      • 2.3.2 打合せ前:日程調整とメールのポイント
      • 2.3.3 打合せ当日:30分で信頼を築く
      • 2.3.4 打合せ後:24時間以内にすべきこと
    • 2.4 ステップ③:事前アンケート:子どもたちの「今」をデータで知る
      • 2.4.1 アンケートの有無で何が変わるか
      • 2.4.2 アンケート結果を授業に生かす
      • 2.4.3 アンケートを実施しない場合の工夫
    • 2.5 ステップ④:授業準備:教材を整え、リハーサルで仕上げる
      • 2.5.1 教材づくりは準備の山場
      • 2.5.2 スライドと台本:押さえるべき基本
      • 2.5.3 教材が完成したら:確認・リハーサル・機材準備
    • 2.6 授業当日と事後対応:準備の成果を発揮する
      • 2.6.1 授業当日:開始30分前から本番へ
      • 2.6.2 授業が終わったら:当日中にやるべきこと
    • 2.7 準備の「型」が生むもの
  • 第3章 サイバー防犯教育授業ガイド
    • 3.1 授業形態の選び方
    • 3.2 大講義型(体育館等)の授業ノウハウ
      • 3.2.1 距離を縮める授業の組み立て方
      • 3.2.2 後方席を巻き込むグループワークと発表
    • 3.3 クラス別型(教室)の授業ノウハウ
      • 3.3.1 「近さ」を生かす導入と対話の技術
      • 3.3.2 机の配置とグループワークの進め方
    • 3.4 オンライン型の授業ノウハウ
      • 3.4.1 画面越しの距離をどう埋めるか
      • 3.4.2 現地教員と「二人三脚」で進めるグループワーク
    • 3.5 授業成功の五つの原則
    • 3.6 教材の作成技術
      • 3.6.1 スライドと台本の一体設計
      • 3.6.2 台本の書き方と「話し言葉」への変換
    • 3.7 小学生への授業で意識すること
      • 3.7.1 小学生の特性と教材の作り方
      • 3.7.2 怖がらせすぎない配慮と実践上の工夫
    • 3.8 中高生への授業で意識すること
      • 3.8.1 中高生の特性と教材の作り方
      • 3.8.2 授業の進め方と実践例
    • 3.9 「届ける」授業へ
  • 第4章 教材編:9大テーマの解説と授業教材
    • 4.1 長時間利用とスマホ依存
      • 4.1.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.1.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.1.3 テーマ解説レポート
    • 4.2 グルーミング
      • 4.2.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.2.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.2.3 テーマ解説レポート
    • 4.3 個人情報と発信のリスク
      • 4.3.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.3.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.3.3 テーマ解説レポート
    • 4.4 SNSトラブル(いじめや誹謗中傷)
      • 4.4.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.4.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.4.3 テーマ解説レポート
    • 4.5 フィッシング詐欺
      • 4.5.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.5.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.5.3 テーマ解説レポート
    • 4.6 偽・誤情報
      • 4.6.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.6.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.6.3 テーマ解説レポート
    • 4.7 闇バイト対策
      • 4.7.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.7.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.7.3 テーマ解説レポート
    • 4.8 生成AIの仕組みと付き合い方
      • 4.8.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.8.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.8.3 テーマ解説レポート
    • 4.9 著作権と作品への向き合い方
      • 4.9.1 授業で伝えたいコアポイント
      • 4.9.2 授業時に気を付けるポイント
      • 4.9.3 テーマ解説レポート
  • 参考文献
  • あとがき・著者紹介・慶應義塾大学サイバー防犯教育等研究会

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