1回30分のSAトレーニング
FOCUS警察行政法

はしがき

昇任試験における「行政法」の難しさは、実務からの距離にあります。

例えば刑法・刑事訴訟法にあっては、警察官として経験してきた日々の実務から、具体的なイメージを作って理解を進められますが……行政法、特に「警察法/地方公務員法/行政法学一般」は、必ずしも日々の実務に直結してはいないため(あるいは直結していることが理解しづらいため)、条文がお経のように感じられ、自分の勤務に引き寄せて理解することが困難です。

他方、行政法のジャンルのうち「警職法」は、刑法・刑事訴訟法同様、警察官として経験してきた日々の実務から、具体的なイメージを作って理解を進めることが(比較的)容易です。よって「警職法」にあっては、刑法・刑事訴訟法同様の方法で学習でき、点数のかせがしらになることが期待できる一方……実は誰にとってもそうであるため、「差が付きにくい」ことも想定されます。

すると「差が出る」のは「警察法/地方公務員法/行政法学一般」といった、誰もが苦手とするジャンルになります。これら苦手ジャンルに対しては、やはり、①面倒がらずに条文を読み、②面倒がらずに具体的場面を自分で考え、③面倒がらずに制度の趣旨を理解し、④面倒がらずに暗記すべきものは暗記して、臨むのがベストです。といって、それを独りで、真正面から、しゅくうけんで行うのは無理ですし無茶です。要はガイドがいります。

本書は、①〜④のガイドとなるものです。①〜④を可能とします。

無論、「差が付きにくい」警職法についても、「差を付けられる」ポイントを示します。

お経のようだった「行政法」の条文が、だからSAの選択肢が、リアルな意味を持って理解できるものとなる。本書はそれを目指しました。きっとそうなっていると信じます。

先入観・苦手意識を捨て、とにかく読んで/解いてみてください。

困難な勤務の中、学習時間を確保して努力する、各位の御健闘をねんしてやみません。

令和4年11月

警察行政法研究会