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ハイテク犯罪捜査入門

−捜査実務編−


体裁: A5判 488ページ
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本書の特色

分かりやすさを重視!
ハイテク犯罪捜査に関する基本的な知識や特有の事項、捜査手法、証拠化や立証の方法などを平易に解説。
実務に即応!
採証手続や送致事実の書き方など、ハイテク犯罪の捜査・公判において実際に役立つ内容を実践的に提供。
役立つ知識・情報が満載!
「索引兼用語解説」、「ハイテク犯罪の情状立証のポイント」、「ハイテク犯罪判決実例」、「スラング辞典」等、有用な知識・情報を多数掲載。

はじめに

 筆者は,月刊誌「捜査研究」で「検証・ハイテク犯罪の捜査」の連載を続けたところ,予想外のご好評をいただき,他に類書がなかったという幸運(?)からか,基礎編に相当する連載14回分を前著「ハイテク犯罪捜査入門―基礎編―」として単行本化する運びとなった(前著の「はじめに」参照)。前著は,主な読者層を法執行機関職員に想定していたが,これにとどまらず,セキュリティ業界関係者や一般読者の方からの購入も続き,初版刊行後約半年足らずで3刷を重ねるに至った。
 本書は,前著「ハイテク犯罪捜査入門―基礎編―」の続編であり,捜査実務編に相当する前著後の連載16回分を単行本化したものである。単行本化においても,連載当時のまま,一般の警察官を中心とした法執行機関の方が,肩の凝らない読みやすい平易な内容となるように心がけ,ハイテク犯罪の捜査に関する基本的な知識や特有の事項,捜査手法,証拠化や立証方法などについて,分かりやすく具体的に説明したつもりである。今後のハイテク犯罪の捜査・公判の現場において,実際に役に立つ内容を実践的に提供することを念頭においていることは前著と変わらない。
 前著同様に本書でも,単行本化においても,連載当時のままを旨とし,加除修正は最小限にしたので,掲載データを更新したものを除き,記載内容は連載執筆当時のものであることをお断りする。ハイテクの分野は「ドッグイヤー」又は「秒進分歩」といわれるように,技術の進歩が極めて急速であり,これを巡るハイテク犯罪も同様にハイ・スピードで進展変容していくからである。
 なお,本書は,あくまで「捜査入門書」であり,技術的正確さを犠牲にしても分かりやすさを優先しているし(意訳すら用いている),捜査・公判には不要と思われる技術的事項は,大幅な割愛をしたり,大胆な取りまとめ(JavaとJavaスクリプトの明確な区別を意識していない等)をしている関係上,「技術入門書」としては適当ではない。この点は,本書の性格をご理解いただいて,セキュリティ業界関係者など理系社会の方のご容赦をお願いする。
 また,本文中の意見にわたる部分は筆者の個人的な私見であること,模倣犯の出現を防止し,捜査上の秘密を厳守するため,一部の出典や説明の詳細を割愛している部分があることなどをご了解願いたい。

平成17年(2005年)10月1日
大橋 充直

目次

  • 第1章 ハイテク犯罪の課題と展望
    〈今そこにあるハイテク犯罪の危機(傾向と対策)〉
  • 第2章 宇宙人の会話(捜査序論)
    〈スラングや業界用語がてんこ盛り〉
  • 第3章 サーバの捜査(初動捜査)
    〈ハイこちらハイテク110番〉
  • 第4章 電子ファイルの押収(採証手続)
    〈法に明文はないけれど〉
  • 第5章 ハイテク犯罪の司法書類(証拠化)
    〈宇宙人の会話の翻訳〉
  • 第6章 送致事実の書き方の初歩(ハイテク捜査の背景)
    〈送致事実はスジ読みと証拠構造がぎっしり〉
  • 第7章 送致事実の書き方の発展(ハイテク捜査の一歩前へ)
    〈穴とDDoSはツールな香り〉
  • 第8章 DDoS攻撃やワーム配布犯(捜査の基礎)
    〈DDoSとワームはサイバー・テロの臭い〉
  • 第9章 DDoS攻撃やワーム配布犯(捜査の実際)
    〈組織的捜査が犯人検挙への道〉
  • 第10章 暗号と通信解析(入門編)
    〈踊る人形さようなら,高等数学こんにちは〉
  • 第11章 暗号と通信解析(捜査実践編)
    〈難解な高等数学を第二次世界大戦時の手法で打破〉
  • 第12章 ログの捜査(入門&実践編)
    〈中学生がログを持ってきても慌てないために〉
  • 第13章 パソコンの捜査(実践編)
    〈犯人のパソコンと携帯電話は証拠のアドベンチャー・ワールド〉
  • 第14章 パソコンの捜査(発展編)
    〈パソコン捜査の真打はクッキーとレジストリ〉

【参考資料】

  • 資料1 主な英記号の読み方一覧
  • 資料2 内外のハイテク犯罪文献に出てくる略語のABC
  • 資料3 普通の辞書に登載されないハイテク犯罪特殊用語
  • 資料4 主要なRFCと規約事項(本文引用のものを除く。)
  • 資料5 記号文字のJISでの読み方
  • 資料6 カントリー・コード等一覧
  • 資料7 ハイテク犯罪に出現する暗号方式
  • 資料8 これからの捜査でよく遭遇する暗号用語集
  • 資料9 ハイテク犯罪に対処するための刑事法の整備について
  • 資料10 著名な拡張子の例
  • 資料11 ハイテク捜査頻出スラング
  • 資料12 ハイテク犯罪の情状立証のポイント
  • 資料13 ハイテク犯罪判決実例
  • 索引兼用語解説