人口減少時代の地域活性化策を模索する自治体関係者に贈る、調査研究事例集!
自治体シンクタンクによる研究やユニークな取組みがあなたの自治体の政策ヒントに!
中野市政策研究所は、中野市役所が設置した自治体シンクタンクである。それは、一つの課や係としておかれる。自治体シンクタンクとは「地方自治体の政策創出において徹底的な調査・研究を行い、当該問題を解決するための提言を行うために組織された機関(団体)」と定義できる。
2018年8月には、花巻市(岩手県)において「花巻市地域おこし研究所」が誕生した。同研究所は慶應義塾大学SFC研究所のバックアップを受けている。2019年4月には、同じ長野県の上田市において「上田市政策研究センター」が誕生する。同センターは市長直轄組織の自治体シンクタンクであるようだ。近年は、地方都市において、自治体シンクタンクが設置される傾向が強い。自治体が政策で勝負するようになってきた証左と思う。
中野市政策研究所規程を確認すると、同研究所は「市政に関する総合的な調査研究を行う」ことが目的となっている(第1条)。本書は、中野市政策研究所が担当した調査研究の成果を記している。
中野市は人口が4万人強である。私(牧瀬)が言うのは余計なお世話と思うが、同市は地方創生にもがき苦しみながらも、前進しようとしている。きっと、多くの自治体は同じ状況にあると思う。その意味で、中野市は他の多くの自治体のモデルとなり得る。同市の取組事例は、他の自治体においても活用できる可能性が高い。
中野市の政策づくりは、少しずつ成果が見られつつある。例えば、農産物を売り込む「売れる農業推進室」という部門を設置している。また「営業推進課」も立ち上げ、中野市を積極的に内外に営業している。これらの事業は視察も多い。本書では、これらの秘訣に加え、中野市の具体的な施策や事業を記している。
同時に、本書は筆者(牧瀬)が経験してきた政策づくりの基本的な視点や視察のポイントなどにも言及している。これらは自治体が政策づくりに取り組むときに役立つ内容と思う。
一つだけ個人的なお詫びを記しておきたい。筆者は中野市政策研究所の政策アドバイザーでありながら、2018年度は中野市に行く機会が限定的であった。そのため中野市が期待していたようなアドバイスができなかったと考える。次年度から、少しずつ、しっかりと関わっていきたい。
2019年3月
中野市政策研究所政策アドバイザー
関東学院大学法学部地域創生学科准教授 牧瀬 稔