木造建築物火災等において、消防活動中の床抜けなど、建物の構造的なものに起因する受傷事故を防止するため、消防活動にあたる全ての活動隊員、団員が配慮すべき留意点やポイント、着眼点などを事例の写真やイラストを多用し、わかりやすく解説した。
また、建物火災における火災性状と火災性状を考慮した消防活動のポイントをまとめた映像教養資料をDVDに収録した。
日本各地で年間3万2千件前後の建物火災が発生している中、日夜、全国の消防職員、消防団員が国民の生命・身体・財産を保護するため、消火作業に従事しています。各消防本部、消防団では組織をあげて消火作業に従事する職・団員の安全管理の徹底を図り、受傷事故の防止に努力しているところです。
しかし、消火作業中の事故、特に出火建物の壁、床、天井などの倒壊、落下により、私たちの同僚が受傷する事故は各地で発生しています。
そこで、東京消防庁の協力をいただき、同種事故を防止するため、本書を発刊しました。
内容は、現場指揮者をはじめ、火災現場に出動する全ての消防隊員、消防団員が配慮すべき留意点や、災害現場において安全管理業務に従事する安全管理担当者(隊)が確認すべきポイント、着眼点などが事例を中心に整理されています。
また、特に消火活動から残火処理活動にいたる中で、床部、壁体部の落下に対しても安全を確保した活動ができる方策を明記しており、消防活動に携わる多くの消防隊員や消防団員にとって有益な図書であります。あわせて、建物火災における「燃焼の基礎」、「建物の火災性状」、「火災性状を考慮した消防活動のポイント」で構成され、火災映像も盛り込まれた映像教養資料(DVD)を添付しています。
本書が消防活動に従事する皆さんの必携として、また、教育・研修資料として広く活用され、火災現場での消防活動に伴う受傷事故が皆無となることを念願するものであります。
平成19年5月
全国消防長会 会長 関口 和重