公務を遂行する者が、多くの注釈書に示された通説的見解に反することは、過失を意味する。
これは、公務員の違法行為の責任を論じたドイツの判例の一説である。
公務員がその職務を遂行するに当たって、関係法規を知らなかったとか、必要な知識経験を欠いていたとかいうことは、一片の弁解にもならない。
この書物は、警察官職務執行法を中心として、警察官の職務執行の基本的な部分の解説を試みた。
著者は、この書物において、判例の中から、第一線警察官の職務執行上の迷いを解き、自信を深めるに足る問題を選択し、それによって結論を示す方法を採用した。
これが民衆と共にある警察官の伴侶として、適正な職務執行の一助となれば、著者の幸いこれに過ぎるものはない。