判定書を作成する上で、その表現手法については作成者が苦慮するところであり、文章だけで全てを網羅することはとても難しいと思います。例えば、「り災した建物は、○○方向に○○、○○方向に○○、…○○方向の階段を上がり、○○方向の通路を○○方向に…」となると、文章だけで表現しても判定書を読む第三者にとっては理解しがたく、方向オンチになります。また、出火についての実況や考察に至る前に迷宮に陥ってしまいます。
そもそも判定書は、調査員が火災に至った経過や出火原因について万人が分かるように表現することが大前提になると思います。
小説の中の情景や風景の表現などは、読者がそれぞれの体験から色々な風景を想像すると思います。小説の場合はそれぞれの捉え方で構わないと思いますが、判定書の場合は、小説のような訳にはいきません。読む側の全てに共通の認識をもってもらわないと意味がないのです。
このようなことから、文章を補足する意味で、火災調査書類において図面というものが非常に重要となってくるのです。
平成20年9月
火災調査技術向上研究会