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警察の進路
〜21世紀の警察を考える〜

編著/監修
安藤忠夫
國松孝次
佐藤英彦
体裁
A5判  816ページ
定価
6,050 円(消費税込み)
本体価格+税
5,500 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1192-4
C3031 \5500E
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本書の特色

  • 国内外の根本的変化を踏まえ、複雑な諸課題への対応方策を特定の分野に限定することなく総合的かつ抜本的に提言。
  • 社会構造の激変、行政・司法システムの改変、グローバル化、技術革新など、様々な変化・改変への対応策を現職・OBの有力執筆陣が意欲的に解説。警察の制度・組織のあり方を探る。
  • 現役警察幹部を中心に気鋭の35名が執筆

「警察の進路〜21世紀の警察を考える〜」の刊行に寄せて

このたび、安藤忠夫、國松孝次、佐藤英彦の3氏が編集代表を務められ、執筆陣に警察庁の現役中堅幹部など気鋭の論者を配した論文集「警察の進路〜21世紀の警察を考える〜」が刊行された。

本書でまず目につくのは、厳選された中にも重要な論点を網羅した執筆項目である。執筆項目の選定自体が、今後における警察の行政と組織の在り方への真剣かつ深刻な問題意識を感じさせる。これは、変化の激しいこの時代に、あえて今一度原点に帰って警察そのものを見つめ直そうとの問題意識から、項目選定がなされたことによるものであろう。

本書の編集・執筆者にも共通する認識であると思われるが、20世紀末からの社会、経済や国民意識など行政を取り巻く環境の変化は、正に激動そのものであった。ネット社会の本格的到来を迎え、マスメディアの介在なくして万人が万人に対して情報を発信することができるようにもなった。その中で、警察を含め様々な行政分野で実務を担っている人たちは、激変する情勢に戸惑い、ときには予想もしなかった批判に直面し、苦悩し、試行錯誤を繰り返しながら、行政の進むべき道を模索している。

警察は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持することを任務としている。これらは、国家の基本的機能に関わるものであり、社会、経済や政治が大きく変化しても、このような任務を持つ警察の必要性自体について異論は出てこないであろう。現在の警察は、大日本帝国憲法下での警察の組織や権限行使の在り方に対する反省、戦後占領下における警察制度の問題点等を踏まえ、昭和29年に現行警察法が施行されてその基本的な枠組みが作られたものである。以降、様々な治安状況に対応しつつ改良が続けられてきた。

近年、警察の犯罪予防機能や事案解決機能、さらには対応の迅速性に対する国民の期待水準は著しく高くなってきている。国民のニーズを的確に汲み取り迅速に課題に対応するためには、幹部を中心とした警察職員の不断の意識改革が必要であることはいうまでもない。それとともに、将来を見据えた適切な治安戦略の下に、自ら状況に応じて機動的に組織や制度、その運用方法を見直すなど、常に改革改良を怠らない姿勢を堅持しなければならない。その一方で、捜査など多くの警察活動には過去からの技術・技能の蓄積を欠かすことはできない。これらを現在に生かし、かつ、警察活動に最新の科学技術を取り入れていくためには、地道で継続的な努力が不可欠である。

意欲を持って日々の課題に取り組んでいる警察の実務家にとって、本書は有益なサポートを提供してくれるだろう。ただ、本書は、教科書的にその結論を受け入れて勉強するための書物ではない。むしろ、流動する情勢の中で国民の期待に応えようと懸命の努力を続けている警察職員、特にそのリーダーである幹部が、本書の執筆陣の提示した問題点やその背後にある問題意識に触れ、改めて自らの仕事の持つ意義と将来の方向性を考える手がかりを得ることに役立つ、そのような性格の書物であると思う。

本書が、警察職員をはじめ警察行政に関心を持つ多くの人々に読まれ、これに触発されて建設的な議論が行われ、今後の警察行政がよりよいものとなっていくことを願っている。

最後に、状況激変の難しい時代に、このような難しいテーマについて意欲的に論じた本書の執筆陣に、敬意を表したい。

平成20年10月

警察庁長官
吉村 博人


まえがき

本書の出版は、東京法令出版の創業60周年記念事業として企画された。その趣意は、現在の警察が抱えている課題について分析を加え、今後の展望を探るものを世に出したいということである。世は正に混沌の中にあり、警察の進むべき路を切り拓くことは容易でないことを考えると、この企画はまことに時宜を得たものと思う。

さて、20世紀末から今世紀初頭にかけて、我が国をめぐる状況は根本的に変化したが、21世紀の警察の課題については、この変化によって生じた諸問題に如何に対処するかが焦点となろう。根本的変化は、国の外と内の両方で起きた。

外界のそれは、国を取り巻く情況の急変である。

世界の構造が冷戦構造から地球規模での大競争構造へ急転回したこと、情報通信技術が目覚ましい革新を遂げたこと等によって世界は様変わりした。国・地域間の経済格差が拡大し、民族・宗教対立も激化して紛争が頻発するようになり、国際金融ネットワークに象徴される情報化社会の高度化によって世界という器が急速に小さくなってきている。その結果、我が国においても、イスラム過激派によるテロの脅威や外国勢力による武力攻撃が他所事ではなくなり、国内における犯罪収益が瞬く間に国外の金融機関を駆け巡る等、国内問題と国際問題とを峻別し得ない事態が際立ってきた。

内界のそれは、これまで経験したことのない数々の社会変動と国の統治に関わる大幅な制度変動である。

社会変動としては次のものが挙げられよう。

「バブルとその崩壊」、金融機関の破綻と金融システムの混乱、その後に陥った深刻な長期不況、経済のグローバル化と企業の相次ぐ合併・再編、不法滞在外国人の急増、いわゆる55年体制の終焉と多党分立・連合政権時代の到来、急速な少子高齢化と人口減少の開始、年功序列・終身雇用制度等日本型組織形態の変容、地域社会の脆弱化と人間関係の希薄化である。これ程の変動が集中的に生起したのは「敗戦」後の混乱期以来のことではなかろうか。

当然のことながら、これらの社会変動は相乗したし、国を取り巻く情況の急変とも相俟った。かくして、国民の間に国家統治の基盤を揺るがしかねない程の社会不安が生まれた。治安の悪化に対する不安と現在及び定年後・老後の生活に対する不安である。

制度変動としては次の3点が特筆されよう。

まずは、司法改革である。民事にしても刑事にしても、あまりに遅い裁判の進行に対する国民的批判を受けて裁判の簡素化・迅速化が図られたが、刑事については更に裁判官と裁判官でない裁判員が共同して裁判を行う制度が創られ、間もなく施行される。この裁判員裁判制度の開始に伴い、警察捜査はその運営をかなり変更しなければならないであろうし、従来にない捜査手法・捜査手続の導入が催促されるであろう。

平成11年の「地方分権一括法」により中央と地方の事務分担の見直しが行われた。また、平成13年には中央省庁の再編が行われた。これらと並行して平成の大合併と評される市町村合併が推進され、3,300余あった市町村がほぼ半減するなど基礎的自治体の姿が変貌した。そして、以上の動きと軌を一にするように、都道府県制を廃して道州制とするプランが各界で練られており、この動向如何によっては中央省庁の再々編が俎上に上ることもありうる。

十数年前の公務員不祥事に端を発した公務員批判、「官から民へ」の流れ、官に対する政治主導の主張等が勢いを増し、国家公務員制度改革基本法が制定されるなど公務員制度全体についての見直しが行われている。警察職員も公務員である以上この推移と無縁という訳にはいくまい。

このように見てくると、21世紀の警察の諸課題は、従来になく複雑で困難なものとなることは必定であり、諸課題への対処方策は、特定の部門に止まらない総合的なもので、かつ、抜本的なものとならざるを得ないであろう。また、その検討を推し進めていけば、警察の制度・組織のあり方に議論は及んでいくに違いない。

そこで、本書は、「第1編 警察行政の課題」 「第2編 警察の制度・組織をめぐる論点」 という構成とし、テーマは、できうる限り警察各部門に通ずるものを取り上げた。執筆は、若手の警察幹部と若干の警察幹部OBにお願いしたが、公務等の多端をものともせず、真に意欲的な達意の論文を寄せて頂いた。この場を借りて深甚の謝意を表する次第である。

また、本書の編集は、米田 壯・露木康浩・田中勝也・池田克史・楠 芳伸の現職幹部各氏の多大な支援により成し遂げ得たことを特記しておきたい。

難しい時代を迎えて警察の舵取りは一筋縄ではいくまいと想像するのであるが、本書が、中央・地方を問わず司々の幹部諸兄の警察運営に些かでも資するものになれば幸甚である。

平成20年10月

編 者
安藤 忠夫
國松 孝次
佐藤 英彦


執筆者一覧

※所属等は執筆依頼時のもの
編 者
安藤 忠夫(元警視総監)
國松 孝次(元警察庁長官)
佐藤 英彦(元警察庁長官)
執筆者(掲載順)
四方  光(警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室長兼警察大学校警察政策研究センター教授、博士(総合政策))
田中 法昌(警察大学校警察政策研究センター所長)
竹花  豊(元警察庁生活安全局長)
楠  芳伸(警察庁長官官房企画官兼交通局交通企画課理事官)
倉田  潤(警察庁交通局交通企画課長)
露木 康浩(内閣法制局参事官)
太田  誠(警察庁交通局交通規制課長)
國松 孝次
白川 靖浩(警察庁刑事局刑事企画課刑事指導室長)
後藤 啓二(弁護士、元愛知県警察本部警務部長)
瀧澤 裕昭(内閣官房内閣参事官)
太刀川浩一(警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官付理事官)
松本 光弘(警察庁長官官房参事官(右翼対策・国際担当))
吉田 尚正(警察庁警備局警備課長)
西川 徹矢(元防衛省大臣官房長、元新潟県警察本部長)
櫻澤 健一(警察庁長官官房人事課人事総括企画官)
砂田  務(警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課理事官)
岡田  薫(元警察庁刑事局長)
服藤 恵三(警察庁刑事局刑事企画課情報分析支援室課長補佐、警察庁指定広域技能指導官(情報分析支援)、医学博士)
田中 勝也(警察庁刑事局組織犯罪対策部企画分析課犯罪組織情報官)
吉田 英法(関東管区警察局長)
島根  悟(警察庁長官官房参事官(企画担当))
岡部 正勝(警察庁刑事局組織犯罪対策部国際捜査管理官付理事官)
小島 裕史(警視庁公安部公安総務課長)
近藤 知尚(警察庁長官官房企画官兼人事課理事官)
小林 良樹(警察庁長官官房総務課政策企画官兼刑事局組織犯罪対策部付)
古谷 洋一(警察庁生活安全局生活環境課知的財産権保護対策官)
竹内 直人(警察庁長官官房付(インドネシア国家警察改革支援プログラム・マネージャー兼国家警察長官政策アドバイザー))
小柳 誠二(警察庁交通局交通企画課理事官)
北村  滋(警察庁刑事局刑事企画課長)
佐藤 英彦
河合  潔(内閣官房副長官補付内閣参事官)
荻野  徹(国家公安委員会会務官)
池田 克史(警察庁長官官房企画官兼総務課理事官)
白井 利明(警察庁長官官房国際課理事官)

目次

  • 第1編 警察行政の課題
    • 第1章 社会・経済構造の変化への対応
      • 機‘本社会の構造変化と21世紀の社会安全政策〜家庭・企業・地域社会と個人の内面の変化を中心に  四方 光
      • 供“蛤瓩慮彊とその統御〜社会安全政策試論  田中 法昌
      • 掘ー0属飮機能の官民分担  竹花 豊
      • 検〃抻々埓の民間委託についての一考察  楠 芳伸
    • 第2章 行政・司法のシステム改変への対応
      • 機〇後制裁型社会と治安  倉田 潤
      • 供〃沙司法制度改革と警察捜査〜取調べの録音・録画と証拠開示の問題を中心に  露木 康浩
      • 掘_罎国の捜査機関とその相互協力  太田 誠
      • 検々匐事故・医療事故と警察捜査  國松孝次・白川靖浩
      • 后“蛤疊鏗下圓慮⇒の確立に向けた取組と今後の課題  後藤 啓二
    • 第3章 グローバル化への対応
      • 機〕萋外国人犯罪の現状と今後の治安  瀧澤 裕昭
      • 供.泪諭次Ε蹇璽鵐瀬螢鵐安从の国際的調和と事業者の参加  太刀川浩一
      • 掘々餾櫂謄蹈螢坤爐箸瞭い  松本 光弘
      • 検々颪離謄軋从と警察  吉田 尚正
    • 第4章 技術革新への対応
      • 機〃抻,砲けるこれからの技術についての一考察  西川 徹矢
      • 供〃抻ヽ萋阿砲ける科学技術の応用  櫻澤 健一
      • 掘.妊献織觴匆颪侶抻  〆重帖〔
      • 検。庁裡膳心嫩蠅慮従と課題  岡田 薫
      • 后〜楮沙抉隋 ”藤 恵三
      • 此‐霾鵑龍νと情報管理  田中 勝也
  • 第2編 警察の制度・組織をめぐる論点
    • 第1章 警察制度とその歴史的考察
      • 機〔声A梓の警察制度の変遷と近代警察の確立に至る経緯(素描)  吉田 英法
      • 供々餡斑亙警察及び市町村自治体警察並立時代の概観〜両者の制度的関係を主に  島根 悟
      • 掘―外国の警察制度
        • 1 フランスの警察制度  岡部 正勝
        • 2 ドイツの警察制度  小島 裕史
        • 3 イギリスの警察制度  近藤 知尚
        • 4 アメリカ合衆国の警察制度  小林 良樹
        • 5 韓国の警察制度〜自治警察制度をめぐる議論を中心に  古谷 洋一
        • 6 インドネシアの警察制度  竹内 直人
        • 7 中国の警察(政法委員会及び公安機関)  小柳 誠二
    • 第2章 警察制度に内在する論点とその展開
      • 機‘盂嫣輙大臣と警察組織―警察制度改革の諸相  北村 滋
      • 供〃抻,寮治的中立性と公安委員会  佐藤 英彦
      • 掘〃抻,量閏臈統制という仕組みの現在とその課題  河合 潔
      • 検々颪寮嫻い斑亙自治  田中 勝也
      • 后〃抻〇務の範囲と分担  荻野 徹
    • 第3章 警察組織の新課題
      • 機‘蚕制と警察に関する論点について  池田 克史
      • 供々餾欟力と担任組織の在り方  白井 利明

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