この数年来、「どうなっているんだ」、「どうしてだ」と、とても理解に苦しむ事件が相次いで起きました。子による親殺し、親による子殺しをはじめとして、いろいろな凶悪事件が頻発しました。そして、またもいじめ自殺が連鎖反応的に発生しました。
私たち日本人はどうなってしまったのでしょうか。かつて、卑怯な行為を忌避し、誠を重んじ、慈しみや哀れみの心を尊んできたはずの日本人の精神は雲散霧消したのでしょうか。
この数十年の間に、明らかに家庭・家族をはじめ、教育現場、地域社会等が質的に変化してきました。そこで、それらは、なぜ、どのように変化し、人間の成長・発達とどう関係して、どのような影響を及ぼして今日に至っているか等について分析し、対応の在り方について検討してみたいと思います。
私は裁判所から事件を通して見てきた、通常、一般市民の耳に届かないような事件当事者のいわば隠された部分にもスポットを当てながら、私の主張や意見を提示することによって、読者の方々に、多少とも(偉そうなことを言いますが)世直しの刺激を与えることができれば幸いです。そして、精神的にたくましく、柔軟で豊かな活力ある日本人(心)の健全なリ・ルネッサンスを夢見ているのです。
平成20年12月
屋久 孝夫