警察官は、警察法や警察官職務執行法をはじめ、刑事訴訟法などの関係法令等の法的根拠に基づいて警察活動を行う強い権限を有している。とりわけ地域警察官は、管内の実態に即し、住民の意見及び要望に応える活動を行い、常時警戒を保持し、すべての警察事象に対して有事即応することが義務付けられている。
その職務は、常に住民の人権の保障、個人の権利を侵害しないことが前提にある。警察官という法の執行者は、いかなるときも法令根拠と崇高な責任感を併せ持ち、適正かつ的確な処理が求められるものである。本書は、第一線で活動する地域警察官が、日常業務で対処する警察事象、とりわけその中で、主要な事象を抽出して、その法的根拠、対処方法を列記したものである。諸法の基本となる警察官職務執行法の解説も付記した。
地域警察官が、自信を持った権限行使を行い、住民の日常生活の安全と平穏を確保するという強い信念で地域警察活動を展開されることを希望するものである。
なお本書はヴィジュアル法学シリーズに続く警察実務版として刊行するものであり、事例に基づき係長と巡査との問答形式によることとして、より理解しやすいものとした。
平成21年3月
地域警察レベルアップ研究会
ますます複雑化する現代社会の中で、警察活動を取り巻く環境も変化をみせている。とりわけ地域に根ざした活動を展開する地域警察の役割も一層重要視されている。
ストーカー対策、DV(ドメスティック・バイオレンス)対策、幼児虐待問題、インターネット関連犯罪の増加等、一つとして画一的に対応できる事象はなく、個人の人権を保護し、権利の侵害をすることなく、迅速適正な対応が要求される。
今回の改訂は、平成25年7月いわゆるDV法とストーカー規制法の一部を改正する法律が公布されたことから、これに合わせた内容に改訂することとしたものである。
本書は、初版から地域警察官が一線で対処する警察事象について、根拠と対応要領について記し、問答形式による理解のしやすいものとしているが、地域警察活動に携わる警察官のレベルアップに寄与するものであれば幸いである。
平成26年3月
地域警察レベルアップ研究会