令和4年施行の改正を含む少年法の動向や実務の現状が、
この1冊で把握できる!
本書は、平成14年5月発刊の「少年法―その動向と実務―」(平成21年6月、平成26年11月各改訂)を、令和3年の少年法の改正を契機に、更に改訂するものである。
令和3年の少年法改正は、公職選挙法の選挙権年齢や、民法の成年年齢の引下げなど、18歳及び19歳の者を取り巻く近年の社会情勢の変化に鑑み、これらの者について、少年法の適用においても、その立場に応じた取扱いをすることが適当であると考えられたことから、18歳及び19歳の少年に対する特例を整備するなどの措置を講じるためになされたものであり、18歳以上の特定少年について、全事件を家庭裁判所に送致する仕組みは維持した上で、①いわゆる原則逆送対象事件に死刑、無期又は短期1年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件を加える、②保護処分は、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内でしなければならないこととするとともに、ぐ犯をその対象から除外する、③検察官送致決定後の刑事事件の特例に関する規定は原則として適用しないこととする、④18歳以上の少年のときに犯した罪により公判請求された場合には、いわゆる推知報道の禁止に関する規定を適用しないこととするなど、実務に少なからぬ影響を及ぼす内容を含むものである。
本書は、これらの改正法の内容を盛り込んだ上で、引き続き、「その動向と実務」の解説を試みるものである。第4版の執筆者らは、令和3年の少年法改正に関与した者であり、改正法の趣旨・内容について基本的な理解が得られるよう配慮したつもりである。
いずれにしても、本書が、引き続き、実務家や学生など読者の方々の少年法に対する理解や関心を深める一助となれば幸いである。
令和5年6月
河 村 博