平成16年8月に (株)ジャパン・メディカル・レスポンス(現:(株)95R)を設立。平成24年11月には一般財団法人日本救護救急財団を設立、専務理事に就任。
平成18年から国士舘大学大学院救急システム研究科非常勤講師として救急コミュニケーション論を担当。消防学校、消防職員研修、救急救命士養成課程、救急救命士会等でコミュニケーションスキルやリーダーシップ研修の講師としても活躍中。
結婚を機に事務職OLを退職し、専業主婦になって始めたブログに毎日掲載したイラストが徐々に世間の目に留まるようになった後、『日本ブログ大賞2006・ホビー大賞』受賞。それからイラストレーターを本業に現在も邁進中。
主な著書として『燃える妻のゴルフ狂時代』(ゴルフダイジェスト社)、『かわいい子にはゴルフをさせよ!』 『イクメン先生の夢をかなえるわくわく子育て』(ともに保育社)、『ゴルフ1年生』((株)エンターブレイン)、『シングルゴルファーになるヒント 70』(Pargolf&Company)、『心を整える 写経と写仏』(河出書房新社)など。業種問わずWebコンテンツ挿絵も手掛ける。ベストスコア84。
近年、消防職員の活動が描写されているドラマや映画が非常に増えて、消防という組織は、国民から、厚い信頼と支持を受けています。しかし、その一方で、消防という組織を取り巻く環境にも大きな変化が起きました。市町村合併やメディカルコントロールに、消防という組織だけでは決して解決することができない複雑な問題や課題も抱えています。その問題は国民の不安を煽るものであり、様々な情報によって、これまでは国民が知る由もなかった内容が開示されるようになったりしています。この中で起きるトラブルの多くは、コミュニケーションエラーによるものが大半です。今の時代は、消防職員としての知識や技術に加え、高いコミュニケーション能力も求められているといっても過言ではありません。
本書は『月刊消防』で2008年1月号から12月号までに連載された「消防職員のためのコミュニケーションスキルアップ講座」において読者からご好評をいただき、消防の現場の皆様からの質問等に回答ができるようにと、連載では書ききれなかった内容を新たに加筆して、皆様のコミュニケーションスキルアップに役立てていただけるように、個人個人が学習できるワークブック形式にしました。
コミュニケーションには、「これが正解!」という答えはありません。コミュニケーションは、相手の評価がすべてであって、受け手がどのように感じるかによって、善し悪しが決められてしまうもの。ですが、できるだけ、どのような人にも対応できるような平均的なスキルは持ち合わせていたいものですよね。
どんなに高い知識や技術を持っていても、相手からのコミュニケーションの拒否が起きてしまえば、その技術や知識を与えることはできません。一人ひとりに高い知識・技術があっても、チーム(隊)でのコミュニケーションが図られていなければ、円滑な活動にはつながりません。
大規模災害の現場では、消防・救助・救急が三位一体となって初めて消防活動といえると考えています。また、予防査察や現場の職員を支える部署があるからこそ、国民の安全は守られるものだと思っています。現場の職員から事務職、全員がいて消防という組織。国民の安全のためにも、職場内でのコミュニケーションも大切にしてもらえれば、本当に嬉しい限りです。
本書は、新人職員からベテラン職員の方まで、現場から職場のことまで、楽しみながらコミュニケーションを学んでいただける内容にしました。そして、スポーツの業界や「ブログ」の世界では非常に著名なイラストレーターのA子さんにイラストをお願いしました。A子さんは、消防という組織のことは一切知らない方ですが、一国民の目線で描いて欲しいという、私の強い希望があって、イラストをお願いしました。A子さんのイラストにもぜひご注目ください。
一人ひとりが「この場合、自分なら何と言うだろうか……」を考えて、楽しみながらコミュニケーションのスキルアップを図っていただけるワークブックをぜひ活用していただき、消防職員の皆様が円滑なコミュニケーションを図ることによって、今まで以上にもっともっと国民から厚い信頼を得てくだされば、本当に幸いです!
平成21年7月
渡部 須美子