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警察官のための憲法講義【第3版】

編著/監修
田村 正博(警察大学校名誉教授、京都産業大学法学部教授) 著
体裁
(2色刷)A5判  280ページ
定価
2,530 円(消費税込み)
本体価格+税
2,300 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1500-7
C3032 ¥2300E
発行日
令和7年9月20日
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本書の特長

「実務」も「昇任試験」も。「憲法」はこれ1冊で完璧!!

  • これまでありそうでなかった、「警察実務に本当に必要な憲法知識を明らかにする」ことにこだわった一冊です。 →社会安全政策との関連や警察による人権侵害が争われたテーマについては、判例をじっくり解説するとともに、警察行政法や刑事訴訟法なども横断的に解説しました。
  • 目にやさしい2色刷、詳しい索引など、使い勝手も抜群

改訂のポイント(第三版)

  • 「警察の情報収集活動」「インターネット上の人権侵害への対処」など、今日重要視されているテーマについては、令和の最新判例やコラムを交え、掘り下げて解説!
  • 「社会常識としての憲法」をWebで閲覧するPDF版でご提供。スマホ・タブレットがあれば、どこでも学習できます。

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はじめに

本書は,「警察官の実際の仕事に役立つ憲法を明らかにする」という観点から作られた初めての「警察官のための憲法解説書」である。警察官が憲法を学ぶ目的は,〃法の定める基本的人権を不当に侵害しないようにする,警察に関する様々な制度や法令を憲法と関係付けてより深く理解する,「憲法」「人権」を理由にした警察に対する不当な批判に自信をもって反論できるようにする,ことにある。このため,本書では,刑事手続上の人権,表現の自由,みだりに容ぼう等を撮影されない自由など,警察官の権限行使に関係のある人権について,保障と限界(権力的介入が可能とされる程度と理由)を解説するとともに,警察関係の法制度と国民主権の原理等との関わりを明らかにすることに努めた。

本書では,専ら最高裁判所の判例と法令とを基にして解説を行った。最高裁判所は,憲法解釈についての最終的な判断機関である。また,最高裁判所によって違憲とされていない法令は,すべて憲法に適合したものといえる。本書は,これらの有権的な憲法解釈のみを記述し,既存の「憲法教科書」にあるような研究者の見解には一切触れていない。法の執行者である警察官にとって求められるのは,「判例等で明らかにされた現実に有効な憲法解釈を学ぶ」ことであって,「学問として憲法のあるべき解釈を探求する」ことではないからである。学問的に重要と考えられている解釈上の論点で,触れていないものも多い。これに対し,「警察行政法」(一部は「刑事訴訟法」)につながる場面では,憲法の規定にとどまらず,個別の法令に至る解説も行った。特に,条例については,警察官も制定に関わる場面があり得ることから,かなり詳しく記述している。

本書は,二部構成となっている。第1部では,「警察官のための憲法」と題して,警察官にとって意味のある規定だけを取り上げ,前記の目的に対応する憲法知識の解説をしている。これに対し,第2部では,「社会常識としての憲法」と題して,憲法の全条文につき,簡単な逐条的解説をしている。警察官も社会人,主権者の一人として,憲法全体の概略を知っておくことが必要だと考えたからである。

本書が,警察官にとって本当に意味のある憲法解説書となることを,筆者として期待している。

平成22年7月

早稲田大学客員教授(警視監,前福岡県警察本部長)
田村 正博


まえがき

憲法の規定は制定以来変わらないが,判例や法令を通じて現れる憲法の意味・影響は変化し続けている。

特に,近時の最高裁の判例を見ると,性的少数者など様々な弱い立場の人々の人権への配慮をより求める姿勢が強く感じられる。このような流れを警察として軽視することはできない。

また,下級審の裁判例には,情報の保管管理の不適切さのため,本来行われるべき警察の情報収集活動に疑念を抱かせるものが見られる。ローン・オフェンダー対策などで警察としての幅広い情報収集の強化が必要となる中,情報の保管管理を厳正に行うことがより一層求められている。

一方,子どもの性暴力による被害を防止するための法律が制定されるなど,被害防止の観点から,加害の可能性のある者の権利自由の制限も強化されている。インターネット上の人権侵害に対処するための仕組みも広がってきている。

これらの状況に対応して,今回,憲法の考え方に立った警察実務のあり方に関するコラムを相当数追加するなど,必要な改訂を行うこととした。

あわせて,時代の変化の中で現在では必要性が減ってきた箇所や違和感を持たれるようになった記述については,削除し,あるいは修正し,注も含めた見直しを行った。全体を通じ,できるだけ読みやすく,分かりやすいものとするよう努めたつもりである。

その一環として,警察官としての職務に直結する部分に本書の内容を限定することとし,社会常識としての憲法の解説は本書の本体から切り離すこととした。

本書が,引き続き令和の時代の多くの警察官に読まれることを願っている。

令和7年7月

警察大学校名誉教授,京都産業大学教授
田村 正博


目次

  • 第1章 序論 警察と憲法
    • 第1節 警察官と憲法
      • 1 警察官が憲法を学ぶ意義
      • 2 憲法の働き方
    • 第2節 国民主権の原理と警察
      • 1 国民主権と権力分立
      • 2 国民主権と公務員・行政組織
      • 3 国民主権と法
    • 第3節 基本的人権の保障と警察
      • 1 職務執行における相手方の人権の尊重
      • 2 警察の職権行使による個人の保護
  • 第2章 基本的人権総説
    • 第1節 基本的人権の意味
      • 1 基本的人権の考え方
      • 2 基本的人権の種別
    • 第2節 基本的人権の保障(人権の実現と制約)
      • 1 人権の実現方策
      • 2 公共の福祉による人権の制約
    • 第3節 基本的人権が限定・制約される立場にある者
      • 1 外国人の人権
      • 2 公務員の場合の制限
      • 3 刑事施設被収容者等の人権
  • 第3章 刑事手続上の人権
    • 第1節 人身の自由と刑罰
      • 1 人身の自由
      • 2 国家刑罰権の行使と人権保障
    • 第2節 適正手続の保障
      • 1 適正手続の保障の意味
      • 2 行政手続における憲法31条の適用
    • 第3節 不法な逮捕からの自由
      • 1 逮捕における令状主義
      • 2 被逮捕者の権利(不法な抑留・拘禁からの自由)
    • 第4節 住居等の不可侵(不法な侵入・捜索・押収からの自由)
      • 1 捜索における令状主義
      • 2 行政手続における適用
    • 第5節 黙秘権と自白法則
      • 1 黙秘権の保障(自己負罪拒否特権)
      • 2 拷問禁止と自白法則
    • 第6節 その他の刑事手続上の権利
      • 1 刑事被告人の権利
      • 2 刑罰に関するその他の規定
      • 3 刑事補償請求権
  • 第4章 個人の尊厳と法の下の平等
    • 第1節 個人の尊重と私的自由
      • 1 憲法13条による保障
      • 2 容ぼう等を撮影されない自由
      • 3 個人情報保護とプライバシー
      • 4 憲法13条に基づくその他の人権
    • 第2節 法の下の平等
      • 1 法の下の平等の考え方
      • 2 差別禁止と合理的な差異
  • 第5章 自由権
    • 第1節 自由権保障の全体像
      • 1 憲法の自由権規定
      • 2 自由権規定の歴史的経緯
      • 3 自由の保護
    • 第2節 表現の自由
      • 1 表現の自由の意義
      • 2 表現内容に関する規制
      • 3 表現行為の形態(表現手段)に関する規制
      • 4 報道の自由
      • 5 検閲の禁止
      • 6 その他の情報発信と受取りに関する自由
    • 第3節 集会結社の自由
      • 1 集会の自由
      • 2 集団行動と公安条例・道路交通法による規制
      • 3 結社の自由
    • 第4節 その他の精神的自由
      • 1 通信の秘密
      • 2 思想・良心の自由
      • 3 信教の自由
      • 4 学問の自由
    • 第5節 経済的自由と居住等に関する自由
      • 1 経済的自由
      • 2 居住・移転の自由
      • 3 国を離れる自由(外国移住及び国籍離脱の自由)
  • 第6章 その他の人権
    • 第1節 受益権
      • 1 受益権の意義
      • 2 裁判を受ける権利
      • 3 国家賠償請求権
      • 4 請願権
    • 第2節 参政権と社会権
      • 1 参政権
      • 2 社会権
  • 第7章 統治機構
    • 第1節 国会と内閣
      • 1 三権分立と国会
      • 2 国会の構成と権能
      • 3 内閣とその下の行政機関
      • 4 独立行政委員会
    • 第2節 裁判所
      • 1 司法権の裁判所への帰属と裁判官の独立
      • 2 裁判所の組織
      • 3 裁判の実施と違憲審査
    • 第3節 地方自治
      • 1 地方自治の保障とその意義
      • 2 地方公共団体の組織と住民による統制
      • 3 地方公共団体の権能
      • 4 条例制定権
    • 第4節 予算制度
      • 1 国の予算制度
      • 2 地方公共団体の予算制度
  • 第8章 国法の体系
    • 第1節 憲法
      • 1 憲法と国法の体系
      • 2 公務員の従うべき憲法解釈
    • 第2節 法律
      • 1 法律制定手続
      • 2 法律事項と様々な法律
      • 3 法律の解釈運用
      • 4 憲法が特に認めた法規
    • 第3節 行政機関の命令
      • 1 命令と法律の関係
      • 2 政令及び府省令
      • 3 国家公安委員会規則
    • 第4節 条例
      • 1 条例の制定手続
      • 2 法律と条例の関係
      • 3 条例で定める事項
      • 4 条例の立案と運用
      • 5 規則
  • 巻末付録
    • 文献案内
    • 判例索引
    • 事項索引
※ 以下の内容は,PDFデータで参照してください。
  • 社会常識としての憲法
    • 序 章 日本国憲法の全体像
    • 第1章 天皇
    • 第2章 戦争の放棄
    • 第3章 国民の権利及び義務
    • 第4章 国会
    • 第5章 内閣
    • 第6章 司法
    • 第7章 財政
    • 第8章 地方自治
    • 第9章 改正
    • 第10章 最高法規
  • 日本国憲法 前文

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