消防職員なら誰もが経験する査察。しかし、防火管理者とのやりとりや消防法にニガテ意識を持たれている方も多いのではないでしょうか?
当書籍ではそんなニガテ意識を克服すべく、マンガで立入検査の一連の流れを紹介していきます。消防職員になりたての方、普段は警防・救急がメイン担当だけれど、業務の合間を縫って査察を行う方、部下にわかりやすく指導したい上司の方…。そんなあなたにピッタリの一冊です。
※平成28年施行の行政不服審査法の改正に該当する部分について補正しています。
今、消防の現場は、社会情勢と比例して、大量退職時代を迎えています。
多数の退職者があり職員の入れ替わりがあるということは、人事異動も比較的短い間隔で行われ、職員としてはリフレッシュできる反面で、腰を据えて仕事ができないという一面があるのではないでしょうか。
予防査察を適正に実施するためには、消防法令に基づく規制等を査察員自身が十分に理解し、それに伴う豊富な知識が必要になりますが、たびたび行われる配置換えなどにより、なかなかじっくりと火災予防の勉強ができないのが現状です。
特に若手職員は、毎年多くの後輩が入局してくることから、職務全般において、自らのスキルが満足できるレベルに達する前に後輩を指導しなければならない立場になるなど、職務を取り巻く環境は厳しいものがあります。
また、予防査察については、当然ながら防火対象物の関係者に対する防火安全指導が中心になるので、消防法令に関する知識だけでなく、適切な接遇や対外交渉能力なども求められるため、それなりの経験が必要であり、一朝一夕に査察員としての技術、能力が向上するものではありません。
このようなことから、予防査察に対して、苦手意識を持っている消防職員も数多くおられるのではないでしょうか。
消防という職務を選択した多くの職員は、消防隊員や救急隊員として、住民の命を救いたいという崇高な使命感を持って入局してこられるわけですが、現場活動だけが消防の職務ではありません。これまでの火災事例を教訓とした消防法令等の規制に基づく予防査察は、市民生活に直結した重要な職務であり、火災による被災者を出さないという消防目的の原点ともいえるのです。
この本では、火災予防に関する知識だけでなく、予防査察や違反処理の実体験に基づき、さまざまな場面別に解説を行い、消防職を拝命して間もない若手職員や予防査察が不得手な職員の皆さんにも分かりやすい内容にすることを心がけました。
予防査察を実施するにあたり、参考にしていただき、違反是正の推進に貢献できればと思います。
平成二三年四月
立入検査研究会