消防に関係する判例だけを100集めた判例集、待望の発刊!
全国消防長会では、法律解釈に関する疑義を始め様々な法律問題についての各消防本部からの消防行政相談に対し、会員支援業務の一環として、継続的に取り組んでいるところです。
平成17年5月には、こうした行政相談事例を集約した消防行政相談事例集の初版を発刊し、さらに平成25年3月には、その後の行政相談事例を追加した2訂版を発刊し、消防本部や消防関係団体などに提供しました。
しかしながら、社会が複雑多様化するとともに住民の権利意識も高まる中で、消防機関が関わる訴訟事案が年々増加しており、消防行政相談事例集にとどまらず消防に関係する判例を収録した消防関係判例集を発刊し、消防行政上の参考資料として消防本部などに提供する必要性を痛感するに至り、この度新書を発刊することにしました。
本書は、消防行政に関係する判例の中から100の判例を精選し、本会顧問木下健治弁護士の監修のもと、本会事務局職員が編集・執筆したものですが、1事案概要、2認定事実、3争点、4争点に対する判断、5解説に区分して判例の内容を紹介することにより、分かりやすい判例集となるように努めました。
原稿の執筆は、全国消防本部から派遣された若手職員が分担して取り組んでくれましたが、字数の制約もあり、そのかなりの部分を割愛せざるを得ませんでした。また、2認定事実と4争点に対する判断の部分については、特に正確性を期すため、字句も含め判決文の表記をそのまま引用するようにしました。分かりづらい箇所があるとすれば、こうした事情と編集に当たった私はじめ幹部職員の力量不足によるものであります。ご寛恕ください。
今更申し上げるまでもないことですが、判決は訴訟となった個々具体の事案に即して下されますので、本書で取り上げた事案と似たような事案でも、将来訴訟提起されたときに全く異なる判断がなされたり、過去の判決が修正されたりすることがあり得ないわけではありません。さらに本書に掲載した判例のよりどころとなった法令自体が改正されるということも十分にあり得ます。関係法令はもとより消防関係判例の動向について、今後も十分注意を払っていただくようにお願いいたします。
本書が、消防業務に従事する方々の執務上の参考資料として十分に活用され、わが国消防行政の一層の円滑かつ適正な運営に資することができましたなら、これに勝る喜びはありません。
平成27年3月
全国消防長会 事務総長 大野 博見
地域社会の重要性が増している現代社会において、消防は、救急活動・火災予防活動・救助活動・消火活動等、地域社会の中で目覚ましい活躍をしております。
このような中にあって、消防が時代の要請を把握し、適切な活動をすることにより、地域社会の発展において一つの役割を果たすものと思います。
本書は、全国消防長会の事務局職員が、事務総長の統括のもとに、消防に関わる100の判例を選定し、分担執筆したものを私が監修したものです。
過去の判例から最新の判例まで消防行政上参考となる判例を収録しているため、本書が時代に即応したものになったと思います。
重要と思われる判例は可能な限り収録しましたが、今回収録できなかった判例や今後の判例については、読者の皆様の御意見をいただきながら、今後、版を重ねる機会に補充していくことができればと考えております。
本書が消防行政に携わる多くの消防職員や消防関係者にとって、極めて有益な書籍となり末長く御利用いただければ幸いです。
平成27年3月
弁護士 木下 健治