CSRMベーシックコースをスタートして10年。CSRMベーシックガイドを発刊して5年。私たちは、この10年間「震災時の活動とは」という言葉とともに歩み続けてきました。振り返れば、20年にも30年にも感じる10年です。
私たち研究会は、震災時の救助活動について様々な研究を続けるのと同時に、救護活動関係者のストレス対策に関する研究についても力を入れてきました。なぜなら、震災時の活動を研究するほど、また救護活動関係者の職務を見つめるほど、消防士をはじめ救護活動関係者のストレス対策をしなければならないと強く、そして深く感じたからです。
そして、ストレス対策や精神的な健康について勉強を重ね、研究を続けていると被災者の心理面についても自然と目が向いていきました。救護活動関係者にとって、要救助者の救出等と同時に救助活動現場にいる家族対応も重要な問題であると理解しました。
本書では、震災時に発生する様々な被害や活動障害の解説から倒壊建物補強技術、救助現場トリアージ、家族対応、そしてストレス対策まで幅広く震災時に求められる「やるべきこと」を解説しています。本書が多くの救護活動関係者の手助けとなることを願っています。
本書の発刊に当たり、協力していただいた研究会の仲間たち、そして助言や指導をしていただいた先輩方、本当にありがとうございました。多くの方々の協力により、「夢」としていた本書を発刊することができました。
最後に、本書を手にしていただいた皆さま、本書はベーシックガイドよりも更に内容の深いものとなっています。可能な限り分かりやすく、また誤り等のないように仕上げましたが、違和感や疑問などがありましたら教えていただきたいと思います。私たち研究会はご意見、ご批判をお待ちしています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
平成30年12月
全国救護活動研究会 代表 八櫛 徳二郎