救助現場におけるドア・シャッター・窓の開放の手引書。豊富なカラー写真を使用したわかりやすい解説に加え、動画で開放テクニックの一部始終を紹介。ほぼ全てがワンカット収録。材質や厚さ、回転力(音)による切断速度の比較などもできるので、何度も見て、覚えることができる。
2訂版では、近年、能力が飛躍的に向上している「充電式チップソーカッター」を使用したドア開放の方法を追加したほか、アメリカで考案されたバールと同じようで少し異なる破壊器具「ハリガンツール」によるドア開放の検証などの紹介を追加した。「充電式チップソーカッター」や「ハリガンツール」を使用したドア開放など5本の動画を新たに登載した。
火災による死者のほとんどが焼け死ぬのではなく、煙にまかれて亡くなるといわれている。
さらに、昨今、建物構造は難燃化、高気密化し、そして防犯性能が向上し、煙による死者の発生に拍車を掛けている。
このような背景や統計を勘案すると、私たちが火災現場で早期にドア開放を施せば、居室内に取り残された人たちを助け出すことができる。
プラチナタイム(貴重な2分間)という言葉はご存じだろうか。
初期活動の2分間は、消火、救助、情報が混在し、全てが最優先される中、使命を全うしなければならない。この貴重な時間をプラチナタイムという。
この時間に起こる全てを的確に処理することが理想だが、現実はその一つも処理できず、機を逸することも多いかもしれない。
この事実を真摯に受け止め、今、あなたは何ができるのか、何をやるべきなのかといった感覚を研ぎ澄ましておいてほしい。
プラチナタイムの使い方を人命救助に決めた場合、本書を活用することで良質な選択肢が出来上がるだろう。
可及的速やかな開口が叶うために開口ツールは、エンジンカッター、バールとハンマーに絞り、開口法を紹介してきた。
さらに米国消防バールや充電式チップソーカッターの登場により、より有効な開口法も紹介した。
救急救助でも交通救助でもない、まさに進行形災害の代名詞、火災救助の突破口をここに示す。
他に道具はいらない。この本とあなたがいればドアの向こうにある命は救い出せる!
令和5年8月
消防活動研究会