救助現場における「ドア・シャッター・窓の開放の手引書」として好評をいただいた『まるごと1冊 ドア開放マニュアル』の全面改訂版です。
豊富なカラー写真を使用したわかりやすい解説はそのままに、新たに動画を付けて、開放テクニックの一部始終を紹介。画期的なビジュアルテキストです。
など
火災による死者のほとんどが焼け死ぬのではなく煙にまかれて亡くなるといわれている。
それにもまして、昨今建物構造の難燃化、高気密化そして防犯性能の向上が、炎や熱ではなく煙による死者の発生に拍車をかけている。
このような統計や背景を勘案すると、もし、居室内に人が取り残されているのなら、私たちは火災現場で早期に開放器具を活用し、消火ラインの作成と同時に開口できれば、建物に残された人々を早く助け出すことができるだろう。
プラチナタイム(貴重な2分間)という言葉をご存じだろうか。初期活動の2分間の中では情報、消火、救助、救急が混在している。全てが優先される中、私たちは職務、使命を全うしなければならない。
分かりやすくいえば、やらなければならないことが並んでいてもそれを選択し、実行するのは部隊(隊員)なのだ。
この事実を真摯に受け止め、何ができるのか、何が重要なのか、何をするべきなのかを揺るぎないものにしてほしい。
その一つの貴重な時間の使い方を本書に記している。
プラチナタイムを有効にするために開口技術の質を高めてほしい。
きっと良質な選択肢が一つ出来上がるだろう。
可及的速やかな開口が叶うために主要使用資機材は、エンジンカッター、バール、ハンマーの三つで9割方開口部を作成できるマニュアルにした。
救急救命ではなく交通救助でもない、まさに進行形災害の代名詞、火災救助の突破口をここに示す。
他に道具はいらない。この本とあなたがいれば、扉の向こうにある命は救い出せる!
平成31年2月
消防活動研究会