当協会が毎月発行している機関紙『ほのお』の「消防最前線」は、消防という二文字を背負い、消防道を邁進して、萎えることのない雄姿と、これらの根幹をなす消防組織や現場活動の様子を全国の消防職員の皆様に紹介することをテーマに、昭和55年に掲載が始まりました。
これまで39年間の長きにわたり、全国各地の消防が直面した特異災害の発生・被害状況や現場の活動内容、今後の課題などを余すところなく体験者に執筆いただき、全国の皆様のもとにお届けしてきました。
掲載当初の昭和50年代は全国で年間約6万件の火災が発生していましたが、近年は4万件を下回る件数で推移し、消防隊員が実火災の経験を積む機会が減少しています。
そこで当協会では、これまで「消防最前線」にご寄稿いただいた全国の消防本部にご協力いただき、火災における消防活動の実践的教養書として本書『全国の実例から学ぶ消防活動事例集【消防最前線 火災編】』を発刊するにいたりました。
本書では、各火災における119番通報から出動、現場到着時の火災状況や消火活動の概要、さらには事例を通しての検討・推奨事項が、写真や部署図といった参考資料を交えて紹介されています。
現場指揮者をはじめ、火災現場に出動するすべての消防隊員にとって有益で貴重な資料であり、各消防本部が経験した火災事例から数多くのことが学べるはずです。
本書が消防活動に従事する皆さんの必携として、また、教育・研修資料として広く活用され、さらには火災現場での消防活動に伴う受傷事故の根絶に貢献することを念願するものであります。
令和2年3月
一般財団法人全国消防協会 会長 安藤 俊雄