鳥取県米子市出身。昭和52年警察庁入庁。徳島県警察捜査二課長、京都府警察捜査二課長、内閣法制局第一部参事官補、警視庁公安総務課長、警察庁総務課企画官、秋田県警察本部長、警察庁運転免許課長、警察大学校警察政策研究センター所長、内閣参事官(内閣情報調査室国内部主幹)、警察大学校特別捜査幹部研修所長、福岡県警察本部長、早稲田大学客員教授等を経て、平成25年1月、警察大学校長を最後に退官。
現在、京都産業大学法学部教授、社会安全・警察学研究所長。警察大学校講師兼任。弁護士(虎門中央法律事務所)。『警察官のための憲法講義(改訂版)』、『重要条文解説警察法』(以上、東京法令出版)、『現場警察官権限解説[上・下](第三版)』(立花書房)など、警察権限の行使における考え方を分かりやすく解説した著書多数。
警察活動全体に通じる考え方を根底から理解できる座右の書が、
令和4年の警察法改正をはじめ、
最新の内容にもれなく対応しリニューアル。
本書第二版の出版から7年、第二版補訂版の出版から3年が経過した。その間、警察法の改正など数多くの法律の改正や新法の制定が行われるとともに、情報の取得と管理を中心に重要な裁判例も示されている。また、初版出版以来、10年を超える時を経たことにより、これまでの記述に違和感が生まれたところもある。そこで、今回、全体にわたって記述を見直し、以下の3点を中心に改訂を行うこととした。
一つ目は、本書の内容を新たな法律に対応させることである。特に、令和5年に完成する個人情報保護法制の一元化に対応して、第7章第1節の多くの記述を改めたほか、民間の防犯カメラ等に係る個人情報保護法の適用などについて新たに書き加えている。また、小型無人機等飛行禁止法が制定されたことを踏まえ、新たにテロ対策法制の項を設けた。このほか、重大サイバー事案対処における国の直接執行を認めた警察法改正など、重要な法律改正については、内容だけでなく、その意義、考え方をできるだけ明らかにするように努めている。他にも、ストーカー規制法、銃刀法、道交法、地方公務員法、労働施策総合推進法など多くの法改正を受けて、必要な記述を追加・修正している。
二つ目は、近時の法制と判例の基にある考え方を踏まえた実務の在るべき姿を、できるだけ示すように努めたことである。特に情報の取得と管理に関しては、明確な法的規制が少ない中で、問題の重大性の認識に欠けた運用事例が散見されることを踏まえ、原則を明確に伝えることとあわせて、様々な場面での記述を充実させ、要配慮個人情報の取扱い上の原則などについても新たに記述を加えた。また、超過勤務時間上限制の導入やパワーハラスメントの防止義務の法制化などを受けた警察の組織管理の今日的な在り方についても、できるだけ記述するよう努めている。
三つ目は、本書の表現を今の時点で有意義なものとするように努めたことである。文章上の表現のみならず、今日の検索社会に対応して、判例の出典表記も裁判所ウェブサイトを中心とするようにしている。
本書初版、第二版とも、筆者の想定を超える多くの方々に読まれ、いずれも外国語に翻訳出版されたことは、筆者の望外の喜びである。
本書第三版が、これまでと同様に、警察行政法に関心のある多くの方に読まれることを願っている。
令和4年7月
田村 正博