関連分野   警察・司法/法学一般  

英語で学ぶ刑法各論

編著/監修
城 祐一郎(元最高検察庁検事,警察大学校講師,昭和大学医学部教授(薬学博士)) 著
体裁
A5判  464ページ
定価
8,800 円(消費税込み)
本体価格+税
8,000 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1481-9
C3032 \8000E
発行日
令和6年6月20日
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本書の特長

刑法に関わる情報発信を、英語で行いたいと考えている
実務家、学生、研究者にとって、類書の少ない手引書、
待望の発刊!

本書は、既に発刊されている「英語で学ぶ刑法総論」の続編で、日本国の刑法の各論を英語とその対訳である日本語で解説したものです。英語版はシンプルに、一方で日本語版は理解を助けるために異なった表現で繰り返し解説をしています。各罪について想定事例を用意し、その事例の法的な処理を通じて刑法を理解できるような形式(ケーススタディ)となっています。

  • 国際化が進み、様々な場面で、日本に関する情報を海外へ発信する機会が増えている。
  • 刑事司法の領域でも同様であるが、これまで日本の刑法について英語で解説された書籍はなかった。
  • このような状況をふまえ、本書は、昭和大学・城祐一郎教授(元最高検察庁検事)が、外国の大学で行った刑法各論の講義をベースに書籍化したものである。
  • 条文・判例だけでなく、理論的な部分も含めて、英語でコンパクトに解説されている。
  • 単なる対訳ではなく、日本語による解説では、理解を助けるため表現を変えるなど工夫している。

はしがき

本書は、既に発刊されている「英語で学ぶ刑法総論」の続編であり、我が国の刑法の各論を英語とその対訳である日本語で解説したものである。

筆者は、ロシア連邦のサンクトペテルブルク大学(旧レニングラード大学)から、上記「英語で学ぶ刑法総論」と同様に、刑法各論の集中講義も依頼されたことから、その講義用ペーパーとして本書の元となるものを作成し、実際に授業でそれを使用した。そして、上記講義用ペーパーに加筆・修正を加えた上、日本語訳を付けたものが本書である。

ただ、その講義の時間的制約から、刑法各論の全ての罪について解説することは不可能であったことから、筆者において、必要と思われる罪を取捨選択している。特に、財産犯については刑法理論上も重要な点が多いことから、分量も多く記載している。したがって、ここで触れられていない罪もあるが、それは筆者の独自の判断によるものであり、ご容赦願いたい。

なお、この刑法各論では、その理解を助けるため、各罪について想定事例を用意し、その事例の法的な処理を通じて、刑法を理解できるようにしている。いわばケーススタディという形式になっている。このような方式が読者の理解に役立つことを筆者としては心から願っている。


前記の「英語で学ぶ刑法総論」のはしがきでも記載したことではあるが、我が国を取り巻く国際情勢を見ると、以前とは比べ物にならないくらい、あらゆる面で国際化が進んでいる。海外にある国連を始めとする国際機関等への邦人の就職・就業などの増加を図ることも国家的な喫緊の課題とされている。そういった事情に照らし、本書も同様に、刑法の国際化対応に役立つものとなってくれることを期待している。

なお、本書においても、日本語訳は直訳ではない。むしろ日本語版と呼ぶのが相応しいと思われるものであり、情報量も日本語版のほうが多くなっている。英語版は繰り返しや、学説の名称など余計な表現はかえって混乱をもたらすおそれもあるので、極力シンプルに表現するように試みてある。翻って、日本語版は、理解を助けるために、繰り返して別の表現で説明した部分などもあり、従来の刑法各論の教科書に近い形になっている。


本書が、我が国の刑事司法制度に興味を持ち、海外に飛躍しようとする日本人学生の希望の実現や、我が国の刑事法の理解に努めようとする留学生らの勉学の一助になれば、筆者としてはこの上ない喜びである。

また、本書も「英語で学ぶ刑法総論」と同様に、Editage社によりnativecheckがなされ、同社により英文についての品質保証がなされている。


令和6年5月

昭和大学医学部 法医学講座 教授  城 祐一郎


目次

  • 本書を使っていただくに当たって
  • 第1編 我が国における犯罪の動向
  • 第2編 生命及び身体に対する罪
    • 第1章 暴行罪及び傷害罪
      • <Case 1>
      • 第1 問題の所在
      • 第2 「暴行」の意義と種類
      • 第3 暴行罪における「暴行」の内容
      • 第4 傷害罪における「傷害」の内容
      • 第5 暴行によらない傷害行為
        • 1 性病を感染させる行為
        • 2 大音量の放送を流し続ける行為
        • 3 無言電話を掛け続ける行為
        • 4 この類型の傷害罪の立証に関する問題点
      • 第6 自らが手を下さない暴行・傷害(間接正犯・教唆犯)
      • 第7 自らが手を下さない暴行・傷害(幇助犯)
      • 第8 自らが手を下さない暴行・傷害(傷害現場助勢罪)
      • 第9 Case 1 についてはどのように考えるべきか
    • 第2章 殺人罪
      • <Case 2>
      • 第1 問題の所在―令和3年1月29日最高裁判決(刑集75巻1号1頁)
      • 第2 殺人罪の構成要件
      • 第3 Case 2 の争点及び各裁判所の判断結果
        • 1 本件での争点は何か
        • 2 平成30年12月4日千葉地裁判決(判例時報2434号113頁)及び本件最高裁判決等の判示内容
          • ⑴ 争点Ⓐについて
          • ⑵ 争点Ⓑについて
      • 第4 Case 2 についてはどのように考えるべきか
    • 第3章 保護責任者遺棄致死傷罪及び殺人罪
      • <Case 3>
      • 第1 問題の所在
      • 第2 作為犯と不作為犯
      • 第3 殺人罪などの不真正不作為犯の主体たる要件
      • 第4 保障人的立場かどうかがポイント
      • 第5 保護責任者遺棄致死罪か殺人罪かについての問題の提起
      • 第6 保護責任者遺棄致死罪か殺人罪かについての問題の結論
      • 第7 Case 3 についてはどのように考えるべきか
    • 第4章 同意殺人罪及び殺人罪
      • <Case 4>
      • 第1 問題の所在
      • 第2 介護疲れ殺人事件の裁判例―平成27年7月8日千葉地裁判決(判例秘書DB)
        • 1 事案の概要
        • 2 本件における問題の本質
        • 3 本件において成立する犯罪は何か
        • 4 本件についての裁判結果
      • 第3 介護疲れ殺人は犯罪としなければならないのか―安楽死の問題提起
      • 第4 昭和37年12月22日名古屋高裁判決(判例タイムズ144号175頁)
        • 1 事案の概要
        • 2 問題の所在
        • 3 本件判決の判示内容
      • 第5 平成7年3月28日横浜地裁判決(判例時報1530号28頁)
        • 1 事案の概要
        • 2 問題の所在
        • 3 本件判決の判示内容
      • 第6 安楽死の現状
      • 第7 Case 4 についてはどのように考えるべきか
    • 第5章 凶器準備集合罪
      • <Case 5>
      • 第1 凶器準備集合罪の立法趣旨
      • 第2 本罪の構成要件―「共同して害を加える目的」とは
      • 第3 本罪の構成要件―「凶器」とは
        • 1 「凶器」の解釈
        • 2 凶器に該当するかどうか問題となった裁判例
          • ⑴ 平成13年1月31日東京地裁判決(刑事裁判資料282号800頁)
          • ⑵ 平成12年12月19日東京地裁判決(刑事裁判資料282号574頁)
          • ⑶ 昭和45年12月3日最高裁決定(刑集24巻13号1707頁)
          • ⑷ その他の裁判例で認められた「凶器」
      • 第4 本罪の構成要件―「準備する」、「集合する」とは
      • 第5 Case 5 についてはどのように考えるべきか
  • 第3編 自由に対する罪
    • 第1章 脅迫罪
      • 第1 「脅迫」の意義と種類
      • 第2 脅迫罪における脅迫行為の内容
    • 第2章 強要罪
      • <Case 6>
      • 第1 本罪の構成要件
      • 第2 Case 6 についてはどのように考えるべきか
  • 第4編 名誉及び信用に対する罪
    • 第1章 名誉毀損罪
      • <Case 7>
      • 第1 Case 7 ①に関する問題の所在
      • 第2 本罪の構成要件
        • 1 「人の名誉を毀損」とは
        • 2 「公然」とは
      • 3 「事実を摘示」とは
      • 第3 Case 7 ①についてはどのように考えるべきか
      • 第4 Case 7 ②に関する問題の所在
      • 第5 刑法230条の2第1項の解釈と適用
        • 1 「公共の利害に関する事実」とは
        • 2 「その目的が専ら公益を図ることにあった場合」とは
        • 3 「真実であることの証明があったとき」とは
      • 第6 Case 7 ②についてはどのように考えるべきか
    • 第2章 侮辱罪
      • 第1 Case 7 ③に関する問題の所在
      • 第2 我が国における侮辱罪に関する現代的課題
      • 第3 侮辱罪における法定刑の問題
    • 第3章 信用毀損罪
      • 第1 本罪の「信用を毀損」とは
        • 1 「信用」について
        • 2 「毀損」について
      • 第2 本罪を構成する手段・方法
        • 1 「虚偽の風説を流布」とは
        • 2 「偽計を用いて」とは
  • 第5編 業務及び公務に対する罪
    • 第1章 業務妨害罪と公務執行妨害罪の区別
      • 第1 問題の所在
      • 第2 「業務」及び「公務」とは
      • 第3 最高裁判例による前記の区別に関する問題についての判断
    • 第2章 偽計業務妨害罪
      • <Case 8>
      • 第1 入学試験等における不正行為の実情及び問題点
      • 第2 入学試験における不正行為の法的位置づけ
      • 第3 入学試験での不正行為は業務妨害にあたるか
        • 1 問題の所在
        • 2 昭和61年6月24日最高裁決定(刑集40巻4号292頁)
        • 3 前記最高裁決定の事案とカンニング行為との類似性
        • 4 カンニング行為の方法による違法性の程度の差異
        • 5 違法性の程度が高くないカンニング行為の罰則は何か
      • 第4 Case 8 についてはどのように考えるべきか
      • 第5 不正な運転免許証の取得のためのカンニング行為
      • 第6 新型コロナウイルス感染症をめぐる偽計業務妨害罪の裁判例―令和3年2月26日東京地裁判決(判例秘書DB)
    • 第3章 威力業務妨害罪
      • 第1 「威力」とは
      • 第2 いわゆる「バイトテロ」は何罪が成立するのか
    • 第4章 公務執行妨害罪
      • 第1 本条の「公務員」とは
      • 第2 本条の「職務を執行する」とは
      • 第3 本条の「暴行・脅迫」とは
  • 第6編 性的自由に対する罪
    • 第1章 平成29年の刑法改正の背景及び概要
    • 第2章 令和5年の刑法改正の背景及び概要
    • 第3章 不同意わいせつ罪(刑法176条)
      • 第1 刑法176条における従来の条文と改正後の条文の違い
      • 第2 刑法176条1項の構成要件
        • 1 刑法176条1項1号の構成要件
          • ⑴ 前記①の類型について
          • ⑵ 前記②の類型について
          • ⑶ 前記③及び④の類型について
        • 2 刑法176条1項2号の構成要件
        • 3 刑法176条1項3号の構成要件
        • 4 刑法176条1項4号の構成要件
        • 5 刑法176条1項5号の構成要件
        • 6 刑法176条1項6号の構成要件
        • 7 刑法176条1項7号の構成要件
        • 8 刑法176条1項8号の構成要件
        • 9 婚姻関係の存在は本罪の成否に影響を与えるか
      • 第3 刑法176条2項の構成要件
        • 1 基本的な解釈
        • 2 参考となる裁判例― 平成29年12月4日長野地裁判決(判例秘書DB)
      • 第4 刑法176条3項の構成要件
    • 第4章 不同意性交等罪(刑法177条)
      • <Case 9>
      • 第1 刑法177条1項の構成要件
        • 1 序論
        • 2 陰茎以外の挿入についての犯罪の成否
        • 3 婚姻関係の存在は本罪の成否に影響を与えるか
      • 第2 刑法177条2項の構成要件
      • 第3 刑法177条3項の構成要件
      • 第4 Case 9 についてはどのように考えるべきか
    • 第5章 16歳未満の者に対する面会要求等(いわゆるグルーミング行為)の禁止
      • 第1 刑法182条1項について
        •  本条の立法趣旨
        • 2 本条1項各号の基本的解釈
      • 第2 刑法182条2項について
      • 第3 刑法182条3項について
  • 第7編 国家体制及び社会秩序に対する罪
    • 第1章 内乱罪及びその関連犯罪
      • 第1 内乱罪
        • 1 目的犯
        • 2 組織性
        • 3 刑罰及び訴訟手続における特殊性
          • ⑴ 法定刑は禁錮のみであること
          • ⑵ 勾留手続における特殊性
          • ⑶ 裁判手続における特殊性
        • 4 実行行為
      • 第2 内乱予備罪及び内乱陰謀罪
      • 第3 内乱等幇助罪
    • 第2章 外患誘致罪及びその関連犯罪
      • 第1 外患誘致罪
      • 第2 外患援助罪
    • 第3章 騒乱罪及び関連犯罪
      • <Case10>
      • 第1 騒乱罪
        • 1 内乱罪との異同
          • ⑴ 客観的要件―実行行為の内容
          • ⑵ 主観的要件
        • 2 役割の違いによる位置付け
      • 第2 多衆不解散罪
      • 第3 Case10についてはどのように考えるべきか
  • 第8編 贈収賄罪
    • 第1章 単純収賄罪及び受託収賄罪
      • <Case11>
      • 第1 序論
        • 1 単純収賄罪及び受託収賄罪に関する基本的な規定
        • 2 保護法益
      • 第2 収賄罪の主体に関する要件(その1 ―公務員性)
        • 1 刑法上の「公務員」に関する規定
        • 2 みなし公務員
        • 3 特別法により収賄罪の主体として規定されている者
        • 4 諸外国の制度
      • 第3 収賄罪の主体に関する要件(その2 ―職務権限)
        • 1 「職務」及び「職務権限」に解する解釈
        • 2 具体的職務権限
          • ⑴ 「職務」は、その内容が法文上明示されていなくてもよい
          • ⑵ 「職務」は、独立の決裁権を有していなくてもよい
          • ⑶ 「職務」は、他の者が関与し、自己が最終的な決定権を独占していなくてもよい
        • 3 一般的(抽象的)職務権限
          • ⑴ 「職務」は、具体的に担当しているものでなくてもよい
          • ⑵ 「職務」は将来に担当するものであってもよい
          • ⑶ 「職務」は過去のものであって現在担当していないものでもよい
        • 4 職務密接関連行為
          • ⑴ 職務密接関連行為の内容及び意義
          • ⑵ 昭和59年5月30日最高裁決定(刑集38巻7号2682頁)
      • 第4 収賄罪の客体に関する要件―賄賂について
        • 1 賄賂の一般的概念
        • 2 金融の利益の賄賂性
        • 3 土地を売却し得たという利益の賄賂性
        • 4 未公開株の賄賂性
        • 5 中元・歳暮に関する問題
      • 第5 収賄行為の構成要件(その1 ―収受等)
        • 1 「収受」とは
        • 2 「要求」とは
        • 3 「約束」とは
      • 第6 収賄行為の構成要件(その2 ―「請託」の要件)
        • 1 「請託」の解釈
        • 2 「請託」がなされるべき時期はいつか
      • 第7 収賄行為の構成要件(その3 ― 職務に「関して」等の要件)
      • 第8 Case11についてはどのように考えるべきか
    • 第2章 前記以外の刑法上の収賄罪
      • 第1 事前収賄罪
      • 第2 第三者供賄罪
        • 1 本罪の立法趣旨
        • 2 本条にいう「第三者」とは
      • 第3 加重収賄罪(枉法収賄罪)
      • 第4 事後収賄罪
      • 第5 あっせん収賄罪
        • 1 本罪の立法趣旨
        • 2 本条の「あっせん」とは
    • 第3章 贈賄罪
  • 第9編 財産に対する罪
    • 第1章 窃盗罪
      • 第1 我が国における窃盗事犯の現状
      • 第2 窃盗罪の保護法益
      • 第3 窃盗罪の客観的構成要件―財物とは何か?
        • 1 財物には金銭的価値が要求されるのか?
        • 2 不動産は財物に含まれるのか?
        • 3 財物は有体物でなければならないのか?
        • 4 禁制品は財産に含まれるのか?
        • 5 埋葬品は財産に含まれるのか?
        • 6 情報は財産に含まれるのか?
      • 第4 窃盗罪の客観的構成要件―占有とは何か?
        • 1 占有における支配性の有無
        • 2 一時的な貸与の場合
        • 3 死者による占有に関して
      • 第5 窃盗罪の客観的構成要件―窃取とは何か?
        • 1 占有侵奪の方法について
        • 2 間接正犯による場合
      • 第6 窃盗罪の主観的構成要件
        • 1 窃盗の故意
        • 2 不法領得の意思は必要か?
          • ⑴ 不法領得の意思が必要であるとする見解の根拠
          • ⑵ 不法領得の意思は不要であるとする見解の根拠
      • 第7 窃盗罪の未遂
      • 第8 親族間の犯罪に対する特例(親族相盗例)
    • 第2章 強盗罪
      • 第1 我が国及び諸外国における強盗事犯の現状
      • 第2 強盗罪の保護法益
      • 第3 強盗罪における暴行・脅迫の程度
      • 第4 その他の強盗の類型
        • 1 刑法236条2項の強盗利得罪
        • 2 刑法238条の事後強盗罪
        • 3 刑法239条の昏酔強盗罪
        • 4 刑法240条の強盗致死傷罪
        • 5 刑法241条1項の強盗・不同意性交等罪及び同条3項の同致死罪
      • 第5 強盗未遂罪及び強盗予備罪
        • 1 各類型の強盗における未遂罪
        • 2 強盗予備罪
    • 第3章 恐喝罪
      • 第1 我が国における恐喝事犯の現状
      • 第2 恐喝罪の保護法益
      • 第3 刑法249条1項及び2項の「恐喝」とは何か?
      • 第4 刑法249条1項の「交付」とは何か?
      • 第5 刑法249条2項の「財産上不法の利益を得」とは何か?
      • 第6 権利行使と恐喝
        • 1 問題の所在
        • 2 脅迫罪しか成立しないとする見解
        • 3 恐喝罪が成立するという判例等の見解
    • 第4章 詐欺罪
      • <Case12>
      • <Case13>
      • 第1 我が国における詐欺事犯の現状
      • 第2 詐欺罪の保護法益
      • 第3 刑法246条1項及び2項における「詐取」とは?
        • 1 序論
        • 2 無銭飲食の事例
        • 3 必要な情報を隠して契約をした事例(告知義務違反)
        • 4 いわゆる釣銭詐欺の事例
          • ⑴ 釣銭詐欺の法的構成
          • ⑵ Case12についてはどのように考えるべきか
        • 5 誤振込に係る金員の引出しの事例
          • ⑴ 問題の所在
          • ⑵ 平成15年3月12日最高裁決定(刑集57巻3号322頁)
            • ア 事案の概要
            • イ 本件最高裁決定の判示内容
          • ⑶ Case13についてはどのように考えるべきか
      • 第4 機械に対する詐欺
        • 1 問題の所在
        • 2 詐欺罪は成立せず窃盗罪が成立する理由
      • 第5 特殊詐欺対策の取組
        • 1 概要
        • 2 だまされたふり作戦の概要
        • 3 だまされたふり作戦の犯罪性を否定した平成28年3月23日名古屋地裁判決(判例時報2363号127頁)
        • 4 だまされたふり作戦の犯罪性を肯定した平成29年12月11日最高裁決定(刑集71巻10号535頁)
      • 第6 親族に対する恐喝・詐欺の特則
    • 第5章 準詐欺罪
      • 第1 本罪の概要
      • 第2 本罪の適用事例
    • 第6章 電子計算機使用詐欺罪
      • 第1 電子計算機使用詐欺罪制定の背景
      • 第2 電子計算機使用詐欺罪の構成要件
        • 1 本罪の概要
        • 2 「財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録」とは
        • 3 「虚偽の情報」とは
        • 4 「不正な指令」とは
        • 5 「虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供」するとは
    • 第7章 横領罪
      • 第1 序論
      • 第2 横領罪の保護法益
      • 第3 横領罪の構成要件
        • 1 刑法252条1項の「物」とは何か
        • 2 刑法252条1項の「占有する」とは
        • 3 横領罪の既遂時期はいつか
        • 4 「法律上の占有」をめぐる問題―不動産
          • ⑴ 横領罪の占有には「法律上の占有」も含まれる
          • ⑵ 平成21年3月26日最高裁決定の事案及び判示内容
          • ⑶ 本件最高裁決定の評価
        • 5 「法律上の占有」をめぐる問題―銀行預金
        • 6 不法原因給付(民法708条)に関する問題
      • 第4 業務上横領罪の構成要件
        • 1 刑法253条における「業務上」とは何か
        • 2 弁護士による「業務上」横領の事例
        • 3 刑法253条における「共犯と身分」の問題
      • 第5 遺失物横領罪の構成要件
      • 第6 親族における横領罪の特則
    • 第8章 背任罪
      • 第1 序論
      • 第2 K銀行頭取による特別背任事件
        • 1 背景事情
        • 2 捜査の経緯及び処理状況
          • ⑴ 捜査の端緒
          • ⑵ 関連会社への25億円の不正融資の発覚
          • ⑶ 関連会社への約68億円の不正融資の発覚
          • ⑷ 捜査処理状況
      • 第3 本件における捜査・公判上の法的な問題点①(任務違背行為)
        • 1 母体行責任についての考え方
        • 2 母体行責任についての平成17年4月28日大阪高裁判決(高検速報(平17)号257頁)の考え方
      • 第4 本件における捜査・公判上の法的な問題点②(図利加害目的)
        • 1 問題の所在
        • 2 本件における図利加害目的に関する平成15年3月19日大阪地裁判決(公刊物未登載)の考え方
          • ⑴ 自己図利目的について
          • ⑵ 加害目的について
      • 第5 本事件の余罪について
      • 第6 被告人Aらに対する刑の宣告
    • 第9章 盗品等に関する罪
      • 第1 序論
      • 第2 盗品等に関する罪の保護法益
      • 第3 盗品等に関する罪の構成要件
        • 1 「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」とは
        • 2 禁制品は「盗品」に含まれるのか
        • 3 本罪の客観的構成要件
        • 4 本罪の主観的構成要件
    • 第10章 毀棄及び隠匿の罪
      • 第1 公用文書等毀棄罪
      • 第2 私用文書等毀棄罪
      • 第3 建造物等損壊罪及び同致死傷罪
      • 第4 器物損壊罪
      • 第5 境界損壊罪
      • 第6 信証隠匿罪

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