サイバー犯罪捜査の疑問や苦手も、この一冊で全て解決。
社会の様々な活動がサイバー空間で展開されるようになって以降、その不正利用やIT技術を悪用する犯罪も増加するようになりました。
弊会におきましては、このような犯罪事案に対処することを目的に、デジタル・フォレンジックの基礎やサイバー事案発生時における証拠保全等の初動対応に必要な知識をまとめ、平成28年度から、『デジタル鑑識の基礎(上)』、『デジタル鑑識の基礎(中)〜インシデントレスポンスと初動対応〜』、『デジタル鑑識の基礎(下)〜証拠保全〜』を刊行し、令和3年度には『デジタル鑑識の基礎(上)』を改訂しております。
これらの書籍は、弊会の調査研究事業として活動している「調査研究部会」の「デジタル・フォレンジック分科会」において検討を積み重ねてまいりました成果であり、デジタル・フォレンジックや情報セキュリティサービスに関する業務に従事されている民間の事業者を中心とするワーキンググループの委員のみならず、オブザーバーとして参画いただきました警察機関等官公庁の担当官の皆様にも厚く御礼申し上げます。
さて、昨今は政府機関を含め様々なITインフラが「クラウド」にシフトしております。
従来のようなパソコン機器やサーバシステムのみならず、各種のIoT(Internet of Things)機器やセンサー等が直接クラウドにも接続され、益々社会基盤としての重要性を増しております。
しかしながら、クラウドサービスへの依存度が高まるにつれ、このサービスを悪用したり脆弱性を突いたサイバー攻撃等が行われてサービスが停止したならば、その社会的な影響は膨大なものとなります。
クラウド基盤はIT技術の粋を集めたサービスでもありますので、その復旧や障害対応、捜査に関する知識や技能を習得する敷居はかなり高いものとなっております。
このような状況に対応するため、今般、クラウドサービスの仕組みやセキュリティ対策、フォレンジックに関して、基礎的な知識等を整理して本書を上梓することとしました。
法執行機関のみならず、民間企業等におかれましてクラウド業務を管理されておられる方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。
令和7年1月
一般財団法人保安通信協会
理事長 金井 洋