毎年、全国各地で数多くの火災が発生し、悲惨な事故が繰り返され、多くの尊い生命と貴重な財産が失われています。
過去の火災事例を分析してみますと、日常の不適切な火気管理などから出火し、消防用設備・防災設備の不備や維持管理の不適切、さらには、火災が発生した時の消火、通報、避難誘導等の初動措置の不手際など従業員に対する教育訓練の不徹底から火災を拡大させ、被害を大きくしています。
これらの火災から学ぶことは、いずれも防火管理上に問題点があり、その根本原因は、管理権原者や防火管理者の防火管理に対する意識が低いということにあります。
防火管理を適切に行うためには、管理権原者は消防法第8条の規定に基づいて防火管理者を選任し、その防火管理者を推進責任者として防火管理業務を適正かつ誠実に遂行させ、管理権原者及び防火管理者等が一体となって自主防火管理体制を確立することが必要です。
本書は、過去の防火管理責任に係る火災及び判決例、用途別の火災事例と問題点、火災時の自衛消防活動事例、さらに近年に発生した主な地震の概要等を編集したものですので、防火管理講習や防火管理再講習などの各種講習のサブテキストとして、過去の火災事例等から防火管理上の問題点を学び、それを教訓として二度と同じ事故が繰り返されることのないよう本書を有効に活用していただければ幸いです。
平成7年6月
防火管理研究部会