最近の廃棄物の処理は、最終処分場の逼迫、施設建設に絡む地域紛争の多発、不法投棄、ダイオキシン等々、様々な問題に直面しており、このままでは生活環境や産業活動に重大な支障を生じかねない深刻な状況を呈しております。
排ガス等、比較的単一な形態で環境に影響を与えるのに対して規制される他の環境法規と異なり、廃棄物の処理は、「発生、収集・運搬、処理・処分」と複雑多岐にわたる形態を経て、また、環境に対して各々の過程で異なった影響を与える可能性を有しています。このため、廃棄物の適正処理を目的とした廃棄物処理法も必然的に複雑となり、更に、数度にわたる法改正により、何とも分かりにくい法律となっております。
本書は、環境省がこれまでに発行した疑義解釈通知を中心に整理しています。しかし、地方分権の関係で、国は法解釈の運用通知をしないこととし、平成12年12月28日付けで、これまでの通知の大部分を廃止しました。しかしながら、地方分権一括法による改正後の地方自治法第245条の4(技術的な助言及び勧告並びに資料の要求)に規定する趣旨から考えると、これまでの解釈を適正な処理に関する情報の提供として位置づけておくことが望ましいものであり、新たな技術的情報が提供されるまでの間は、行政の継続性の観点から継承されるべきものと考えています。したがって、本書では解釈の根拠となる関係通知のないものがあります。
詳しくは廃棄物行政機関に問い合わせることが望ましいと思います。
また、平成30年までの疑義解釈及び通知を取り入れ、法、政令、省令改正にあわせた最新の内容をできる限り追加しています。
都道府県や市町村の担当者、廃棄物処理業者、排出企業、技術管理者はもちろんのこと、ISO、エコアクション21関係で廃棄物の適正処理が求められている人々など幅広い分野の方々にご活用いただき、適正な廃棄物の処理に資することを切に希望するものであります。
令和元年5月
英保 次郎