関連分野   警察・司法/刑事  

告訴・告発事案の捜査要領
【第3版】

編著/監修
元東京高等検察庁検事 小川 賢一 著
体裁
A5判  424ページ
定価
2,970 円(消費税込み)
本体価格+税
2,700 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1341-6
C3032 \2700E
発行日
平成28年3月20日
内容現在
平成27年12月25日
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本書の特色

  • 実務的な処理の在り方に重点を置き、最高裁判例はもちろん、近時の下級審判例を含めて事案の概要と判断内容を数多く掲げ、実務での取扱いの指針を解説。
  • 警察署の刑事課・生活安全課の捜査員はもちろん、検察官(検察職員)、特別司法警察職員の適切な職務執行にも最適!

第3版 改訂のポイント

  • 実務に直結した近時の判例を追加し、近年の動向に完全対応!
  • 「傷害罪」「特別背任罪」ほか、告訴状の実戦的な記載例を多数登載!
  • ポイントを押さえるための「論点」をテーマとして多数追加し、体系も細分化・整理して分かりやすく解説!

第3版 はしがき

本書の初版を刊行してから約13年,2版を刊行してからでも約10年が経過した。その間の犯罪検挙率の推移を見てみると,戦後最低を記録した平成13年(刑法犯総数で38.8パーセント,刑法犯から自動車運転過失致死傷等を除いた一般刑法犯で19.8パーセント)を最後に,翌14年からは上昇に転じ,同18年からはほぼ横ばいで推移し,同25年は,刑法犯総数で52.0パーセント(前年比0.6ポイント低下),一般刑法犯で30.0パーセント(同1.2ポイント低下)にまで回復している(平成26年版犯罪白書)。それにもかかわらず,国民の権利意識は,高揚の一途を辿っており,これに伴い,捜査機関の捜査の在り方及び捜査処理の結果に注がれる国民の目は,一段と厳しさを増している。

その大きな要因の一つとして,今日の犯罪現象の組織化,巧妙化,悪質化に対応する捜査機関が,その組織面において,人的にも物的にも限られているだけでなく,捜査官が世代交代の途上にあることが挙げられる。それにもかかわらず,今日においては,特に,捜査機関が国民の負託に応えるためにはいかに在るべきかが一段と厳しく問われている現状にあるといえる。

告訴・告発事件は,捜査機関が国民と直接接する機会が最も多いものの一つであるが,告訴・告発を,本来の刑事処分目的ではなく,民商事の紛争を有利に解決する目的に利用しようという傾向があることを依然として否定することができない反面,特に告訴・告発が訴訟条件となっている場合などには,被害者がその保護を捜査機関に委ねるほかないという場合も数多く認められ,したがって,この種事件における捜査の在り方や捜査処理の結果等を含めた捜査機関の対応が国民の捜査機関に対する信頼の程度を大きく左右すると言っても過言ではない。

このような観点から,本書の初版及び2版は,日々生起する犯罪の対応に多忙を極めている捜査官,特に警察官の日常の執務の用に供するため,告訴・告発事件の捜査処理の現状とその問題点を踏まえた上,告訴・告発事件の捜査の在り方を中心に,告訴・告発の刑事訴訟法上の問題点とその対策について,実務上の視点を加味した検討を試みたものであった。その後,平成16年5月に,一般国民から選ばれる裁判員が一定の重大な刑事事件の審判に直接関与する,いわゆる「裁判員法」が成立(平成21年5月21日から施行)したこと等を契機として,国民に分かりやすく,かつ国民から信頼されるに値する捜査の在り方や捜査処理の結果等が益々注目されるに及び,平成20年1月には,「警察捜査における取調べ適正化基準」(警察庁)が取りまとめられ,さらに,検察庁においては平成18年8月から,警察(警視庁等)においては平成20年9月から,それぞれ「被疑者取調べの一部録音・録画」が実施されるなど,国民の負託に応えるための制度改革も進行しており,さらに,関係する各種の法改正も行われている。

そこで,今回の第3版では,本書の初版及び2版の基本構造と特徴をそのまま維持しつつ,日々の犯罪捜査に多忙な捜査官が本書をより利用しやすくするため,第1編及び第2編の統計上の数値を可及的最新のものに改めたほか,上記各制度改革と各種の法改正の内容を実務に即して簡潔に解説した上,近時の判例を追加し,第3編では,従来の【論点】を細分化するとともに,新たな【論点】を追加し,さらに,実務に即して,「告訴状」の記載例を多数追加するなど,全体的にリニューアルして,記載内容がアップ・ツー・デートなものとなるよう心掛けた。

本第3版は,執務の合間に執筆したものであり,その結果として脱稿までに長期間を要することとなったにもかかわらず,必ずしも意に満たない点があるが,その点は読者諸兄のご叱責を賜り,機会があれば,補正したいと考えている。

本第3版が,初版及び2版に引き続き,幾分かでも捜査官各位の日頃の執務の参考となれば,望外の喜びである。

最後に,本第3版の校正,索引等の作成にご尽力いただいた東京法令出版株式会社の皆様に深甚の謝意を表したい。

平成27年12月

小川賢一


目次

  • 第1編 序論
    • 第1章 告訴・告発事件処理の状況
      • 第1 序説
      • 第2 告訴・告発事件の処理期間
      • 第3 告訴・告発事件の既済事由
      • 第4 告訴・告発の罪種別内訳
    • 第2章 告訴・告発事件の捜査,処理上の問題点と対策
      • 第1 警察における送付事件捜査上の問題点と対策
      • 第2 検察官の告訴・告発事件捜査処理上の問題点と対策
      • 第3 告訴・告発事件の捜査処理に対する基本的な心構え
    • 第3章 告訴・告発の受理の取扱い
      • 第1節 告訴・告発の濫用の抑制
        • 第1 告訴・告発の受理義務
        • 第2 告訴・告発の濫用の抑制の必要性とその方法
        • 第3 告訴・告発の受理・不受理の基準
        • 第4 告訴・告発の受理の保留
      • 第2節 告訴・告発の受理
        • 第1 留意事項
      • 第3節 告訴・告発事件の捜査,処理
        • 第1 総説
        • 第2 捜査の実施
        • 第3 処理の適正
        • 第4 取調べ
        • 第5 最近の告訴・告発の傾向
        • 第6 事件処理上,特に留意すべき事案
  • 第2編 刑事手続概論
    • 第1章 刑事手続(刑事訴訟)の意義及び目的
      • 第1節 総説
        • 第1 刑事手続(刑事訴訟)の意義
        • 第2 刑事手続(刑事訴訟)の目的
        • 第3 刑事手続の特徴33
    • 第2章 捜査手続概論
      • 第1節 捜査の意義・目的及び基本原則
        • 第1 捜査の意義・目的
        • 第2 捜査の基本原則
      • 第2節 捜査機関
        • 第1 検察官及び検察事務官
        • 第2 司法警察職員
        • 第3 捜査機関相互の関係
        • 第4 特別の捜査機関(国税庁監察官)
        • 第5 その他の調査機関等
      • 第3節 被疑者及び弁護人
        • 第1 被疑者
        • 第2 弁護人
    • 第3章 捜査の開始
      • 第1節 捜査の端緒
        • 第1 概説
        • 第2 現行犯人の発見(法212条以下)
        • 第3 変死体の発見とその検視
        • 第4 告訴
        • 第5 告発
        • 第6 請求
        • 第7 自首
        • 第8 職務質問及びこれに付随する所持品検査
        • 第9 自動車検問
      • 第2節 捜査の実行
        • 第1 法に規定のある任意捜査
        • 第2 法に規定のない任意捜査
        • 第3 強制捜査
        • 第4 事件処理
  • 第3編 告訴・告発の法律上の問題点
    • 第1章 告訴
      • 第1節 告訴の意義
        • 第1 総説
        • 第2 親告罪の告訴
        • 第3 告訴の効果
      • 第2節 告訴権者
        • 第1 総説
        • 第2 被害者と告訴権者
        • 第3 被害者の法定代理人
        • 第4 被害者の配偶者,直系の親族,兄弟姉妹
        • 第5 被害者の親族
        • 第6 死者の親族,子孫
        • 第7 検察官が指定した者
        • 第8 内閣総理大臣
        • 第9 外国の代表者
      • 第3節 告訴の手続
        • 第1 告訴の方式
        • 第2 代理人による告訴
        • 第3 親告罪の告訴期間
        • 第4 告訴の受理
        • 第5 告訴の効力
        • 第6 親告罪の告訴の取消し(取下げ,すなわち撤回)
        • 第7 告訴権の放棄
    • 第2章 告発
      • 第1節 告発の意義
        • 第1 総説
        • 第2 告発権者
        • 第3 告発の効力
        • 第4 告発の手続
        • 第5 告発の取消し
        • 第6 間接国税犯則事件の告発
        • 第7 関税犯則事件の告発
  • 事項索引
  • 判例索引

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