10年ぶりの大改訂。
複雑化する緊急消防援助隊の制度と運用をまるごと理解できる!
4訂版の発行からおよそ10年の歳月が経過し、その間に甚大な被害をもたらした平成23年の東日本大震災をはじめとする地震・津波災害や、平成30年7月豪雨等の風水害、平成26年の御嶽山噴火災害等の噴火災害など、様々な災害が多数発生し、その都度、全国各地から緊急消防援助隊が迅速に出動し、その使命を果たし、国民の期待に応えてきたところである。
こうした状況の下、平成26年には、緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画(基本計画)の変更がなされ、統合機動部隊、エネルギー・産業基盤災害即応部隊、通信支援小隊の創設や、平成30年度までに登録部隊規模を4,500隊から6,000隊規模に増強することとされた。また、平成31年の基本計画変更においては、土砂・風水害機動支援部隊、NBC災害即応部隊、航空部隊、航空指揮支援隊、航空後方支援小隊の創設や、令和5年度末までに登録部隊規模を6,600隊規模とする一層の強化が図られることとされた。
今後発生が危惧される南海トラフ地震や首都直下地震等の国家的な非常災害において、迅速かつ効果的な活動を行うためには、緊急消防援助隊の応援要請、受入れ等の受援力の強化及び緊急消防援助隊の対応力の向上や連携力の強化が重要である。そのためには、消防機関のみならず、都道府県や市町村の防災部局も緊急消防援助隊の制度・運用を十分に理解するとともに、実践的かつ効果的な訓練を実施し、検証することにより各種計画の不断の見直しに努めていく必要がある。
緊急消防援助隊の活動機会の増加を受け、都道府県及び消防機関の緊急消防援助隊に対する意欲・関心は高まっているところであるが、近年の災害における課題を踏まえた計画変更や要綱の改正が度々なされており、制度・運用が複雑化しているのも事実である。
本書は、緊急消防援助隊の事務に携わる消防本部の担当者や都道府県の担当者が、着任後であっても理解が進むよう、制度・運用を分かりやすく掲載するとともに、部隊編成、出動から引揚げまでの活動の流れに沿って編集している。また、制度を理解している隊長クラスであっても、災害時に傍らにあれば重宝されることだろう。
いつであろうと、災害は待ってくれない。拙書が消防防災に携わる方々の業務の一助となり、ひいては、災害による被害の軽減につながれば幸いである。
令和元年11月
防災行政研究会
令和元年10月11日から令和6年3月1日までの緊急消防援助隊の本書に関係する法令・通知は、次のとおりです。
令和6年3月2日以降の通知については、消防庁のホームページでご確認願います。