消防団教育で多くの方にご使用いただいている
『消防団員実務必携』改訂版が完成しました!
国民がかつて経験したことがない阪神・淡路大震災や東日本大震災において、多くの負傷者を倒壊家屋等から思うように救出活動ができなかったことや、加えて、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の発生が予測されていることに鑑み、消防団を中核とした地域防災力の充実強化を図ることにより住民の安全の確保に資することを目的とした「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が平成25年12月に公布されました。
こうした現状から、消防団への整備強化が求められ、「消防団の装備の基準」も制定以来26年ぶりに一新され、人命救助のための資機材も消防団車両に積載することとなりました。大規模災害時において、自治体消防を超えた消防活動が行われており、消防団が地域住民のリーダーとしての役割が増す中で、地域防災力の中核として、消防団が自主防災組織等の指導・育成に関わることが求められています。
また、災害時において現場指揮の重要性が不可欠となっており、幹部団員が指揮者としての指揮能力の向上を図るために消防学校教育においても「指揮幹部科」が設けられ、これまで以上に幹部団員が災害現場等で消防団部隊を指揮する技量が求められています。
消防団員は、火災や救助活動は、行方不明者捜索活動をはじめ、市町村の水防団員も兼務しており、台風・大雨による河川決壊等の水害時での水防活動や避難所への誘導活動等、防災活動全般において国民の生命と財産保護のために不可欠な組織となっております。
複雑多様化、大規模化する災害において消防団員が適切に対応するにあたり、その知識・技能の向上に向けた消防団員に対する教育訓練は極めて重要となっております。
消防団員の皆さんは、それぞれ自分の職業を持った傍ら仕事の合間をぬって消防学校へ入校されていますが、サラリーマン団員が増える傾向の中で、消防学校での長期間の受講が困難な状況が顕著となっており、団員諸氏の教育を総合的かつ効果的に行うには、教育の終了後においても知識の習得が図られるようこの1 冊の本に取りまとめたものであります。
本書が、消防団員の座右の書として、広く全国の消防学校で消防団員教育に活用されることを心から期待するものであります。
令和5年4月1日
消防学校消防団員教育研究会