矯正心理学 下巻 実践編
−犯罪非行からの回復を目指す心理学−

- 編集代表 犬塚 石夫
編集委員 松本 良枝・進藤 眸

- A5判 344ページ

- 2,200 円(消費税込み)

- 2,000 円+税
本書の特色
犯罪・非行をおかした人々をどのように理解し、再犯防止を図るか。
本書は、再犯防止のための対策論について、「人間行動としての犯罪・非行」という視点から詳述した。
「人間行動としての犯罪・非行」を理解するためには、心理学の関与は不可欠である。
本書は、実務に役立つ独自の「矯正心理学」の必要性を強調した。
犯罪者・非行少年に対して行われている審理アセスメント・心理的アプローチについて具体的に解説した。さらに当面する課題について分析し、今後必要とされる事項についても提言した。
「はじめに」より抜粋
理解困難な犯罪・非行が増加し、処遇困難とされる人たちが増え続ける中で、これらの人たちを適切に理解し、社会復帰にとって有効と思われる処遇を実施するためには、人間行動に関する科学、特に心理学や精神医学の関与がこれまで以上に必要とされることは疑いのないことである。
犯罪・非行という社会的問題には、特に原因や背景を理解することに重点を置く原因論や法律・制度にかかわる刑事政策論と、その人たちを「どのように扱って社会復帰させるか」という現実的な実践との間にギャップを生じやすい傾向が見られる。実践科学としての性格を強くもつ矯正心理学は、それぞれの学問的蓄積を踏まえつつ、矯正処遇の科学化を推進するという役割を果たすことも可能と考えられる。矯正処遇の科学化を図り、有効性を高めるという目的は、矯正心理学のみによって達成されるものではないが、例えば、犯罪性・非行性にかかわる理論的検討、心理学に基盤を置くアセスメントと処遇の体系化、処遇による人間と特性、施設内適応の過程、不適応とその対応、拘禁に伴う心身への影響、再犯要因の分析等は、心理学がより有効に解明できる課題であり、矯正心理学が理論と実践を踏まえつつ貢献できる領域は限りなく広がってきているように思われる。矯正心理学の歴史はいまだ浅く、十分な体系が出来上がっているわけではないが、目覚ましい発展を遂げてきている臨床心理学その他の隣接諸科学の単なる応用ではない、犯罪・非行という人間行動にかかわる独自の科学としての充実が求められている。
本書は、こうした期待にこたえるための一つの試みであり、上巻及び下巻の2冊によって構成されている。上巻は、理論編として総論的、一般的な内容を扱い、実践編である下巻では、より実務に即した具体的内容を盛り込んでいる。
目次
-
- 第1章 矯正処遇のための心理アセスメント
- 第1節 心理アセスメントの必要性
- 第2節 心理アセスメントの理論モデル
- 第3節 心理アセスメントの方法
- 第4節 心理アセスメントの総合的解釈と判断
- 第2章 鑑別−少年の心理アセスメント
- 第1節 鑑別の意義と役割
- 第2節 鑑別の視点と心理アセスメント
- 第3節 収容鑑別の実際
- 第4節 処遇に役立つ鑑別
- 第5節 在宅鑑別及びその他の依頼鑑別
- 第6節 地域社会へ貢献する鑑別
- 第3章 分類−成人の心理アセスメント
- 第1節 分類制度の概要
- 第2節 分類が当面する問題と課題
- 第3節 分類の信頼性と専門性を高めるための方策
- 第4節 処遇に役立つ分類
- 第4章 矯正処遇−心理的アプローチ
- 第1節 心理的アプローチの位置付け−多様な要請
- 第2節 集団指導プログラムにおける心理的アプローチの意義
- 第3節 矯正処遇のための心理療法−治療的アプローチ
- 第5章 少年の処遇
- 第1節 処遇の場の特質とその活用
- 第2節 処遇者の在り方
- 第3節 処遇への導入
- 第4節 処遇システム
- 第5節 処遇の方略
- 第6節 心理治療的技法の適用
- 第7節 成長・変容の評価と処遇システムの評価
- 第8節 終結と社会内処遇への移行
- 第6章 成人の処遇
- 第1節 成人処遇の基本
- 第2節 各種受刑者の処遇
- 第3節 処遇類型別指導
- 第4節 処遇指針の策定
- 第5節 心理的処遇技法と実施上考慮すべき事項
- 第7章 矯正心理学の課題
- 第1節 矯正心理学の独自性
- 第2節 心理アセスメントにおける課題
- 第3節 矯正処遇−心理アプローチ−における課題
- 索引
編集委員・執筆者
編集委員略歴
編集代表
犬塚 石夫
- 1960年 名古屋大学教育学部教育心理学科卒業、法務省採用
- 1993年 大阪少年鑑別所長
- 1996年 名古屋矯正管区長
- 1997年 矯正研修所長(1998年法務省退職)
- 1998年 徳島文理大学家政学部教授(2003年退職)
編集委員
松本 良枝
- 1959年 東京大学教育学部教育心理学科卒業、法務省採用
- 1978年 矯正研修所教官
- 1984年 徳島少年鑑別所長
- 1995年 愛光女子学園長(1996年法務省退職)
- 2001年 帝京大学文学部教授
進藤 眸
- 1961年 東北大学文学部心理学科卒業、法務省採用
- 1987年 函館少年鑑別所長
- 1992年 法務総合研究所研究第二部主任研究官
- 1996年 千葉少年鑑別所長(1998年法務省退職)
- 1999年 文教大学人間科学部教授
執筆者(執筆順)
- 松本 良枝 (帝京大学教授) 下巻第1章・第4章・第7章第3節
- 進藤 眸 (文教大学教授) 下巻第2章第1節2節・第7章第2節
- 石毛 博 (札幌少年鑑別所長) 下巻第2章第3節4節5節6節
- 黒澤 良輔 (名古屋刑務所分類審議室長) 下巻第3章
- 川邉 讓 (大阪拘置所分類部長) 下巻第5章
- 小柳 武 (宇都宮少年鑑別所長) 下巻第6章
- 犬塚 石夫 (前徳島文理大学教授) 下巻第7章第1節
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