「火災調査という仕事はおもしろいですか?」と尋ねると、多くの人は困った顔をします。調査自体はおもしろいのだが、できれば担当したくない仕事だというのが本音のようです。さらによく聞いてみると、火災調査を敬遠する原因はどうやら書類作成にあるようです。「現場はいいんだけど……書類がねぇ」。
火災調査事務には現場での調査に伴い、必ず多くの書類を作成しなければなりません。その書類は一見(あくまで一見ですが)専門的で難解なものです。この書類の書き方を簡単に示してくれる手引書は多くなく、ほとんどの人が苦痛を伴うほどの経験と先輩のアドバイスに頼って作成しています。
本書は、少しでも皆さんのお役に立てるよう、火災調査書類作成に際してのアドバイスを行おうと、基本的な事項や法的根拠だけでなく、できるだけ現場で活動している調査員がすぐに応用できるよう、現場に即した視点で具体的な事例を多く盛り込むよう配慮しました。さらに、本文とは別に特異な出火事例や【実例ノート】として火災原因判定書、実況見分調書などの具体例を解説つきで掲載しています。
本書が火災調査に携わる皆様の一助となれば幸いです。
名古屋市消防局