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死体の視かた

編著/監修
渡辺 博司
齋藤 一之
体裁
A5判  344ページ
本体価格+税
2,500 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1225-9
C3047 \2500E
発行日
平成22年2月15日
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※本書は、(株)令文社から発行されていた
「死体の視かた」を7年ぶりに改訂し、
小社から発行するものです。

本書の特長

警察官、法曹関係者に向けて、検死に必要な知識を分かりやすく解説した唯一の書。

法医学の第一人者である著者が、長年にわたる研究と経験をもとに、死後変化に関する論点を系統的かつ具体的に解説。

  • 死体を科学的かつ冷静にみる目を養うための知識が凝縮
  • 視覚に訴える巻頭カラー写真や図表を掲載
  • 絶妙な語り口で、まるで名医が眼前で講義しているかのような感覚に

はじめに

「みる」という漢字を並べてみると、見、検、観、診、看、視、といろいろなものがある。

ふつう、ものをみるという時は見の字を使っている。これは、ただ漠然とものをみているので、あまり頭は使っていない。目は、いわばありのままの姿を写真機のレンズが写しているようなものだ。

話は変って、仕事で死体をみる場合、ただ見ていればよいのだろうか。誰だって、「そんなずぼらなことを」と怒って当然だろう。もっと熱心に考えながら死体をみてくれと、死体ですら思っているだろう。では、どうすればいいのだろう。それは、死体を「視」ればよいのである。視るということは、自分のその時もっている知識を全部活用し、頭で視ることである。本当は仏教でいう「觀」のレベルまで行って欲しいのだが、それは後の話としよう。

このような視かたをするためには、どうすればよいのだろう。そのためには、まず視る前にそれについての知識をインプットしておく必要がある。そのためにこそ、いささかでもお役に立ちたいと思って、この本を書いた次第である。

死体なんか気持ち悪くって、という人には、この本は全く無用である。しかし、誰だって必ず何時かは、死体となる定めである。もし、あなたが殺されたり、人に知られず病気で死んだ場合、なぜ私は死んだのか、どのような理由で死んだのか、少しは調べて欲しい、という気にならないだろうか。少しでもそんな気があるとすれば、そのためには、この本はお役に立てると思っている。

少しは、死体に興味をもって欲しい。特に、警察官や死体取扱の関係者には、科学的に興味をもって視て頂きたいものだ。

こんなことをいうと、不謹慎だとか、人間の尊厳を踏みにじるものだとか、怒る人がいるかも知れない。しかし、私は悪意をもって死体をみろといっているのではない。人の死は悲しいものである。まして、肉親ならばなおのこと、悲しく苦しいものである。しかし、その悲しみは死者の心の問題であり、死んでしまった肉体のことではない。

チベットのラマ教では、死者の魂が輪廻として、よりよい方へ生まれ変わろうと、死体を鳥に布施するそうだ。仏教の教えは、もともと人の心を大切にするものであり、死んだ肉体はただの死体とみるものである。死体は残された家族のよりどころではない筈である。

もちろん、だからといって死体を乱暴に取り扱え、などといっているのではない。丁重に、礼儀正しく取り扱うのは当然のことである。ここでいいたいのは、心の問題は問題として、死体を科学的に視るためには、視ることに興味をもたなければ何も始まらない、ということである。科学的に興味をもって視る、そして死因を追及することこそ、死者への供養になるのではないだろうか。

このような気持ちで、この本を書いた。だから、人はどうして死ぬかということに科学的な興味を持たれる人にも、かなり役に立つと思っている。逆にいえば、死に対して感情的にしかなれない人には、全く無価値な本といえよう。

死を冷静に科学的にみられる人、死体も科学的にみられる人よ、この本を読んでみて欲しい。

なお、巻末に医学的な名称に詳しくない読者のために、医学用語集をつけて置いた。お役に立てば幸いである。

著者


目次

  • 本文中の写真
  • 第1章 死体を視る前の予備知識
    • 1 循環の仕組みとその所見群
      • (1) 充 血
      • (2) うっ血
      • (3) チアノーゼ
      • (4) 虚 血
      • (5) 貧 血
      • (6) 乏 血
      • (7) 出血と点状出血(溢血点)
    • 2 皮膚から骨までの人体構造
      • (1) 皮膚の構造
      • (2) 皮下組織より内部の構造
    • 3 眼の構造とその機能
      • 縮瞳(筋収縮)のメカニズム
    • 4 生体反応(生活反応)
      • 生体反応の分類
        •  ゞ間レベルとしての生体反応
        • ◆〜憾賃離譽戰襪箸靴討寮限糧娠
          • (ア) 全身的虚血(貧血、失血)
          • (イ) 全身的うっ血
          • (ウ) 塞栓群(血栓)
          • (エ) ショックとDIC
        •  個体の局所レベルの生体反応
          • (ア) 出血という生体反応(生活反応)
          • (イ) 創口の開いているという局所的生体反応
  • 第2章 死後変化に関する問題点
    • 1 全個体とその各構成物の死
      • 個体の死亡時刻
    • 2 体温降下
      • (1) 直腸温と死後経過
      • (2) 直腸温測定の問題点
    • 3 死斑と血液就下
      • (1) 死斑と毛細血管系の関係
      • (2) 死斑部の点状出血(皮膚溢血点)
      • (3) 死斑の発現時間
      • (4) 死斑のできない場所
      • (5) 指圧消退の問題点
      • (6) 指圧による消退時間
      • (7) 死斑の色
      • (8) 死斑の転移
      • (9) 死斑と死亡時の体位
      • (10) 臓器の死斑(血液就下)
    • 4 死後硬直
      • (1) 死後硬直の理論
      • (2) ATPとは
      • (3) 死後硬直の経過
      • (4) 強直性硬直
      • (5) 死後硬直の判定時の問題
        •  〇犖綛田召琉貳姪な開始時間
        • ◆々田廠始に関する主な因子
        •  硬直持続に関する因子
        • ぁ〆胴田召量簑
        • ァ‖良衆奮阿龍敍の硬直部位
        • Α/感擇旅田
    • 5 乾 燥
      • (1) 乾燥の原因
      • (2) 乾燥の条件
      • (3) ミイラ化の条件
      • (4) 乾燥しやすい人体部位
        •  ヾ禝紊隆チ
        • ◆ヽ綾部の乾燥
      • (5) 乾燥とひげの問題
      • (6) 内臓の乾燥
      • (7) 乾燥化とミイラ化
    • 6 腐敗と自己融解
      • (1) 腐敗の定義
      • (2) 人体内の細菌群
        •  )∨肝
        • ◆♀鵝=
      • (3) 一般的腐敗の進行状態
        •  _縞部の着色
        • ◆”綰垠豐斌
      • (4) 腐敗進行の条件
      • (5) 自己融解
    • 7 虫類を主とする食現象
      • (1) 節足動物
      • (2) 脊椎動物
    • 8 死蝋化
      • (1) 死蝋化の理論
      • (2) 現実死体の状態
    • 9 白骨化
  • 第3章 外傷に関する問題点
    • 1 外傷を視る前の予備知識
      • (1) 成傷器(凶器)と創傷形態
      • (2) 創傷形態の分類法
    • 2 皮膚表面からみえる創傷
      • (1) 皮膚の圧迫痕
      • (2) 皮膚の腫脹
      • (3) 皮膚の変色
        •  〇隋“
        • ◆々函“
        •  皮下の出血の色
        • ぁ‘鷭転鮑
        • ァ(娜鐇出血
        • Α.屮薀奪アイ
        • А’り痕
        • ─‥製弦臑里箸靴討糧乕翳竸А僻蘰盻亰譟
      • (4) 表皮剥脱
        •  ]面での表皮剥脱
        • ◆/展創
      • (5) 創口の開いている創傷(創)
        •  〜呂琉貳姪な視かたと記録方法
          • (ア) 部 位
          • (イ) 形 態
          • (ウ) 創形態各部の名称
          • (エ) 刃物と鈍体との創傷形態の区別
          • (オ) 特殊な状態
      • (6) 従来からの分類法での創の視かた
        •  〇鼻〜
          • (ア) 刃のある凶器で生じた刺創
          • (イ) 刃の無い凶器での刺創
        • ◆\據〜
        •  割 創
        • ぁ〆蛋蓮⇔創、挫裂創
        • ァ―董〜
        • Αヽ放性骨折
    • 3 皮膚表面からみえない創傷
      • (1) 軟部組織や筋肉などの損傷(いわゆる挫傷を含む)
      • (2) 閉鎖性骨折(その分類法)
      • (3) 内部臓器の損傷
        •  ‘蓋内の損傷
          • (ア) 頭蓋内創傷の種類
          • (イ) 直接打撃と対側打撃
          • (ウ) 脳震盪とびまん性軸索損傷(DAI)
          • (エ) 意識清明期と受傷後の行動能力
        • ◆ゞ司腔内臓器の損傷
  • 第4章 頚部圧迫に関する問題点
    • 1 頚部圧迫死体の全身的所見
      • 血液の暗赤色であること
      • 血液が流動性であること
      • 内臓のうっ血
      • 粘膜・漿膜下の溢血点
      • 決定的な所見と決定的ではないが、かなり重要な所見
    • 2 頚部圧迫痕
      • (1) 頚部皮膚を視る上での予備知識
      • (2) 頚部圧迫痕(印象痕)の形態
      • (3) 索痕の特殊例
      • (4) 頚部圧迫痕(特に索痕)の記録方法
    • 3 頚部圧迫痕と関連した防御創(吉川線)
    • 4 前頚筋群の出血と頚部軟骨群の骨折
  • 第5章 水中死体に関する問題点
    • 1 水中死体の非特異的所見
      • (1) 手足の漂母皮化
      • (2) 鵞皮形成
      • (3) 著明な体温の冷却
      • (4) 水中での体位
    • 2 溺死特有の外表所見
      • 細小泡沫
    • 3 溺死の内部所見
      • (1) 肺の肉眼的形態
      • (2) 心臓血の左右差
      • (3) 珪藻というプランクトンの検査
      • (4) その他の内部所見
        •  ∞B,亮縮
        • ◆〜扱朸擇覆標撞曚亡悗垢覿敍の出血
        •  錘体内の出血
    • 4 溺死と水浴死
    • 5 入浴中の溺死(いわゆるフロ溺)
  • 第6章 温度(高温・低温)に関する問題点
    • 1 高温に対する皮膚の生体反応
    • 2 低温に対する皮膚の生体反応
    • 3 高温(熱)に対する気道の生体反応
    • 4 高温(熱)による死へのプロセス
      • (1) 皮膚の損傷による様々な続発性病態
      • (2) 高温の空気を呼吸したことによる病態
      • (3) 火災時に発生した有毒ガスの吸引による病態
    • 5 火傷死体の視かた
      • (1) 死因判定とそれに関する所見群
      • (2) 死因以外に注意して視るべき所見
      • (3) 焼けた所見というだけの、あまり役に立たない所見
        •  ‘士型姿勢
        • ◆’馨瞳貅
      • (4) 火傷死体の特殊例
    • 6 熱中症
    • 7 凍死の視かた
    • 8 感電死の視かた
  • 第7章 中毒死体に関する問題点
    • 1 一酸化炭素中毒
    • 2 青酸と青酸化合物中毒
    • 3 眠剤を含む向精神薬類の中毒
    • 4 農薬中毒
    • 5 硫化水素中毒
    • 6 アルコールの問題
  • 第8章 病死に関する問題点
    • 1 病死とは
    • 2 死体を視る上で必要な主な病死の種類と病名
      • (1) 動脈硬化
        •  ヾ‐硬化
        • ◆〆抛位硬化
        •  大動脈硬化
        • ぁヾЬ動脈(冠動脈)硬化
        • ァ’焼位硬化
        • Α/嫺位硬化
      • (2) 高血圧
      • (3) 心不全と心疾患
      • (4) 脳の疾患
      • (5) 肺の疾患
        •  ’擔綣陝肺高血圧
        • ◆’拈心
        •  気管支喘息
        • ぁ’抉
        • ァ’抛位血栓塞栓(肺塞栓)
      • (6) 肝と胆道系の疾患
        •  .▲襯魁璽訐肝疾患(脂肪肝、肝線維症、肝硬変)
        • ◆|斉桟麓栖
      • (7) 肝胆以外の消化器系疾患
      • (8) 腎の疾患
        •  )性腎不全
        • ◆‥尿病との関係
    • 3 病死の症状群と死因の判定方法
      • (1) 問診としての症状
        •  ‘ 痛
        • ◆ゞ察…
        •  腹 痛
        • ぁー左当識と物忘れ
      • (2) 病的症状と疾患への対応
  • 第9章 出産をめぐる新生児の問題点
    • 1 胎児の月数(月齢)推定に関する知識
    • 2 生産死産判定の所見群
      • (1) 外表の所見
      • (2) 剖検の所見
        •  ’戮料反ソ蠍
        • ◆’戮良睛兄邯
  • 第10章 乳幼児の死因に関する問題点
    • 1 SIDSの問題―死亡診断名の問題―
    • 2 被虐待児の問題
  • 付  録
    • 医学用語
    • 人体部位の名称
    • 創傷部位測定の基準点
  • 索  引

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