法執行機関職員、法曹の捜査・公判対応や、企業の不祥事調査に必須の知識をコンパクトに!
IT技術の進展は、多くの国民の社会生活を大きく変革し、インターネットを中心とした技術革新により、経済や社会インフラの発展及び利便性の向上が図られています。一方、IT技術によって取り扱われるデジタルデータは、容易に消去したり改ざんすることが可能であり、犯罪手口等に悪用されることにより、大きな社会問題を引き起こすことが懸念されています。
警察白書では、「犯罪の立証のための電磁的記録の解析技術及びその手続」をデジタル・フォレンジックと呼んでいます。
デジタル・フォレンジックは、不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反やコンピュータ、電磁的記録対象犯罪など、コンピュータや通信ネットワークに関係する犯罪における捜査手法として注目され、一般社会においてIT技術が浸透するのに伴い、捜査等に活用されるようになってきています。また、近年では、企業の不正会計などの不祥事調査にもその対象が拡大しており、デジタル・フォレンジックの基礎知識の必要性が広く求められています。
本書の出版にあたり、当協会では、1年間にわたり調査研究を行い、その成果として、デジタル・フォレンジックの入門に必要な知識の習得に資する内容をまとめ、法執行機関担当者等の業務の参考となるよう工夫しました。
本書は、デジタル・フォレンジックの基礎から証拠保全等の初動対応に必要な知識までを図表等を豊富に取り入れ、初心者にも理解しやすく記述しております。本書は上・中・下の3巻構成で出版することとしており、今回、まず、上巻を上梓することとしました。
関係各機関等における業務運営にとって、本書が少しでも参考になれば幸甚です。
平成29年2月吉日
一般財団法人保安通信協会
理事長 有馬 康之