本書は、地震・台風などの自然災害や大規模な火災・事故・テロなどの人為災害による集団災害発生時に、医療従事者並びに最前線で対処に当たる消防官や警察官、海上保安官などのために作成したものである。
大規模災害時は、多数の傷病者を救命しなければならないが、対応する人数や資機材は限られる。そのような中で危険な現場から救出し、治療の優先度を判断して、応急処置を行い、病院へ搬送することが求められる。
昨今、世界を震撼させているCOVID-19のパンデミックへの対応はまさに災害対応そのものだろう。
本書はそのような大規模災害の対応に必要な項目である「CSCATTT」の体系に沿って内容を構成している。そのため、活動の流れに沿って、確認が必要な項目が順番でまとめられているので、災害対応の実戦向けのガイドとしてぜひ活用していただきたい。
令和2年12月
日本医科大学救急医学名誉教授
東京曳舟病院病院長 山本 保博