関連分野   警察・司法/交通  

悪質交通事犯と闘うために
〜 多くの人の涙を背負って〜

編著/監修
城 祐一郎 著
体裁
A5判  368ページ
定価
2,750 円(消費税込み)
本体価格+税
2,500 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1483-3
C3032 \2500E
発行日
令和6年7月1日
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本書の特長

交通事故・事件の捜査現場に寄り添う元検事の集大成!

本書は、『月刊交通』掲載後に反響の大きかった「交通警察への想い」や「ウィドマークの自動計算」を始め、「平成における新規立法や法改正の起因となった悪質飲酒運転事犯等の解説」等、交通事故捜査の参考となる事例や実例を、『月刊交通』の内容に追加・修正をして多数掲載しています。また、「飲酒検知拒否」等、本書書き下ろしやこれまで『月刊交通』での掲載がなかった内容も充実しています。

  • 飲酒運転・高速度運転・赤信号無視・ひき逃げ等、実際の事例から捜査の観点と擬律判断を学べる!
  • 多くの人が悩む飲酒運転事犯(飲酒検知不能、飲酒検知拒否、免脱罪)について解説!
  • 著者が大阪地検交通部長時代に出した捜査処理方針を公開!

はしがき

本書は、月刊交通において読者からの質問に回答した記事などを基にして、飲酒運転事犯を中心に、高速度運転など危険性の高い悪質重大な交通事犯に対して、どのような捜査をしたらよいのかという観点から検討を加えたものです。
本書で挙げた捜査手法については、従来、慣例としてなされていたものとは相当に異なったものも含めて提案してあります。というのは、我々が犯罪者と闘うすべは法律しかなく、ただ、法律で許容されている範囲内で可能な解釈を基にして、気の毒な被害者を救済するように努めなければならないからです。交通警察官として、諦めるとか、仕方がないという言葉は禁句です。より重い罪での立件を何とか試みて、大切な人を失った人たちや、大けがをして社会復帰が望めないような結果にさせられた人たちに対し、せめてもの無念さを晴らすのが我々に課せられた重要な役割だからです。 また、それとともに、各事件での量刑事情も詳しく記載しておきました。警察官は、ともすれば公判請求にたどり着けばそれでOKという感覚が多いと思われますが(それは別に間違っているようなことではありませんが)、やはり最終的な処罰の内容まで関心を持っていただきたいからです。被害者自身や、その遺族が、せめて司法は自分たちを守ってくれたと思うような量刑でないと、国民の司法や警察活動に対する信頼を醸成することはできないでしょう。したがって、判決での量刑に影響を与えるような事情は、当然、起訴段階での判断にも影響を与えるものですから、的確に証拠収集をした上で、書面化、証拠化するように心がけていただきたいと思っています。


本書は、巻頭において、私が、令和元年11月号の月刊交通に掲載した「交通警察への想い」という論考に若干の加筆をしたものを掲載し、その後、第1編において「飲酒運転事犯」を取り上げ、その中で、コラムとして「アルコールの分解とアルコール依存症」について記載してあります。そして、第2編において「高速度運転事犯」を、第3編において「妨害行為事犯」を、第4編において「赤色信号無視事犯」を、第5編において「無免許運転事犯」を掲載した上、コラムにおいて、それら交通違反等についての厳罰化の効果があったのかなかったかについて記載しておきました。さらに、第6編として「意識喪失運転事犯」として居眠り運転や睡眠時無呼吸症候群の問題などを、また、第7編として「ひき逃げ事犯」を掲載しました。第8編では「悪質交通事犯捜査の課題」として、他罪での立件等を検討し、コラムとして、上記事項の捜査について理解した上で、初動捜査についての留意事項を述べておきました。 なお、近時は、交通捜査官においても危険運転致死傷罪といった故意犯の捜査が重要になっていることから、その故意に関する取調べ方法の習得などのために、第9編として、筆者が捜査研究822、823号に掲載したものを再録することとしました。 そして、最後に、参考資料として、私が大阪地検交通部長時代に作成し部下検察官等に指示した、平成19年4月2日付け「当交通部における捜査処理方針等について」とする書面が残っておりましたので、そのまま掲載いたしました。


本書が交通捜査に従事する方々のお役に立てることを心から祈っております。筆者としては、悪質な交通犯罪者と闘っておられる皆さんの捜査活動の一助になれればと思って上梓するものです。


令和6年5月

昭和大学医学部 法医学講座 教授
城 祐一郎


目次

  • 交通警察への想い
  • 第1編 飲酒運転事犯
    • 第1章 飲酒運転に関する罰則規定
      • 第1 道路交通法における罰則規定
      • 第2 飲酒運転による交通事故に対する罰則規定
    • 第2章 飲酒運転に係る危険運転致死傷罪等の制定の経緯
      • 第1 東名高速飲酒運転事件
      • 第2 小池大橋飲酒運転事件
      • 第3 飲酒運転に関する道路交通法の改正
      • 第4 危険運転致死傷罪の制定に向けた動き及び刑法上での同罪の新設
    • 第3章 危険運転致死傷罪の主体たる「自動車」の拡大
      • 第1 序論
      • 第2 自動二輪車による危険運転致死傷罪の事例
      • 第3 危険運転致死傷罪の犯行の主体が当初は四輪以上の自動車に限定されたものの、その後の法改正で、それ以外にも広げられた理由
    • 第4章 アルコールの影響に係る危険運転致死傷罪
      • 第1 序論
      • 第2 本法2条1号と3条1項の適用の仕方
    • 第5章 前方不注視と「正常な運転が困難な状態」との関係
      • 第1 福岡海の中道大橋飲酒運転事件
      • 第2 おたるドリームビーチ事件
    • 第6章 飲酒運転事犯捜査における基本的な知識
      • 第1 アルコール代謝の原理
      • 第2 ウィドマーク式の原理及び公式
      • コラム アルコールの分解とアルコール依存症
    • 第7章 飲酒運転をめぐる喫緊の課題(その1:飲酒検知不能)
      • 第1 序論
      • 第2 設例(追い飲みによる酒気帯び運転逃れ)
      • 第3 問題の所在
      • 第4 ウィドマーク式による計算手順及びその検討
    • 第8章 ウィドマーク式を用いて立証したアルコール等の影響による危険運転致死罪
      • 第1 事案の概要
      • 第2 犯行に至る経緯
      • 第3 犯行状況(事故発生状況)
      • 第4 事故後の被告人の言動等
      • 第5 公判における争点
      • 第6 前からの方法での被告人の事故時における体内アルコール保有量の算出
      • 第7 後ろからの方法での被告人の事故時における体内アルコール保有量の算出
      • 第8 判決における被告人の事故時におけるアルコール保有量の算出
      • 第9 第8、(3)|裕擇哭値の運転への影響についての評価
      • 第10 「正常な運転が困難な状態」に陥っていたとの法的評価
      • 第11 捜査における問題点
      • 第12 量刑について
    • 第9章 ウィドマーク式の活用が不可欠となる過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱事犯
      • 第1 基本的な構成要件
      • 第2 本罪が認定された事例
    • 第10章 飲酒運転をめぐる喫緊の課題(その2:飲酒検知拒否)
      • 第1 序論
      • 第2 道路交通法67条3項の構成要件の検討
      • 第3 道路交通法118条の2の構成要件の検討
  • 第2編 高速度運転事犯
    • 第1章 問題の所在
    • 第2章 高速度による制御困難に係る危険運転致死傷罪の適用の仕方及び問題点
      • 第1 高速度による制御困難に係る危険運転致死傷罪の概要
      • 第2 本罪で起訴されながら過失運転致死傷罪でしか認定されなかった裁判例及びその問題点
      • 第3 本罪における喫緊の課題 ─危険運転致死傷罪を立件するための方向性
      • コラム 速度超過に対する道路交通法違反対策
  • 第3編 妨害行為事犯
    • 第1章 妨害行為による危険運転致死傷罪の概要(本法2条4号)
      • 第1 妨害行為による危険運転致死傷罪(本法2条4号)の成立要件
      • 第2 「通行を妨害する目的」とは
      • 第3 「走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人又は車に著しく接近したこと」とは
      • 第4 「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは
    • 第2章 妨害行為による危険運転致死傷罪の積極的活用
      • 第1 序論
      • 第2 対向車線上を走行した場合
      • 第3 捜査上の留意事項
      • 第3章 高速度運転事犯の妨害行為による危険運転致死傷罪への当てはめ
      • 第4章 「重大な交通の危険を生じさせる速度」について
  • 第4編 赤色信号無視事犯
    • 第1章 殊更赤無視による危険運転致死傷罪の概要
      • 第1 「赤色信号を殊更に無視」とは
      • 第2 交差点手前の停止線で止まれない場合の本罪の成否
    • 第2章 交差点内の安全な場所に停止できないと判断した場合には、赤色信号を無視して進行を続けても「殊更赤無視」とはならないのか
      • 第1 問題の所在
      • 第2 「安全な場所に停止できない」となるかが争点となった裁判例及びその問題点
    • 第3章 その他構成要件の検討
      • 第1 「重大な交通の危険を生じさせる速度」が求められるのはどの時点か
      • 第2 事故発生場所は交差点内でなければいけないのか
    • 第4章 いわゆる砂川事件の概要と捜査上の問題点
      • 第1 事案の概要
      • 第2 被告人甲の罪責 ─殊更赤無視による危険運転致死傷罪の成否
      • 第3 被告人乙の罪責
  • 第5編 無免許運転事犯
    • 第1章 亀岡暴走事故
      • 第1 事案の概要
      • 第2 捜査上の問題点
      • 第3 公判上の問題点
      • 第4 大阪高裁判決の判示内容
    • 第2章 法改正及び新規立法の動き
      • 第1 無免許運転の法定刑に関する道路交通法の改正
      • 第2 無免許運転行為に対する刑罰の加重
    • コラム 法改正及び新規立法の効果
  • 第6編 意識喪失運転事犯
    • 第1章 てんかん患者の怠薬による意識喪失運転事犯
      • 第1 鹿沼市クレーン車暴走事件
      • 第2 てんかん発作が原因の事故において本法3条2項が適用された事例
    • 第2章 居眠りによる意識喪失運転事犯
      • 第1 八街児童死傷事故(アルコールの影響)
      • 第2 関越自動車道高速バス居眠り運転事故(通常の居眠り)
    • 第3章 睡眠時無呼吸症候群について
      • 第1 睡眠とは
      • 第2 睡眠時無呼吸症候群の概要
      • 第3 睡眠時無呼吸症候群と居眠り運転との関係
      • 第4 睡眠時無呼吸症候群が主張された裁判例の検討
      • 第5 睡眠時無呼吸症候群の捜査
  • 第7編 ひき逃げ事犯
    • 第1章 ひき逃げ事犯において捜査上留意すべき事項
      • 第1 ひき逃げ事犯の処罰根拠
      • 第2 ひき逃げ事犯の実態及び問題点
      • 第3 引きずり実験の重要性
      • 第4 ひき逃げ事犯における人をひいた認識の立証
    • 第2章 外国人による名古屋市ひき逃げ事件
      • 第1 事案の概要
      • 第2 適用可能な罰則の範囲について
      • 第3 公判における争点 ─量刑
      • 第4 法改正及び新規立法の動き
  • 第8編 悪質交通事犯捜査の課題
    • 第1章 傷害致死罪の検討
      • 第1 傷害致死罪での立件
      • 第2 傷害致死罪の法的位置付け
    • 第2章 交通事故に際しての暴行罪の構成要件の検討
      • 第1 暴行罪の客観的構成要件
      • 第2 暴行罪の主観的構成要件
    • 第3章 飲酒運転時における暴行罪の結果的加重犯としての傷害致死罪の成否
    • 第4章 傷害致死罪で処理する場合の被疑事実の記載例
    • コラム 悪質交通事犯における初動捜査の段階で特に留意すべきことは何か
  • 第9編 取調べについて
    • はじめに
      • 第1 特捜部等において被疑者に真実を供述させる必要性とは
      • 第2 被疑者から真相を引き出さないと生じる不合理との闘い(その1)
      • 第3 法廷でも維持される自白について
      • 第4 被疑者から真相を引き出さないと生じる不合理との闘い(その2)
      • 第5 被疑者が取引を持ち掛けてきた場合の取調べについて
      • 第6 取調べにおいて叱らなければならない場面について
      • 第7 被疑者が家族のことを想う気持ちについて
      • 第8 どうして被疑者は取調官に真実を話すのか
  • 参考資料
    • 当交通部における捜査処理方針等について

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